2話 ファンタジーな世界1 6/6
「モンスターさん、寒くないのー?」
こゆきがたずねると、モンスターはなんのことかわからないのか、ガオー?と首をかしげた。
「あっ、そうだ。モンスターさん、背中に乗せて飛んでくれたりしないー?せいなを探してるんだー」
モンスターはにっこり笑い、少ししゃがんでこゆきが背中に乗りやすいようにしてくれた。
こゆきは笑顔で感謝し、背中に乗る。
「おっとと、けっこう高いねー」
なかなか乗る動作に苦戦していたこゆきを見て、しっぽのはらで持ち上げてくれた。モンスターの背は馬よりも高く、飛ぶ前でも十分に見える景色は別世界であった。
がしりと首に手をまわし、花束を左右の手に握ったまま捕まると、浮遊感。少し怖くなって、こゆきは目を閉じる。
ガオ。だいじょうぶだよ、というように小さく吠えてみせたモンスターに応えるように、恐る恐る目を開ける。
「わあー……!」
先ほどいた広大な森が、今両手のひらをかざせばすっぽりと収まってしまいそうだった。
最初に降り立ったとても大きなふわふわモンスターも見えた。その先に広がる高原、城下町、荒野、さまざまなフィールドが一望して見えた。遠くには海も見える。
「ひろいーー!」
嬉しそうなこゆきを見て、こゆきを乗せたモンスターも嬉しそうに笑った。
「あっ……光が見えてきた……」
もぐらうさぎとしばらく進んだせいな。洞窟のでぐちであろう光がこちらに差していることに気づく。
「あそこまで行けば、出られるのかな。……ありがとう……」
にこりと笑顔を見せ、前足で手を振る小さなモンスターに、こちらも笑顔で手を振り、光のほうへ向かった。
「あっ、せいな!!」
よく知る声が聞こえ、そちらの方を向くせいな。見ると小走りであかりとつくよが近寄ってきた。
「よかったです。実はモンスターさんにせいなの場所を教えてもらいまして」
あかりとつくよが振り向くと、穴の中からぴょこりと顔をのぞかせるモンスター。
「バラバラに飛ばされちゃったみたいだね……でも、冒険できて楽しかったかも……」
「うちも!! 大きなモンスターに追いかけられた時はびっくりしたけど、案外あの子もかわいいヤツだった!!」
「そういえば、こゆきは……?」
「別々に探索してまして。今から待ち合わせ場所に……」
ばさり。ばさり。
遠くから近づく翼の音が耳に入る。ふと見上げると降りてくるドラゴン。
「おーーい」
「……え、こゆき!?」
「うそ……こゆき、モンスターに乗ってる……」
「大丈夫ですかー!?」
ばさり、ばさ。降り立ったモンスターに礼を告げ、しっぽで手伝ってもらいながらするりと地面に降りるこゆき。
「ふー気持ちよかったー。みんな、花束。お土産―」
「大丈夫そうですね。こゆき、お土産ありがとうごさいます」
平然としているこゆきに苦笑しながら、三人は花束を受け取り、お礼を言う。
「ここにいるモンスターはみんな優しいね!!」
「そうだね……自分もたくさん助けられた」
顔を見合わせて、笑い合う四人。束の間の冒険は、それぞれにとって、とても楽しい時間となったようだ。
「あ、そうだー。今日のご飯はつくねの鍋にしようよー」「さっきの話まだ繋がっていたんですか!?」
「もうつくねのお腹だよー」
その言葉にあかりが笑い、つられて3人が笑顔になる。
ご飯のメニューが決まった瞬間だった。




