15話 怪盗な世界1 10/11
「ほらほら、おーにさんこーちらっ」
こゆきはそのまま出口へと走り出す。出口にいた二人の黒い影の頭上を飛んで逃げた。こゆきのあとを出口にいた黒い影と、オーシャン・ブラッドを守っていた黒い影の内の一人の計三人があとを追った。
オーシャン・ブラッドの警備が三人になったタイミングで動いたのはつくよだった。天井から飛び下りて姿を現した。黒い影の手が伸びる。が、後ろへジャンプして避けた。
「さあ、こっちですよ」
つくよは非常口から展示室を出た。残っていた黒い影三人が猛追した。
せいなは逃げながらどうやって黒い影を退治しようか考えていた。今いるのは三階から二階へ下りる階段だ。このままでは二階の見張りの黒い影も相手にしなくてはいけない。
「とにかくここでなんとかしなくちゃ……」
せいなはゴムボール銃の引き金を引いた。ゴムボール銃の弾丸、ゴムボールは六つまでしか銃に入らないので、計画的に使わなくてはいけない。ゴムボールは先頭の黒い影に当たった。先頭の黒い影が倒れる。その隙にせいな体勢を低くして小手の引き金を引いた。ワイヤーが別の黒い影に絡みつく。せいなはめいいっぱいワイヤーを引っ張った。黒い影が大きく尻餅をついた。せいなは残り黒い影の頭上を飛ぶ。そして後ろから回り込んでワイヤーで黒い影をぐるぐる巻きにして、身動きをとれなくした。ポーチから縄をとり出し、改めて四人の黒い影を縛る。
「ごめんなさいっ」
せいなは黒い影に謝って、その場を去った。
こゆきは出口から駆け抜け、一気に二階へと向かう。すると二階の見張りにも見つかり、総勢六人の黒い影と対峙することになった。
「しまった、ちょっと考えなしすぎたかな」
黒い影が一歩ずつこゆきに近づいて来る。
「もー、こないでー」
こゆきは思いきりその場で跳びはねた。すると捕まえそこなった黒い影たちはそのまま崩れた。
「はー、よかったー」
しかし安心したのも束の間、黒い影はぞろぞろと動き出した。
「もー、やだー」
こゆきはソールで跳びはねて黒い影の手をなんとか逃れながら、一階へと降りていった。
つくよは兎のように跳ねて階段を下りていた。黒い影と少しずつ距離が空く。けれどそれも計算の内だった。一足先に階下に行き、壁に向かって低い位置にワイヤーを放つ。つくよはその真向かいでしゃがんだ。それを知らずに階段から下りてきた黒い影たちは、ワイヤーに引っかかって、ドミノのように次々と倒れた。その隙につくよはゴムボール銃を六発すべて打った。といっても黒い影に直接当てたのではない。ゴムボールの跳ねる力と角度を前もって計算しておいたのだ。延々と跳ねるゴムボールは檻のように黒い影を閉じこめた。
「それでは失礼します」
つくよは一階から回り道をして屋上に向かうことにした。




