ガーネルザロドロイスの森の偵察
それから二郎は、できるだけたくさん魔法陣を書き上げていた。
一方薫は、ガーネルザロドロイスの森に向かっていた。キャンピングカーの後ろに馬車二台を連結している。そのため、速度は控えめにしている。夕暮れ前には何とかガーネルザロドロイスの森と平野との境に着いた。今日はここで野宿である。
『夕飯の準備をします。急いで薪になる木を拾ってきて下さい』
ある者は薪を拾いに行き、ある者は石を拾ってかまどを作り、ある者は大きめの木を拾ってきて夜通し炊く木々にする。それぞれ効率的に動いて何とか食事を作れた。夕食が終わり、
『明日は早速朝から森に偵察に行きます。夜番以外はさっさと眠るように』
食べた食器を片付けて、火を取り囲むように寝床を確保し、多くの部会員は他の事をすることなく、早急に眠るのであった。
翌朝、昨日も薄々感じていたが、日が当たると一層そう思う。本当なら木に葉が生い茂っているはずなのだが、木の幹や枝は痩せ、葉は一枚も付いていない。この森の汚染のひどさを物語っているようであった。普通なら枝を折っても水分が邪魔をして薪にはならないのだが、ここの樹木なら折った木々でも十分薪になりそうな、そんなひどい有様であった。
朝食を軽く摂り、背負子を担ぎ、薫を隊長、ダーリーを副隊長とした汚染調査班は森に入るのだった。
森を北上して二日目、ダーリーは、
『汚染濃度が高すぎる。これ以上濃度が上がったら体に影響が出ます。薫様、引き上げのご決断を』
『ここまで来て何の成果も上げられないのは悔しいわ。最後の一あがき、望遠鏡で北を観察してから引き返しましょう』
そうして、薫、ダーリーは、持って来た望遠鏡で北を入念に見ることにした。すると、ダーリーは、あるものを見つけるのであった。
『エリアリアーナ様、私の見ている方を観察してみて下さい。人影らしきものがあります』
『こんな山奥に人影?見てみるわ』
また薫、ダーリーは望遠鏡を覗き込んだ。
『防護服を着込んだ人影ね。2人見えるかしら。何やら泥みたいなものを運んでいるわね。妖しいわ。まぁ、何にせよ、報告できることができたわ。地図で場所を確認してから引き返しましょう』
そうして、汚染調査班の1回目の調査は終了し、森の来た道を戻り、王都へ引き返すのであった。
引き返してから5日後、薫とダーリーは、王に報告のため、謁見の間に居た。
『北の誰も住めそうにない場所に、防護服を着た妖しい人影が、泥のようなものを積み上げていたのか』
『はい。これは推測ですが、その泥のようなものが今回の汚染の原因かも知れません。調査隊を二班に分け、もう一度森に向かい、泥のサンプルを取って来たいと思います』
『あい分かった。その泥が原因なら直接触れると病気になるやも知れん。そなたにもしもの事があれば国がひっくり返る。採取は慎重にな』
『はっ。慎重に調査をして参ります』
王との謁見を終えたダーリーは汚染調査班の元へ帰り、薫は防護服作成班の部屋に行った。
『薫様、防護服が出来上がりました。これを着ていれば毒物濃度の高い場所でも行動できます』
『まぁ、出来上がったの?ちょうど良かったわ。またガーネルザロドロイスの森に向かわなければならなかったの。数も十分ね。それでは汚染調査班の部屋に運んでちょうだい』
薫たちの準備は着々と進むのであった。
*
二郎は、魔法陣を書き上げる一方で、魔法陣魔力供給班に向かい、
『万物を知り尽くす英知の神よ、我に大いなる力を分け与えたまえ、コミュニケーション』
二郎は魔法陣魔力供給班に魔物と会話するための魔法を教えていた。
『我々は魔法陣に魔力を供給するために集まっています。呪文を覚えるのは必要でしょうか?』
『この中に適性があって、魔法が使える者が出てくるかも知れないでしょ?呪文は皆、覚えてもらいます』
すると、そこに薫が現われた。
「防護服作成班は防護服を仕上げたわ。二郎、彼らはもうすることがないからどこかに合流させてちょうだい」
「分った」
そして二郎は、防護服作成班が集まっている部屋へ行き、魔法陣魔力供給班のときと同じように、呪文を教えるのであった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。




