49.狩り
今俺は一人で森の中をぶらついている。
少し前まで『鑑定』を使って獲物を探していたが、ポイントを効率的に稼ぐ為にやり方を変えた。
最近はヘビやネズミを殺して適当にその辺にまとめて置いてしばらく待つ。
そうすると、血の臭いで隠れてたり目を覚ました魔物がウロウロと出てくるんだよ。
俺は少し離れた木の上で魔法の練習でもしていて、何匹か集まってきたら殺すようにしている。
かなり楽だ。
『身体強化Lv7』をとった俺は飛躍的に身体能力が上がった。
・・・スキルに慣れるまでは大変だったけどな。
そういう訳で、今日も魔物を引き寄せる為に餌を用意した後、森の探索を行っている。
それにしても暇だなー。
魔法で風を起こして足に溜める。
風を利用してジャンプするとかなり高くまで飛べるんだ。
『魔力強化』と取ったおかげで魔法の発動も楽だ。
魔力回復を図る為に蛇を焼き殺して食べながら枝から枝へと飛び回る。
ポンポン飛びながら進んでいくとなんと森を抜けてしまった。
デカいと思っていた森だったけどそうでもないんだな。
森を抜けるとかなり広い空間があって、綺麗な泉があった。
陽の光がさしているからか、水面が輝いて見える。
なんだろう、すごく癒される。
『鑑定』を使うと、『神の作りし泉(聖)』と表示された。
うーん。ファンタジーっぽい。
いいなこういうの。
俺は何となく水を飲んでみた後にステータスを確認してみた。
HPとMPが回復していた。
うわーまじかよ!
ゲームみたいじゃん!
ここを拠点にすればかなり長時間修行ができるぞ!
その日の夜、ボン爺とロイ爺に泉の話をしてそこを拠点に修行をしたいと申し出るとあっさりと許可が出た。
3人で泉まで移動すると、泉は月の光を浴びて幻想的に輝いていた。
「これは見事ですな。近頃、ところどころ魔素の濃い所にこうした泉が沸いていると聞きますが
この目で見たのは初めてです。」
「ロイ爺、魔族って何?」
魔族って、ディアーナのステータスにも書いてあったんだよな。
「魔族とは人型の魔物です。
20年程前に確認されてから西の大陸ではかなり多くいます。
魔物と違って知能が高く、強さはこの辺りの魔物とは段違いだそうですぞ。
最近活動が活発になっているとか。やっかいなものです。」
「・・・この大陸にも渡ってくるのも時間の問題だな」
「今は大陸を渡る航路も限定しておりますが、そうですな。
来るときはまとめて来るでしょうから。」
「魔族か・・・・じゃ、僕行ってくるよ!」
そういえば、神様も昔行ってたもんな。
魔王が復活したって。
魔族か、だいぶ強くなった気でいたけどこれは気を引き締めて修行するか!
夜の森の中は魔物だらけだ。
動きも早いし獰猛だからすぐに俺を見つけて攻撃を仕掛けてきた。
今日の最初の獲物はここら辺でかなり強い、熊みたいにデカイ汚い魔物だ。
名前は”グローマ(13)”Lv10だ。
赤い目が10個位ついてて、やたら牙を剥き出しにしていて涎を垂らしまくっている。
昼間の俺の狩りのせいで餌が少なく腹が減っているんだろう。
体長5mはあるデカイ体とは裏腹に素早い動きで俺を狙っている。
ちなみにこいつは魔法を使う。
黒々とした靄みたいなのを飛ばしてきてこいつに触れると動きが鈍くなるんだ。
この靄に捕まって殺されそうになった事がある。
あの時は焦ったぜ。
至近距離まで来たグローマの喉元にナイフを突き刺し、魔法で土壁を作った後
動きにくい体をなんとか動かして距離を取って俺の周囲の地面を穴だらけにして時間を図ろうとしたんだ。
だけどあれはあんまり意味がなかったな。
グローマは俺のいる場所まで飛びかかって来たんだ。
何とかクナイで奴の目を潰して頭を焼いて悶えている所を全身火だるまにして殺したんだった。
ちなみにその間離れた所で飲んでいたボン爺とロイ爺。
「まだ下手くそだな。ま、しばらくしたらアレも解けるから大丈夫じゃろ。」
「油断は禁物だと、良い勉強になったでしょう。」
あの時は必死な俺を見ていただけで、その後は関係ない昔話に花を咲かせていたな。
グローマの放つ黒い靄は確かに10分ほどで解けた。
だけど、その間にまた襲われたらどうするんだよってマジで怖かった。
あの黒い魔法は俺の調べたところ重力操作系の魔法だと思っている。
正直、めちゃくちゃ欲しい。
だけど結構ポイント使うからまだ検討中。
さてと、
俺は魔法で水を出し、グローマの上から大量にかぶせてやる。
毛で覆われた魔物はたいてい水が嫌いだ。
ずぶ濡れで体毛が重たくなり動きを鈍らせて、脳天をクナイで貫いてやった。
フッフッフッ・・・
余裕だ。
おっさっそくグローマの死体に蛇が群がって来たぜ。
昔、ションベンを漏らすほど恐れた蛇の大群。
今の俺様の敵ではない。
例え何匹と来ようがな!
こいつらは一体どこから湧いてくるのか、いつもいるな。
俺は、木の上に飛び上がってボン爺が昔やった波動を真似して蛇を纏めてぶつ切りにした。
これは、魔法で作った風を刃に見立てて鋭くさせて作るんだ。
ボン爺に教えて貰って出来る様になるまですごく練習したんだぜ?
魔法は安定して発動出来るになったら、それを集約させて形を変える練習をしている。
要はイマジネーション力がモノをいう。
理屈とかあんま関係ない気がする。
俺は前世で現実逃避しまくっていたから、妄想などお手のものだ。
よって魔法の上達が早い。
ボン爺やロイ爺からは天才じゃないかなんて驚かれたり褒められたりと忙しいけど、
前世のマンガやアニメをイメージしてやってるだけなんだよな。
ディアーナは無駄に理屈っぽく考えようとするし真面目過ぎるからなのかあんまり魔法がうまく使えない。
その点はメイの方が上達が早いと思う。
メイもまだ小さいから魔法は使えないはずだけど、素直だからな。
太い木の枝に寝そべりながら魔物と蛇の死骸に群がる魔物どもを小さな火の矢を作って投げながら考え事をする。
俺も大分強くなったよなー。
そろそろ各魔法のスキルレベルもポイントで底上げするべきか。
MPが少なくなるまで狩りを続け、なくなったら泉に戻りまた森に戻る。
良い修行スポットを見つけたぜ!
今日は試してみたい事がある。
回復魔法の練習だ。
せっかく大幅ポイントを使って取ったのに普段なかなか使う機会がない回復魔法。
最近は身体強化対策に明けくれていたから存在を忘れてたってのもある。
殺した魔物に使うとどうなるんだろう?
近くに神の泉があるからどんなくだらない事にでも惜しみなくMPが使える。
俺はさっきぶつ切りにしたヘビに全力で回復魔法をかけてみた。
おおおお!
ヘビの姿が元に戻った!
しかも纏めて。
死んでるけど。
なるほど、『回復魔法Lv6』は蘇生は無理だけど、ぶった切られた体は戻せるのか。
しかも複数を纏めて回復出来る。
便利じゃん。
自分の腕や指を切って試す勇気はない。
近くにいたネズミを捕まえてちょいと実験。
まずネズミの尻尾を切って、尻尾を燃やす。
そしてネズミに回復魔法をかけたところ傷口が綺麗に塞がった。
尻尾は戻らなかった。
そっか、再生も無理なんだな。
ステータスを確認すると、MPは半分くらいごっそりなくなってた。
うわっこれはMP食うなー。
こっちはレベル上げして基本ステ上げるしか改善できないぞ。
あと1年かぁ。
俺は木の枝を飛び渡りながら狩りを続けた。




