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64.消滅

ほんの数日旅に出ていただけのはずが、この屋敷にも色々と変化があった。


確かに俺だって色々あった。

巨大オロチを倒し、魔族を倒した。

その間、レベルも上がったし『スキル』も沢山取った。


大幅なレベルアップの旅だった。

心もとないのはポイントだけだ。


だけど、その間にここまでメイが成長するとは思わなかったぜ。

寂しがりやのメイの事だ。

メアリにくっついてお手伝いでもやっているのかと思っていたが、甘かった。


ディアーナとメイに闘いを挑み、いい所まではいった。

メイは体も小さく身軽みがるな為変則的な攻撃だったがギリギリでかわせたし、

可愛いメイに攻撃は出来なかったがその代わりにメイを捕まえて動きを止める事はできた。

だが、共に旅をしレベルの上がったディアーナの攻撃は今までの模擬戦とは段違いだった。

俺への手加減の度合いがやけに低かったというのもあるが、ボコボコにやられた。

しかも最後はディアーナ+メイ対俺というとても不利な状況での闘いとなり、防戦一方の散々な結果となった。


おかげでもうくたくただ。

これから予想される実践を考えると、多数対1の闘いに慣れておく必要もあるけどな。

もし神殿が魔族の巣窟だったと考えれば今の俺じゃ生きて帰れる気がしない。

残り半年の短い時間でどれだけ強くなれるかは俺次第だ。


変わったのはメイだけではなく、

裏庭のSASUKEまで勝手にロイ爺仕様に変化していた。


とにかく罠だらけだ。

ただの木製だが、槍は飛んでくるわ地面から飛び出してくるわ

ショボいが爆弾も地雷の様に地面に仕掛けられている。

しかもこの罠の仕掛けは毎日変わるらしい。


メイに格好いい所を見せようと挑んだ初回、

飛んでくる槍をよけて着地した先に爆弾が弾け、密かに張られた網に引っ掛かり、

吊し上げられるという無様な姿を晒してしまった。

メイは笑い転げて喜んでいたから良かったということにしよう。


メイはここで暇な数日を遊んで過ごしていたらしい。

もちろんあの人型演習もこなしている。


そりゃ強くなるはずだ。


メイは躊躇しないのが戦闘に向いていると思う。

そのうち一緒に旅が出来る様になるかもしれない。

それは嬉しい、が、それには”俺の方が強い”という条件が必要だ。

メイに頼りっぱなしになるのだけは想像したくもない。


メイはまだ小さいから夜は陽が落ちれば寝てしまうというのが救いだ。

ここしか差を作れる時間はないからな。


--------------------------------


夜。


ボン爺、ロイ爺、俺、ルッカの入ったオーブがボン爺の小屋へ集まった。

奥の部屋で眠っているメイを見に行きたい気持ちを抑え、会議が始まった。


議題は、直近の呪い、そして半年後の精霊際についてだ。


まず、最初にロイ爺からは3冊呪い関係の本を手渡された。

これで勝手に勉強しろってことらしい。


ロイ爺もボン爺も、オーブに入ったエルフの魂、つまりルッカとの対話の方が優先度が高かった。



「あの手紙に呪いがかかっていたそうですが、

 その手紙を読んだ我々にはかかっていないのですかな?」


『あの呪いの効力は最初に読んだ人間にしかかからない程度の稚拙なものだから大丈夫よ』


「ロイ爺、聞こえた?」


「いいえ?」


「わしも聞こえん」


「近くにいても、俺にしか聞こえないのか。

 えっと、呪いが稚拙なもので最初に読んだ俺以外は大丈夫らしい」


「なるほど、しかし不思議な事もあるものですな。

 エルフという種族はもう数百年前にはこの世界から姿を消したと聞き及んでおりました。」


『そうね・・・私が最後の生き残りってことなのかしら。

 ええっと、本当はもう死んでるんだけどね・・ってややこしいわ!』


これは2人に伝える必要はないだろう。


「そうなんだ、カシニルナ山脈へ行く途中の山にルッカの住んでいた村があったらしいけど、

 ロイ爺は知ってる?」


「はるか昔の話でしょう。古い物語には山奥に住むエルフの話のものがありますが、

 その山の事かまでは分かりません、読んでみますか?」


「うん、一応読んでおくよ。」


「では、後程お部屋へお持ちしましょう。」


「ところで、ルッカはレオンの魔力を使って呪いを解いたと聞いたが

 他に出来る事はあるのか?」


『まだ分からないわ。

 ただ、私からはあなたたちの姿を見ることが出来るし大体の気持ちも伝わってくる。

 それくらいかしらね』


「・・聞こえた?」


「聞こえん。」


「私もです。」


「やっぱ駄目か。

 ルッカからは2人の姿が見えて気持ちが伝わってくるんだって。」


「なるほど、では悪意ある者が近づいた時に坊ちゃんの側にルッカ殿がいれば多少は安心ですな。

 そのオーブは肌身離さず持ち歩きくようにしなさい。」


『えー。レオの卑猥ひわいな妄想を常に聞く身になって欲しいいんですけどー。』


俺も困ります。


「それはちょっとどうかな。・・・落としたら困るし。」


せめて領地にいる間はお互いのために適切な距離をおく必要があるよな。


「それならオーブが入る頑丈な袋でも作ってやろう。

 腰にでも括り付けておけ。」


「え、いいよ。悪いよ!」


「いえ、坊ちゃんは少々考えが甘い。

 手紙の小細工皇子のみの頭で考えられた事でしょうかな?

 誰かの入れ知恵かも分かりませんぞ」


「ドゥルム・・・?」


「テルジア家を良く思っていない貴族など少なくありません。

 ヨハン皇子はたかが第8皇子、しかも正妃様のお子ではない。

 だが王家の血筋を引いている為利用価値はある。

 そしてヨハン皇子は今は頭が悪い。

 多くの貴族に大変便利に利用されておりますぞ。

 もっと視野を広くお持ちなさい」


「わかりました・・」


『ぷっ・・・真面目に怒られてる。ウケる。』


くそっ。ルッカめ。

俺の妄想でルッカの服を一枚ずつ脱がしてやる。


『それ、マジでやめて。』


あ、冗談です。すいません。

やめて、急に冷静になるの。・・・やめて下さい。


「そうだ、半年後に向けて貴族の勢力図みたいなものも知りたいと思ってたんだ。

 あと、精霊祭についても。」


「いいですぞ、貴族の事は私もこの領地生活の方が長いのでかいつまんで教えましょう。

 直近の情報はハンナに聞くのが一番ですが手紙を出しておきましょう。

 今はガルム様の怪我がありますから来ることは難しいですが、ハンナの事です。

 恐ろしく詳細な文書が届けられることでしょう。」


「ありがとう。」


「精霊祭については、ひとまず歴史書をお貸しします。

 この件もハンナへの手紙に触れておきます。」


「うん。」


「よし、座って話しているだけでは勿体ない。

 これから森に行って修行とするか」



--------------------------------


俺の修行の主力場である森は、この数日で屋敷内よりも変化があった。


動物がいない。

魔物しかいない。

しかも、今までいた雑魚ではない、レベルの高い魔物ばかりだ。


『この森、不気味だわ。

 多分、私を殺した蛇と同等かそれ以上の魔物がいる』


ボン爺も顔つきが変わっている。


「なにかあったか」


「領地にはまだ影響がありませんが、実は先日あの”神の泉”がなくなりました」


「えっ!?」


回復スポットが無くなった?!


「私も2日程前確認したところです。

 それに魔素が以前に増して濃くなっています」


「そうか・・・まあいい。調査も兼ねてわしらも修行するとしよう」

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