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60.エルフ

ユニークスキル『偽装』は結構面白い。


今のところ髪と目の色だけ変えることが出来る。

ゲームの初期アバター設定みたいだ。

部屋の鏡の前で遊んでいると飽きない。


感覚は魔法を使うときと同じだ。

頭の中でイメージさえ出来ればどんな色にでも出来る。

これを使えば厨二の極み、オッドアイだって夢じゃない。


兄のアンドレの金髪や妹のアイリスと同じ銀髪にしてみたが、いかんせん俺の肌の色は日焼けもしていて二人白くて人間離れした神秘性が皆無だった。

でも肌の色を変える事も、そのうちレベルが上がれば出来る様になるはずだ。


そうだ、ディアーナも変えられるか試してみよう。


部屋を出ると部屋の外にボン爺がいた。


「うわっびっくりした。ボン爺そんな所で何してるの?」


「いや、特に何もしとらんがそろそろ暗くなる。

目立たん様にここを立つぞ。」


「えっもう?・・・神殿の事とか調査したかったんだけど」


「気持ちは分かるが、ガルムの心配性が出てな。

お前が王都にいる事が知られる前に帰したいらしい。」


「ああ、でも結構うまく誤魔化せたんだけどなぁ」


「ここ一年程でのお前さんの成長ぶりに驚いたんだろう。

わしもこの旅でお前があそこまで戦えるとは思ってなかったからなぁ」


「そっか。城下町を見て回りたいんだけどそれも無理?」


「魔女に会いたいんだろうが、どうせ無理だろ。

あいつが一度予言したらその予言が終わるまで再度会えた試しがなかったからな」


「そうなんだ。

まぁ、領地にメイも置いてきちゃったし帰って修行した方がいいか」


「坊ちゃんの気になる半年後のヒントは得たぞ。

半年後に、王都での降霊祭があるらしい。

どうだ? 何だか怪しいだろう」


「降霊祭・・なるほど」


確かに怪しいな。

名前からして兄妹も絡んで来そうなイベントだ。

祭りなら俺が王都に来ていても不思議じゃない。

よし、ここは静かにいったん引いて半年は修行。

そして早めに王都へ向かおう。


先の予定がある程度見えると少しは安心。

さ、帰るか。


父上と母上、それとハンナにしばしの別れを告げて密やかに屋敷を出た。


領地までの帰りは目立つ馬車には乗らない。

行きと同じアイリーンだ。


馬なら2日もあれば領地に戻れるらしい。


王都から領地への道のりは平坦な舗装された道を進むだけだ。

夜道は月と星明かりのみ。

『鑑定』に引っかかる怪しい表示は周辺にない。


だけど、ドゥルムの息のかかった刺客が現れないとも限らないしな。

今は魔物よりそっかちの方が怖いぜ。

ドゥルム本人のステータスは大した事ないが、神殿や魔族との繋がりという闇の部分がイマイチ見えてないからな。


今回はガチで父上を殺しにかかってきていたし、俺の事も妙に疑っていたから領地までの道中警戒するに越した事ない。

・・・

そういえば忘れてたけど、巨大オロチを倒して手に入れた白いオーブに入っていた幽霊?あれは一体何だったんだろう。


『あ、呼びました?』


えっ?


『良かったー。

あの後すっかり忘れられちゃってたみたいで、どうしようかなぁ、出づらいなぁなんて思ってたんですよー。』


え?


『これでも一応、何度かレオンさんに話かけてたんですよ。でもね、私って霊体じゃないですか。

生身のレオンさんが何かに集中している時なんかは霊体が働きかけても無理ですねぇ。

気付いてもらえないって分かりました。』


物凄いマシンガントークだ。


『あっごめんなさい。

私ったらもう何年か何百年か分からないくらいに外に出るのも人と話すのも久しぶりだから、嬉しくてつい。

せっかくですからお話相手になってくれると嬉しいなーなんて、どうですかね?!』


いや、あの。

父上の件は教えて下さってありがとうございました。


『いえいえ〜。

ま、たまたま知っていた事をお伝えしただけなので。

私もお父様が助かって嬉しいです!』


あ、はい。

ありがとうございました。

あと、長い間巨大オロチに食われて魂が囚われていたというのも本当にお気の毒です。


『あっ!そこ、そこを聞いてくれるの?

嬉しい〜! もう本当に辛かったの!

えと、最初っていうかどこから話そうかな・・・』


ああ! いえいえ、そうではなく!

あの、大変苦労された事はお察ししますが・・・

そろそろ、成仏の方をされた方がいいのではないかなーと。


『がーっ! そっちかい!

冷たい。本当に人間って自分勝手よね。

酷いわ。私は少し話相手になってくれればいいなって思っただけなのに…

いいわよ。幽霊らしくあなたの夢枕に毎日立ってやる!

寝不足にしてやるんだから!』


なんてぇ迷惑なヤロウだ。

あっうそうそごめん。ごめんなさい。

怖いから止めて、お願いします!


『うるさい、バカっ! おぼえてなさい!』


俺の脳内に直接話しかける女の声は、そう捨てゼリフを吐くと消えた。


やばい。寝るの怖すぎる。


・・・・


少し進んだ所にある町にボン爺は迷いなく入っていった。


「よし、着いた。今日は少ししか進んでないが夜も遅い。宿に行こう。」


「いや、このまま朝まで領地に向かおうよ」


「え、私は休みたいわ。

王都のあなたの屋敷じゃ何だか落ち着かなかったんだもの」


「次の町までは距離があるからな、ここで休んどいた方がいい」



そんな。



必死に寝ないように抵抗したが、生理現象には逆らえず

むしろいつもよりあっさりと寝てしまった。



『ふふふ。約束通り出てきてあげたわ。

どう? 怖い? 恐怖に震えなさい』



夢に現れた幽霊の正体は、淡い水色のストレートのロングヘアに同色の体、耳が少し尖ったおそらくエルフと思われる美少女だった。

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