毒の中和と今後
明けましておめでとうございます。
今年も宜しくお願いします。
薫が毒の有効活用法を見つけた翌日、研究部会の面々と、軍部、警備部の一部は、大規模にブタザエールを刈り取り作業を行っていた。ブタザエールは雑草。いくら刈り取っても放っておくといくらでも生えてくる。その刈り取りも今日は王都だけで行われるが、明日には王都近郊都市にまで範囲を拡大する予定である。
所変わってバーンクリット邸では二郎と薫。
「ねぇ二郎?」
「何だ?薫」
「毒物の処理が残っているとはいえ魔物の一件は片付いたじゃない?」
「うん」
「これって召還された理由が片付いたってことじゃない?」
「まぁ、そうだな」
「で、今後の私たち家族の身の振り方なんだけど」
薫の考えでは麻宗家家族の身の振り方は3つあるらしい。
1.日本に帰り、ごく一般的な家族として過ごす。
2.このままザガンガ王国に残り、勇者とその家族として過ごす。
3.日本とザガンガ王国、両方を行き来して過ごす。
「正直言って、3.の日本とザガンガ王国、両方を行き来するのは生活的に大変だから、日本に帰るかこのままザガンガ王国に残るかの2択なんだけどね」
「そうか。そうだよな」
「どちらにするか今のうちに考えておいた方がいいと思って」
「そうだな。考えておくよ」
そうこう話していた翌日、イタブルグの例の建物Bには防護服を着た面々と、数多くの樽とブタザエールが用意されていた。そこには、防護服を着た二郎と薫もいた。
その建物の中には例の魔法陣があり、毒物、マグドネヒキシリンが転送されてきた。
『さぁ、皆いい?早速始めるわよ』
『『『はい』』』
「じゃぁ、二郎、私が先にやってみるから同じようにお願いね」
「分った」
薫はマグドネヒキシリンの隣にブタザエールを置き、呪文を唱えた。すると、マグドネヒキシリンとブタザエールは光を放った後2つの色の異なる液状になり、それぞれ2つの樽へ吸い込まれるように流れていき、樽を満杯にした。
『こちらの樽が解毒液、そしてこちらの樽が木々の成長促進液。色が違うから見分けがつくでしょ?それじゃぁ、次の樽を持って来てちょうだい』
作業員が次の樽を用意している間、マグドネヒキシリンが転送されてき、二郎はブタザエールを用意した。
「二郎、やり方は分ったでしょ?同じようにやったらできるから、次はお願いね」
二郎は薫と同じように呪文を唱えた。すると、先ほどと同じように2つの異なる液体ができ、それぞれ樽に吸い込まれた。
「やっぱり私の見込みは正しかったみたいね。二郎ならできると思っていたわ」
それから二郎と薫はどんどんと薬を作っていき、それは作業員によってそれぞれの薬ごとに荷馬車に積まれ、成長促進液は一旦別に借りたイタブルグの倉庫の中へ、解毒液は北へ向かい早速毒の回った土地へ撒かれるのであった。
それから1週間、二郎と薫はどんどん薬を作っていき、解毒液は土地に撒かれた。最初に撒かれた土地はもう毒が抜けたのが確認された。次は成長促進液の出番である。毒の抜けた土地で、かつて森であったところには成長促進液が撒かれ、そこに苗木が植えられた。時間はかかるであろうが長い目で見ればまた緑豊かな森が復活するであろう。
それから2ヶ月、その後の二郎と薫はどんどん薬を作っていき、さて次はとマグドネヒキシリンの到着を待っていると、そこに現われたのは作業員であった。
『マグドネヒキシリンは無くなりました』
どっと喜びの歓声が上がる。薬の製造は終わったのである。衣服に付いた毒を気にしながらではあるが抱き合い皆で喜びを分かち合った。
その後、ガーネルザロドロイスの森のマグドネヒキシリンが積み上げられていた土地は、念入りに火属性の魔法で焼却処分され、これまた念入りに解毒液が撒かれた。毒が抜けたのが確認されると成長促進液が撒かれ、苗木が植えられた。これにてマグドネヒキシリンの一件は終了であった。
マグドネヒキシリンの一件が終了して3日が過ぎたある日、王城から帰って来たリチャードお義父さんに、
『食後に話がある。食べ終わったら応接室に行こう』
と、呼び出しを受けた。
食後、二郎と薫、花菜香に風雅が応接室に向かうと、リチャードお義父さんにチャールズお義兄さんが待っていたのであった。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。




