10話 古筝な世界1 3/6
「よし!! じゃあやるよ!! 絶対無敵、発動!!」
あかりが両手をあげて大きく叫ぶ。
体内に力がみなぎってくる慣れた感覚を感じ、あかりはにっこりとせいなに笑いかけた。
「せいな!! うちがせーのって言ったら一緒に押して!!」
「うん、おっけー……」
せいなが大きく頷いたのを確認して、あかりが前に向き直る。
「いくよー!! いっせーのーでっ!!」
ぎぎぎ……っとかすれた音が琴線の間を響き、5の弦が少し移動する。
「まだまだ遠いですね。今押した長さのあと3倍は残っています」
つくよが困ったように言った。
「だいじょぶだいじょぶいけるよー、いい調子」
こゆきが明るく励ます。
「そうだよ!! うちらなら朝飯前!! いくよ!!」
前向きなあかりが声を張り上げた。
「うん、大丈夫だよ……」
せいなももう一度と息を巻いた。
「よーし!! いっせーのーでっ!!」
心なしか楽しそうなあかりの声に押されて、せいなも腕に力を込める。
駒は先ほどよりも動いたようだ。
「すごいです! 一回目より動きましたよ!」
「あとほんのちょっとだよー」
つくよとこゆきが明るい声を出した。
「ほらね!! もうあと少しだよ!!」
あかりがはしゃいだような声で言う。
「もう一回……」
せいながきゅっと口を結んだ。
「いっくよー!! いっせーのーでっ!!」
あかりの大きな声とともに駒がぎいっと動き、かちりと小気味のいい音を立てて彫られた線にはまった、
「正しい場所にはまりましたよ」
「いけたよー」
「やったあ!!」
「よかった……」
わあいと嬉しそうに笑い合う4人。
「もう一個も同じように押すんですよね」
「うんーこの調子でいけば大丈夫だよー」
つくよとこゆきが次の駒に向かう。
今度は1の駒だ。5よりも音が高いため、金属弦が先ほどよりも少し細い。
「せいなー交代するー?」
こゆきが心配そうにせいなに問う。
「ううん……大丈夫、できる……」
せいなが首を振って柔らかく笑った。
「こっちの駒もいくよー!! 今回も前と一緒でつくよとこゆきは向こうから確認お願い!!」
あかりが元気よく手を振り上げて言う。
「わかった……」
「りょうかーいこっちは準備おっけー」
「大丈夫です」
三人が準備できているのを確認して、あかりが嬉しそうに笑って、大きく叫ぶ。
「いっせーのーでっ!!」




