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66.魔法剣

遅くなってごめんなさい、寝落ちしてました。


 ボン爺の提案で、ディアーナとの剣の稽古の時間は短縮し、その代わりにディアーナも参加で森での魔物討伐と言う名の訓練に変えた。

 ディアーナも修行が出来るし、模擬戦よりも実戦の方が俺にとっても修行になる。

 昨夜は魔法しか使わなかったが、剣の稽古時間が減るならと昼間の訓練は俺も剣を使う事にした。

 ディアーナの剣捌きは見ているだけでも勉強になる。

 それに敵の強さや大きさを考えるとナイフやクナイよりも剣を使った方がいい。


 心配だったが、メイも付いてきた。

 ディアーナから言わせれば、俺が大丈夫ならメイも大丈夫だということらしい。

 俺、結構レベル上がってるんだけどな。

 まぁそれは俺しか知らないだろうけど。

 

 昼間は比較的のどかだったはずの森の中は、魔物がうろうろと活動しているのが見える。


 以前の森にいた魔物とはだいぶ奇形具合が違う。

 今周囲にいるのは、体中が鱗に覆われた狼型の魔物『ゲルダズ』、全身から謎のドロドロした液体を滴らせている全面にに目玉模様のある球体の魔物『アイゴン』、2〜3mの緑色の顔面に何本も牙の生えている大型の魔物『ディガムド』だ。


 全体的に言える事は、魔物の見た目はやっぱり気持ちが悪い。

 特に目玉模様の球体には絶対に近距離で戦いたくない。


 ゲルダズとディガムドはこれといった特徴はない。

 Lv30〜58

 HP400〜900、MP0

 魔法のスキルもないから物理攻撃しかしてこないはずだ。


 アイゴンはやばい。

 Lv70、HP350、MP500

 スキルに『呪い』という表記がある。


『レオン、目玉の球体には近づかないで!』


 おうっ? そうだ、そういえばルッカがいたんだった。


『私はいるけども、そう何回も呪いの解呪したくない』


 ……分かったよ。


 しかし、昨日はさんざんヘタレな戦い方をしていた俺だが、ディアーナとメイがいると思うと無駄にやる気が満ち溢れている。


 特にメイにはカッコいい所を見せたい。


『・・・・・・』


 俺の剣は、デカい包丁のような石斧のようなあまり見栄えの良いものではないが、その代わりに威力はある。

 魔物の数もさほど多くないから標的を定めやすい今なら俺でもやれるはずだ。


 タイミング良く、俺に狙いを定めた狼型の魔物が飛びかかってきたタイミングで近場の木の枝に飛び乗ると、その上から飛び降りて剣を突き下ろした。

 切った感触はかなり固い鱗だったが、剣の攻撃力の方が高く魔物の体を二つに割いた。


 その瞬間に魔物が消えた。

 やった、誰かの補助が無くても戦い方次第で倒せる。


 即座にメイを探すと、メイはボン爺に付いて狩りの仕方を教わっていた。

ボン爺が半死にさせた魔物の止めをメイに刺すように指示しており、メイは喜々として脳天にナイフをぶっ刺していた。


 俺の雄姿は見て頂けなかった様だ。


 ディアーナは既に2m超の大型の魔物を正面から一撃を与え腹を抉ると飛び上がって首を切り落とした。

正面から挑むとは何とも漢らしい戦い方だ。


 まずい、メイのレベルが上がってしまう。

 負けてられない。


 先ほど得た要領で魔物を殺していると、だんだん自信が付いてきた。

 気分は歴戦の戦士ってところだ。


 もっと強い魔物に挑みたいが、ここで一番強いのはあの目玉の球体、アイゴンしかいない。


 レベルだけなら、先日の魔族と同じだが、『呪い』はなぁ……


『だからやめなさいって』


 ……まてよ、スキル。


『ログ』を開く。


 やっぱりあった、『呪い無効』

---------------------------------------------

『呪い無効 Lv1』       10000

『呪い無効 Lv2』       20000

『呪い無効 Lv3』       40000

『呪い無効 Lv4』       80000

『呪い無効 Lv5』      160000

『呪い無効 Lv6』      320000

『呪い無効 Lv7』      640000

『呪い無効 Lv8』     1280000

『呪い無効 Lv9』     2560000

『呪い無効Lv10』     5120000

---------------------------------------------

 マニュアルスキル……しかも必要ポイントが高い。

 なんだよこの世界、そんなに呪い好きなのかよ。


 俺の今の所有ポイントは……


 うおっ危ねえっ!


 背後から魔物が飛び掛かって来た。またゲルダズか。

 飛んで避けると咄嗟に火を放ち距離を取る。


『あの……ふざけるのやめてくれない?』


 ……ふざけてはないけど、ごめん。


 ゲルダズは鱗が燃えた程度で大して効いていないようだ。

 あの鱗かったいからな……


 剣で叩き切るしかないか。


 待てよ、剣に火を纏わせれば焼き切ることが出来るんじゃないか。

 憧れていた魔法剣を今、試す時がきた。


 俺は手に持つ剣ね刃に意識を集中させ、魔法を発動した。

 あっ熱っ!

 ……出来た。

 刃に炎が纏わりついて柄の部分は少々熱いが、ちゃんと炎の剣になっていた。


『グルァァァアッ』


 おっと、感動してる場合じゃない。

 飛びかかって来たゲルダズの腹を目がけて下から上に剣を払った。


 熱っ!


『グアァッ』


 効いてる。


 炎の熱さのせいで狙いが外れたが、ゲルダズの鱗ごと体を焼き切り地面に倒れている。


 とどめだ!


 ゲルダズの首を切り落とすと、炎を残してゲルダズの体は消えた。


 やったぞ。


 ちょっと熱かったけど、魔法剣で魔物を倒した。


「にーにっ! カッコイイ! メイもやりたい」


 遠くからメイの大きな声が聞こえた。

 声の方に振り返ると、メイは飛び跳ねながら俺の方へ向かって来た。


「おい、危ないぞ! 勝手に動くんじゃない。修行中だ。」


 ボン爺が即座にメイを捕まえて戻っていく。


 ああ……メイが行ってしまう。


「ねぇ、それどうやったの? 私にも教えて!」


「うおっ! ディアーナいつの間に!? ……ディアーナも見てた?」


「見たわ。剣に魔法を纏わせるのよね。私もやってみたいから教えて。」


「いいけど、刃に意識を集中して魔法を発動させれば出来たよ。」


 ディアーナにすぐに出来るとは思えないけど……


「やってみるわ……こう? すごい! 出来たわ!」


「えっ?」


「ディアーナもすごぉーーーーい!!」


 遠くから聞こえるメイの声。


 俺の作った赤く燃え盛る炎の剣よりも、数段青白く刃に静かに纏うディアーナの炎の剣の方が格好良かった。

 絶対そっちの方が機能的で威力も高そうだ。


「なんで? ディアーナより俺の方が魔法使えるのに?」


「さあ? レオよりも私の方が剣が使えるからじゃない?」


 はっ……


 かつてボン爺に言われた言葉が脳をよぎる。


 まさかエモノ身体からだの一部の様に使えないと効果が下がるのか……?


『修行が足りないわ!』


 おい、ディアーナの声真似すんなよ。


『でも本当の事でしょ?』


 くそっ


『ほらほら、ディアーナ先生はもう魔物を倒してるわよ。レオもさっさと修行しなさい』


 ……言い方はムカつくが、まさにその通りだ。

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