7話 七不思議な世界1 6/8
校内を探索していたあかりとこゆきは、とある教室へと入る。 入った途端、カガ、ガガガッ、と黒板の上にあるスピーカーが音を立てた。
「え!!」
「なにー!?」
警戒する 2 人の上から、紙が落ちてくる。
≪真夜中の校内放送≫
ピィンポォン……。 割れて、ズレた音がスピーカーから流れ始める。 パン、ボォォーン……。 最後の音は低く、奇妙に間延びしていた。
「怖ッ!!」
「マジかー」
ビビる 2 人に、流れ出たのは意外にも明るい男の声だった。
「なんか、校内放送っていうより、お昼のラジオっぽくない?」
「だねぇー」
スピーカーを見上げるあかりとこゆきの前で、男の声は慣れた様子で話し続けている。
「ここでお便りの紹介です。1 年 A 組、神奈川県にお住いのペンネーム内臓美人さんからのおたより」
「へぇー、ここって神奈川なんだぁ!!」
あかりが感心していると、さっき食べたお菓子の話題が出た。
「わたしの駄菓子の思い出といえば、カール。私の親はお菓子を食べず、私も小さい頃から食べさせてもらえませんでした。でも TVCM のせいで羨ましいと思っていたのを今でも思い出します。CM 曲はやっぱり頭に残りますね。中学生の時に初めてカールを食べさせてもらったことがあるんですが、それまでほとんどお菓子を食べたことのなかったせいか、こんなものか……と内心がっかりしたことがあります」
「うわっ! お菓子禁止とか、うちには絶対無理だ!!」
「確かに辛そうー」
更に男が明るい声で続ける。
「はーい、お便りありがとうございます。人の家の教育方針、文化はそれぞれですよね。私も親はテレビを見させてくれませんでした。視聴者の皆さんも禁止にされてたことは1つや2つあるのではないでしょうか」
「ではここでリクエストの紹介。3 年 C 組、岡山県にお住いのペンネーム腱鞘炎あがりさんより”いいもんだな故郷は”」
「岡山県!?」
「さっきは神奈川県って言ってたよねー?」
「うん!!」
おかしいよね、と 2 人で顔を見合わせていると、スピーカーからはさっき音楽室で聞いた CM ソングが流れ始めていた。
「へぇー! いいもんだな故郷はっていう曲なんだね、あれ!!」
「後で、つくよとせいなにも教えてあげよー」
小さく口ずさみながら、2 人で最後まで聞いた。
「やっぱりさっき聞いたのより聞きやすいね!!」
「うまいし、音ズレてないしねー」
「はい。では残念ながら今日はこの辺でー」
始まった時同様、突然放送は終わった。
「不思議な校内放送だったー」
「で、結局ここは何県なんだろね?!」
2 人で首を傾げながら教室を出て、5 つ目の七不思議をクリアした。




