領地ぶらぶらと妊娠の兆候
領地の領主邸で代官のアーザガ・ハリゾエッティと話している途中、二郎たちがまだ領内で顔が知られていないのをいいことに、単独でぶらぶらとほっつき歩いていることをうっかり話してしまい、
「それはいけません!領内を歩くならば護衛を付けて下さい!」
と、叱られてしまった。
「護衛なんて付けなくっても狙われやしないって」
「いいえダメです。必ず護衛を付けて下さい!」
口は災いの元である。
かくして、麻宗家の人間が領地を歩く際には護衛を付けることになった。
多分、こうなっては来る前には連絡を入れると思うが、念のため、二郎と薫の宮廷魔道士としてのシフト表を渡しておき、
「ところで、ここに詰めている人間か、警備兵に念話ができる人間いる?」
と、アーザガに聞くのであった。
「はい!私がセルゲイ・ヤコスカビッチです」
で、紹介されたのがこの護衛のセルゲイ君である。
二郎が急に領内に来ることになったら念話で知らせたいのでと理由を説明し、念話をチューニング。正しくやり取りできるのを確認して、
「じゃあ、急に来ることになったら連絡入れるから」
「はい!分りました。そのときはお申し付け下さい!」
セルゲイ君力が入ってるなぁ。若いのかなぁ。
そして二郎は王都邸へ戻った。
「二郎!何でそんなことになったのよ!めんどくさい」
「二郎さん、あんまりです!」
「せっかくの息抜きの場が…」
王都邸に戻って、皆が集まる夕食時、その話をしたら女性陣から非難を受けてしまいました。
「警備の都合もあるから領地へ行くときはセルゲイ君に念話するように。で、念話ができるようにセルゲイ君に会って念話を調整しておくように。分かりましたか?」
「ったく、しょうがないわね」
「仕方がありません」
「もう少しフリーダムを味わいたかったです」
というわけで、各自調整して、無事、4人全員セルゲイ君に念話を飛ばせるようになりました。
*
それからしばらくしたある日、
「あれ、おかしいなぁ」
「お姉様、どうしたんですか?」
「あれが来ないのよ」
「そう言えば、私も遅いですねぇ」
「あら2人で、どうしたの?」
ミネルバとカッテリーナが話しているのはいわゆるツキノモノが来ない話だったのだが、それを聞いた薫は、
「ひょっとして。でも、結論を出すには早いわねぇ」
「何ですか?」
「それが遅いということは、妊娠?かも?」
「え、私たちおめでた?」
「遂に念願の…」
「いや、まだ、結論を出すには早いから」
薫は2人をなだめて、とりあえず、もう1週間様子を見ようということになった。
そして1週間後。
「まだ来ないです。これは期待大ですか?」
「期待が膨らみます」
「ちょっと落ち着きなさい。検査をするので2人とも、これにオシッコをかけてちょうだい」
2人に渡したのは尿をかけて反応を見るタイプの妊娠検査キットであった。
「かけてきました」
「こんなので分るんですか?」
「ちょっと待ってね。さぁ、見てみましょう。ミネルバさんのは線がちゃんと出てるわね。カッテリーナさんのも。おめでとう!2人とも妊娠よ!」
「やったわ!」
「これで後ろ指指されないで済むわ!」
妊娠検査キットでの判定は、ほぼハズレ無しなのだが、念には念を入れて、「妊娠かも」という表現にしておいて、とりあえず二郎に報告。
「おぉ。2人とも妊娠したか!おめでとう!」
「何よ他人みたいに」
そうと分れば王様に報告だ。
「ミネルバ、カッテリーナ。明日、王に報告するから夕方に登城してくれ」
「「分りました」」
そして次の日の夕方、
「何、2人が妊娠しただと!?」
「恐らく… ですが」
「アソウ家に医師を派遣する!誰か!適切な医師はおらぬか!」
医師を誰にするか決まらなかったので、
「そうかそうかワシにも初孫ができるか。医師は決まり次第派遣するから、ミネルバ、カッテリーナ、体は大事にな」
「まだ動き回っても平気ですよ」
「まだ赤ちゃん、大きくなってませんって」
次の日には産科に強い医師が麻宗家に派遣されてくるのであった。
「いつ生まれますかねぇ」
「今が1ヶ月目だから2人ともあと9ヶ月は先よ」
「9ヶ月先ですか。待ち遠しいです」
妊娠の発覚でお祝いムードに包まれる麻宗家であった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。




