西方諸島連合軍と、ザッテリーニ連邦国侵攻軍、相対す
「アソウ魔道士団総長、ザッテリーニ連邦国からの使者を首都、ザリガエックまで送り返しました」
「ご苦労様」
ザッテリーニ連邦国からの使者が、すごい帰路の短縮をしたのは、西方諸島連合軍の魔道士が、使者の馬が駆る進路上にゲートを張ったお陰である。
「向こうも呆気にとられているんじゃないでしょうか?」
「まぁ、理由はいくら考えても分からんだろうな」
薫が幹部用の天幕に戻ると、ジリアン騎士団総長が、
「アソウ魔道士団総長も確認してくれ。各国の国王から出兵許可が下りた。それに、おまけ付きだ」
薫が確認する。最後の連名の書類を見て、
「ザッテリーニ連邦国から領土を奪えるだけ奪えか。こりゃぁいい」
「出兵の許可も下りたし、律儀に国境まで出迎える必要も無くなったな」
「そうですわね」
「各部へ出兵許可が下りたことを伝えろ!あと、会議をするので各部署の長は集まるように。その後の行動は追って伝える」
「「「「「はっ!」」」」」
出兵許可が下りたことは西方諸国連合軍の末端まですぐに伝えられるのであった。
やがて、各部署の長も集まり、ジリアン騎士団総長、薫を始め、現場のお偉い方、各部署の長に二郎、花菜香、風雅が集まって、会議となった。
「まずは新入りから。順に、ジロウ・アソウ、ハナカ・アソウ、フウガ・アソウ。ここにアソウ魔道士団総長を入れると西方諸国連合軍魔道士団の最大火力、トップ4だそうだ」
「ジロウ・アソウです」
「ハナカ・アソウですわ」
「フウガ・アソウです。よろしくお願いします」
自己紹介も済んだところで、
「それでは、作戦会議を始める」
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ザッテリーニ連邦国の侵攻軍は、
*/
「ブランドル将軍、そろそろお時間です」
「おお、そうか。それでは今日の行軍終了。野営の準備に入れ」
「かしこまりました。野営の準備に入ります」
すると、下級兵が何人も走って行き、「伝令!停止!野営の準備に入れ」と叫びながら、軍全体に指令を伝える。
兵士たちは、調理のために、火元を準備する者、テントを張る者、馬車から馬を外し、馬の手入れをする者など、それぞれの作業に入るのであった。
その中には周囲を常に監視する監視員も居た。
「交替の時間だ。ご苦労様。じゃぁ続きは受け持つよ」
「それじゃぁあとはよろしく」
そんな感じで交替してから30分後、まだまだ国境は先なので、お気楽に双眼鏡を使って監視活動をしていたら、ふと、異変に気付いた。
「おい、進軍方向に何やら大勢の、軍隊みたいなのが見えるんだけど、確認してくれないか?」
「おい、寝ぼけてるのか?まだ敵軍と交戦するまで時間があるからって気を抜きすぎだろ。双眼鏡貸してみろ」
声をかけられた監視員も確認する。正しく軍隊が居た。旗を確認する。西方諸島連合軍、つまりは敵兵である。
「おいおい冗談じゃねぇぞ!敵軍じゃねぇか!伝令!進行方向5km先に敵軍在り。将軍に伝えろ!」
「分かった」
そしてザッテリーニ連邦国侵攻軍は、蜂の子をつついたように大騒ぎとなるのであった。
/*
西方諸国連合軍側
*/
「テントやら設備はそのまま移しちゃって大丈夫なんですよね?」
「ああ。そのままなら慣れていて使いやすい」
「居ても全然問題はないんですが、念のため、人は離れていて下さい」
「人員は退避済みだ。連絡が来たらやり始めてくれ」
そして風雅は合図を待ち、
「合図が来た。始めてくれ」
「了解しました。そぉれ!」
すると、1部隊の陣地が忽然と消えるのであった。
「それじゃぁ次」
風雅はドンドン消していく。
*
西方諸国連合軍の人員はゲートでザッテリーニ連邦国の領土へ入った。テントなどの野営設備は先ほど居た原っぱの配置、そのままである。
「それでは来た人から順に持ち場へ戻って下さい!」
「アソウ魔道士団総長たち、とんでもねぇな」
とある兵士はぽつりとそんな感想をこぼした。
薫たちがやったことは、テントをたたんでまたザッテリーニ連邦国の領土で組み立てるなんて面倒だと思って、人払いしてから各部隊ごとに元合同演習場所からザッテリーニ連邦国軍の近くまで転移魔法で移したのだ。それを、二郎、薫、花菜香、風雅の4人だけで役割分担をしてやってのけたのである。
「距離が短いだけあって、日本に転移させるより、魔力が減らなかったわ」
とは、薫の弁である。
ちなみに、合同演習のときに使った全体集会用の舞台やら、物見台まで転送させたので、一般兵でもザッテリーニ連邦国侵攻軍よりは全体を把握しやすい。
幹部用の天幕に入ったジリアン騎士団総長は、
「天幕どころか中においてあった物の配置までそのままだな!」
と、感嘆の声を上げていると、
「えぇ、そこが転移の便利なところです」
と、薫が返答する。それから現場のお偉い方、各部署の長に二郎、花菜香、風雅が天幕に集まってきて、
「それじゃぁ、相手がどうなっているか連絡を待ちますか」
各人員にお茶が振る舞われる。そこに、
「サガンガの監視部隊から連絡です。敵はいきなり現われたこちらの兵を見つけ蜂の巣をつついたように大慌てだそうです」
「狙い通りだな」
そして、軽くミーティングをした後は、夕食を食べて一晩ゆっくりと休むのであった。
お読み下さりありがとうございます。
地球や日本、リアルな世界とこの話での世界観は同一ではありません。また、ぷい16が理想とする世界観でもありません。フィクションとして楽しんで頂ければ幸いです。




