7話 七不思議な世界1 3/8
「とにかく、追いかけよう......」
せいなの足が大丈夫な事を確認してから、せいなの言葉にこゆきが頷き 2 人も走り出し た。逃げるあかりとつくよ――を、追いかける人体模型――を、更に追いかけるせいなとこ ゆき――という、よく解らない状況へ。
そんな中。
カラランッ!
何かの落ちる音が、廊下に響いた。
せいなとこゆきが立ち止まり、廊下に落ちている物を拾う。
それは、大きなそら豆のような形をした何か。2 人で首を傾げながら前を見れば、月明かりに照らされている廊下の所々に、何かが落ち ている。
どうやら人体模型から落ちた、臓器らしかった。
「あの......」
「落ちてますよー」
1 つ 1 つ拾っていきながら、遠慮気味に前を走る人体模型に声をかけた。 立ち止まった人体模型は、焦った様子で 2 人の傍へとワタワタと戻ってくる。
けれどその間にも、ポロポロ、コロコロ、と臓器を落としていった。
「ひとつ取れたら、落ちやすくなるんだ......」
しみじみとしたせいなの呟きに、「そうだねー」とこゆきも同意する。
手分けして全部拾ってみれば、『そら豆』以外にも太い管や折れ曲がった細い管、尖って いないクロワッサンのような形をしたもの、細くて短い紐のような形をしたものと、素人 には何の臓器か解らないものが多く含まれている。
ペコリペコリと二人に頭を下げて人体模型が内臓を戻そうとするが、案外と雑で、不器用だった。
上手くいかずに、ガクリと項垂れる。
カララン、とまた、臓器が 1 つ落ちた。
「えーと、どうしよう......」
「んー」
じゃあ、と絶対権限でこゆきが人体模型の立体映像を空中へと出現させる。 それを見ながら戻していくが、それでもけっこう難航した。
「脾臓は大腸のそばだから......大腸を先に入れた方が分かりやすいかな......」
「大腸の方向が分からないよー!」
どっち!? と向きをひっくり返したりしながらこゆきが確認している間にも、人体模 型が勝手に他の臓器を戻していこうとする。
「適当な隙間に入れちゃうと、小腸は細いから......」
案の定、人体模型のせいで他の内臓の隙間にはまってしまった小腸を、せいなが丁寧に 取り出していく。
「虫垂がどっかいったよー?」
探すこゆきの隣で、せいなは根気よく、1 つ 1 つを戻していた。
「せいなと一緒でよかったー」
「自分もこゆきと一緒でよかった......」
じゃないときっと怖かった、と笑ったせいなと共に、こゆきも見つけた虫垂を手に、再び頑張る。
苦労しながらなんとか臓器を綺麗に戻すと、人体模型が喜んだ。 やったー、とばかりに跳ねて喜ぶ人体模型に、せいなとこゆきが笑う。
「喜んでくれるのは、嬉しいけど......」
「あんまり跳ねるとまた取れるよー」
2 つ目の七不思議を、クリアした。
「あれ? 追いかけてきてませんね?」 廊下の先ではつくよが振り返り、あかりも「ほんとだ!」と足を止めていた。




