0話 部活な世界1 2/20
4人は2人と2人に別れた。あかりとつくよ、せいなこゆきのペアになった。
《テニス:ラリーを50回続けること》
「50回!! 割と多い!!」
「頑張りましょう」
コートのわきに置かれたベンチにはボール数個とラケット2本が置かれている。あかりとつくよはラケットとボールを手に取り、コートに立つ。
「つくよ、いくよ!!」
「カモンです」
あかりはラケットを下から振り、ボールを勢いよく打つ。ボールはつくよにまっすぐ向かっていく。
「おっと!!」
つくよの足元にボールが打たれ、当たりそうになったつくよはジャンプすることでボールをかわした。つくよは一瞬ひやりとした。それも表情に出ている。
「ごめん!!!!」
あかりはとっさに声を上げた。本当に申し訳なさそうで、心配の目をつくよに向ける。
「大丈夫ですよ」
「ほんとう?」
「そんなことよりアウトですよ」
ボールはコートのギリギリ外に落下していた。跡が残っているから二人にもはっきりわかる。
「あ……ごめんなさい」
「さあ、次です。次」
10分後……
テニスコートのネット近くに二人はいた。ラケットを短く持ち、ボールをポンと優しく相手のコートに入れることを繰り返していた。
「なんかだんだん近づいてない?」
「気のせいですよ」
「そうだよね!!」
そしてようやくラリーが50回を達成するのであった。2個目の課題をクリア。
《ゴール下から連続でシュートを30秒で15回》
「15回……」
「せいなガンバッテー」
「ええ、私!?」
「だって、難しそうなんだもん。せいな細かい技術得意じゃん」
「嫌いじゃないけど……」
「じゃあできないことを証明してあげるー」
こゆきはパッと両手を挙げると、バスケットボールが出現し、手の中に収まった。そしてバスケットゴールの下に移動し、ボールを頭の前に構える。
「これって板に反射させるのー?」
「そうだね」
「すたーとー」
こゆきがふんわりと合図を発すると、同時にどこからともなくブザーが鳴った。
「よっ……ほっ……」
こゆきがテンポよくゴールにボールを入れていく。ゴールを通ったボールも難なくキャッチしすぐにボールを構えていた。
4回に1回くらいはゴールを外したが、テンポが崩れることはなかった。
ビィィィィィ
再びブザーが鳴る。空中に表示されている回数は10回だった。
「……次はイケるよ!!」
せいなが珍しく生き生きと言う。
「でも、次はせいなねー」
「……ですよねー」
せいなは無言で淡々とゴールにボールを入れていく。
そしてブザーが鳴る。
真剣な表情のせいなが振り返り、表示を見る。
《14》
「…………」
「おしいー!」
「はぁ……」
せいなは膝に手を置き、肩で息をしている。
「つかれちゃったー?」
「…………うん」
「じゃあ次は私ねー」
次、こゆき11回
次、せいな14回
次、こゆき12回
次、せいな14回
次、こゆき13回
「これ……あと2回やったらこゆきが達成してくれるんじゃ…………」
「こらー!」
その直後にせいなが15回を達成。3個目の課題をクリア。
「やっとできた……」
「おつかれー」
「すごいじゃん!!」
あかりがいつのまにか体育館の中にいた。