17話 漁港な世界1 1/11 執筆:tanutanu 先生
その日、四人が転送されたのは、小さな日本の漁港のような世界だった。
《24時間以内に、4人がバラバラの位置から合流すること》
異なる位置に送り込まれた四人の前に、お題の文字が大きく浮かび上がる。
「ふーん……」
空中で光っている文章を見たあかりが、小さく呟いた。
「これが今回のお題ってことね」
お題の文字がゆっくりと消えていき、視界が広がった。
目の前には、タクシーやバスが行き交うロータリーがある。あかりから見て正面と左右に向かって、比較的大きな道路が伸びていた。その内の一つは、すぐ近くに見える商店街の入り口へと続いているようだった。
後ろを振り返ってみると、コンクリートの駅舎が建っていた。聞いたことのない名前だったが、日本語で駅の看板が出ている。
3人の姿は、どこにもなかった。どうやら今回は、独りでスタートすることになったらしい。
「ま、この方が歯応えがあるってもんだね!! …………ん?」
闘志を燃やしながら頷いていたあかりは、穿いていたショートパンツの後ろのポケットに、何かが入っていることに気付く。
手を伸ばしてみると、花柄の布で作られた、小さながまぐち財布が出てきた。
「……うち、こんなの入れてたっけ!?」
全く記憶にない。留め具を外して中を開いてみると、折り畳まれた日本の紙幣が十万円分入っていた。全て新札のようで、真新しい紙の匂いがする。
「軍資金……ってことなのかな!」
改めて周囲を見回したあかりは、ロータリーの一角に設置されているバス停の横に建っている、駅周辺の地図看板を発見する。
「いいもの見っけ!」
小走りでそちらに移動したあかりは、期待に満ちた目で地図を見つめる。
「ふむふむ……」
どうやら今回あかりたちが転送された世界は、日本の漁港のような町らしい。
駅からまっすぐ伸びている道路を進んだ突き当たりには海が広がっていて、小さな港があるらしい。
左手側に伸びる道は、そこそこの大きさがありそうな駅前の商店街に入っていくようだ。
右手方向の道は、線路を渡った先の山の中へと入っていき、丘の上から近海を照らす、灯台まで続いているらしい。
「なるほどなるほど……」
頷いたあかりは、三つの道をもう一度見比べる。
「とりあえず、一番人通りの多い道を歩いておけば、みんなに会える確率も上がるよね!」
そう言ったあかりは、自信に満ちた足取りで、商店街のアーケードの中へと入っていくのだった。




