0話 部活な世界1 7/20
つくよがサッカーグラウンド前にやってくる。そこでは真っ黒な人影と真っ赤の人影がサッカーの試合をしていた。
一見シュールで、目が疲れる場面の中、ゲームの達成条件がつくよの目に入る。
《コーナーキックでゴールアシスト連続3回成功》
「アシストなら得意なのでやってみます」
つくよはジャージの袖をまくった。
つくよが蹴ったボールは味方である赤い影の伸ばした足にわずかに届かず、失敗に終わった。何回かやってみるもそのような惜しい失敗ばかりだった
「さきほどからうまくいきません……」
つくよは何か考えるそぶりを見せる。
「ボールを受ける影さんの顔を誰かに変えられますか?」
誰に話しかけるでもなくつくよはそうつぶやいた。
そうすると、1体の赤い影の顔面にあかりの顔が表示されるようになった。立体的ではなく、平たいお面をかぶったような雑な変更だったが、つくよは気にしなかった。
「あの影はあかり……あの影はあかり……」
つくよは念じるように唱えると、意を決したかのようにボールを出現させ、助走距離をとる。そして、あかりのような影に狙いを定め、思い切りボールを蹴り上げた。
ボールはあかりのような影が届く絶妙な距離まで伸び、影の右足にヒット。シュートを決めた。
「さすがです!! あか……りのような影さん!!」
1日目のシュート成功。あと2回連続で決めないといけない。
つくよが2回目のシュートのボールを出現させたところで、さっきのあかりのような影の顔面に、今度はせいなの顔が表示された。
「あの影はせいな……あの影はせいな……。アシスト失敗する気がしません!」
つくよはボールを蹴った。
3回目のシュートが成功した。黒い影はその場に転がり、赤い影はその場で小躍りを踊っていた。その1つの顔面にはこゆきの顔が表示されていた。
「ありがとうございました」
つくよは礼儀正しく礼をした。8個目の課題をクリア。