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消滅の光景 第4回セクター星情報省の長官は情報員チヒロに、司政官グルドの行方を追えと命令する。研究所の中で瞑想するラミーは天啓をうけ旅立ちを決意する。

消滅の光景 第4回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/


「わからん」セクター星連邦情報省のおやじこと、長官キドの長官は続ける

「司政官グルドは優秀な男だ」

優秀である事を必聾とし、それはセクター星の特権階級と結びついていた。


 自殺は許されていなかった。自殺した者はサイボーグ手術を施さ

司政官とはセクター星連邦内の故障や治安を観察し、報告するお忍びの連邦

職員である。それも超A級の上級職だ。


「地球にはセクター星連邦軍の前硝基地があるが、兵員が少数だ。役に立つま

い。彼らは不思議な現象を報告してきている」


「何ですか」チヒロはたずねる。

「消滅現象だ。詳しい事はこのレポートを読め」

チヒロに渡す。

「わかりました」

「それにもう一つ、この男と一緒に地球へ行ってくれ」

 キド長官は立体写真をチヒロに渡す。  

「この男はカド博士、一流の霊科学者だ」



 チヒロはカド博士を迎えに行くため、エア・カーに再び乗った。

情報省の最上層のパーキングからはセクター星の地平線が見えている。


 セクター星は宇宙をおさめる大帝国の中心地であった。しかし

拡張の時代も終り、爛熟期にはいったセクター連邦は滅びを予感さ

せている。


セクター人は科学の発達により、不死の体となっていな。病気ほ

存在しない。


逆に死ぬために大量の金を必要と七た。特権階級は死ぬことを許され

ていた。


そしてまた特権階級は他の人々に死を施すことを許されていた。

                

 宇宙パイロットである事も死を求める手段であった。まだ宇宙

総ては彼らの手に帰してはいない。災害がパイロットの前,鰐立ちふ

さがり、死の房を開いていた。


 そんなセクター人にミレミアム信仰が蔓延したのも無理からぬ事だ

った。


 ミレミアム信仰はセクター連邦が、宇宙の創造者の怒りにふれ、今

年の内に消滅するという思想なのだ。


人々は仕事を止め、ミレミアム信仰の聖地を求めて、宇宙を放浪し始めた。


 聖地はどこの星にあるのか知らされていなかったのだが、その聖

地を中心に滅ぴは始まるといわれていた。


 死は、消滅は、何よりもセクター人にとって至福の時なのであっ

た。



■研究所の実験室の中でラミーは長い黙想の中にあった。


何時間統いているのだろう。うす暗い部屋の中に何十人もの人間が、黙想に耽っていた。


 部屋は小さなジムほどもある。ソフトな間接照明が彼らを

照らし出している。部屋は白い壁でかこまれ何の備品もなかった。


 ラミーの心の中は無であった。


遠くから声が聞こえてくる。また始まったわとラミーは思う

。近頃黙想中に声が響いてくるのだ。


原因は不明だ。それは有無をいわせぬ力強さでラミーの心に語りか

けてくるのだ。ラミーの超能力を持ってしても打ち払うことができ

なかった。



『ラミー、出発の時が近づいている。男に会う、のだ。その男はお前

の助けを必要としている』 

          

 ラミーは黙想を止め、目を開き、出掛ける決心をした。


消滅の光景 第4回

作 飛鳥京香(C)飛鳥京香・山田企画事務所

http://www.yamada-kikaku.com/


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