【表紙:黄土色のまだら模様】
私ももう三十だが、自分がここまで好奇心のある男だとは思っていなかった。そして、それが元であんなものを見つけることになるとも思っていなかった。
私の両親が歴史家としての功績を王家から認められて、王家のかつての別荘――この別荘が、この国の現存建造物のうち最古のものだったというのが、おそらく全ての始まりだったのだろうが――をもらい受けたのはひと月前の話。両親はそこに住むことを決め、私の部屋も割り当ててくれた。そこは木造の胸像が壁に備えられている部屋だった。胸像は他の調度品と同じように作りの細かいものだったが、触って彫を見ているうちに、右の肩章の菊飾りが動くことに気づいた。そんな不具合のあるものを王の別荘に作るものだろうかと、いろいろと触っているうちに、ベコンと胸の一部が開いた。取っ手が現れた。何だろうかと、適当に押したり引いたりするうちに、またベコンと壁が外れるように開いた。今度現れたのは下り階段。随分暗く、燭台を持ってそこを降りていった。そして再び扉。そこを開けた先には、広い空間があった。真ん中に一つの机、その上に一冊のノート、それ以外はすべて書棚、その中はひたすら書物、書物、書物……。試しに一冊引き抜いてみれば、文字の配列も筆致もひどく規則正しく、陵都のみが持つ印刷の技術によって作られた本とよく似ていた。
私は本を戻し、机の上のノートを開いた。表紙にはこげ茶と白のまだら模様が描かれていて、中身は直筆。私はそれを読んだ。ノートは日記だった。筆者は、一四〇〇年ほど前の水嵐季王――半分神話の時代の人物、ペトリファイド・ウッドだった。記されていたのは驚愕の事実。私はこの書物群の意味を理解した。
私は翌日、日記に記述のあった真木を探しに行った。日記には大体の場所しか書かれていなかったが、私が何を探しているか察したのであろう精霊たちが案内してくれた。辿り着いた先にあった真木の巨木は、無邪気で優しかった。




