0話 部活な世界1 10/20
「あれ、また迷ってしまいました」
「あれ……つくよだ……」
「せいな!」
「また迷子……?」
「違います!」
2人は合流し、一緒に廊下を歩いていく。そして化学実験室近くを通りかかる。
実験室を覗くと、実験台に縦に細長いガラス器具が固定されていて、周りにいくつかのビーカーや、青い液体が入った細長いビーカーがあった。
《青いBTB溶液のpHを調整し、緑色にする》
「つまり中性にするんですね」
「アルカリ性の溶液を酸性の溶液で滴定して中性にするんだね」
「やりましょうか」
「うん……」
青い液体が50mLビーカーの1/3くらい入っている。20mL弱くらいだろうか。
ビーカーの中には小さな棒が回っており、青い液体も常に混ぜられている状態だった。
細長い筒状のガラス器具はビーカーの真上にあり、一番下にはコックがあり、回すとゆっくり液体が落ちていく構造だった。
「じゃあ……入れていくね……」
細かい作業が得意なせいなが液を落としていく作業を担当。つくよも透明な液体が入った3角フラスコとスポイトを持っている。
ぽたっ……ぽたっ……と液を落としていくせいな。青い液体はなかなか色が変化しなかった。
しかしその時、青色だった液体が突如黄色に変化した。
「しまった……」
「では今度は私の番ですね」
「お願い……」
「任せてください」
つくよがスポイトに少しだけ液体を入れ、一滴だけビーカーへそっと落とした。
するとすぐさま液が青色に変化した。
「ごめんなさい」
「つくよのせいじゃない……たぶん液体の濃度が濃いんだと思う……」
その後も何度か一滴を入れ合うが、すぐさま色が変化してしまっていた。
「いたちごっこですね」
「これは……半滴入れる必要がある……」
「半滴?」
「1滴の半分のこと」
「どうやって入れるの?」
「こうやって……」
せいなはコックをほんの少し回し、器具の先端に液を貯めていき、1滴に満たないほどの液滴が形成されるのを確認して、コックを閉じた。さらに、ビーカーを動かし先端とビーカーの内壁を接触させる。
そうすることで、1滴の約半分量の液をビーカーに添加することができた。
「さすがです、せいな」
「……どういたしまして」
せいなの工夫により、2人の作業は惜しいところを行ったり来たりした。そしてまたせいなが半滴を落としたところ……
「うーん……もう半滴入れるべきか……」
「ちょっと待ってください」
つくよがせいなを止める。液の様子をつくよは真剣に見ていた。
薄い青色に染まった液体。それがゆっくり……ゆっくりと緑色に色に変わってきた。
「おお……」
その時だった。コックの閉めが少しだけ緩かったせいか、いつの間にか器具の先端に溜まっていた1滴が今にも落ちそうになっているのを2人は気がついた。
「しまっ……」
せいなが言うより先に動いたのはつくよだった。一瞬のうちにスポイトの中の液体を三角フラスコに戻すと、そのスポイトを器具の先端に当て、チュッと吸い上げた。
せいなはその行動に続き、直ちにコックを完全に閉じた。
「ありがとう……つくよ……」
「どういたしまして」
11個目の課題をクリア。




