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43.修行開始

俺の予想通り、ロイ爺はやっぱり普通の人間じゃなかった。



半分ノリであのクナイを渡した結果、まさかロイが本当にアサシン的な・・

いや俺の想像するそれ以上の技を使うとは。




いったいこの屋敷はどうなってるんだ!?




まさかみんな強いとか、ないよな?




もう誰も信じられない。




ロイ爺の使った技には確かに少し魔法が使われていたらしい。



ただ、まずは魔法を使わず・・っていうか俺はこの屋敷ではまだ使えないから

投げ技の練習をする事になった。



「魔法は、私の見る限りではレオン様は基礎は充分でしょう。

 それよりも、狙いを定めて当てる事の方が大事です。」




一撃必殺か、ボン爺と似たような事を言うな。




ロイ爺は練習用の的代わりに一体どこから持ってきたのか藁で出来た人型を持ってきた。



「さ、状況に合わせて各所を狙えるようにいたしましょう。まずは面積の広い胴体から。

 ま、つまり狙いは心臓ですな。」


「う、うん。」



ロイ爺は終始穏やかに微笑んでのんびりと言ったが、俺は引いた。




怖えぇよ!




ロイ爺に教えられるがままに俺は人型の心臓を狙い、投げた。



的との距離はだいたい20m。



かなり距離がある。



クナイの照準を人型の胴体に向けて何度か調整し、力いっぱい投げた。




腹の辺りに刺さった。




「ほう、初めての遠投にしてはしっかり刺さりましたな。

 ですがこれでは人も魔物も殺せません。

 顔を覚えられて恨みを買いますぞ?」




ロイ爺・・・・




・・・・・・・・・・



だんだん投げ方のコツが分かってきたぞ。




距離があるからボン爺の特訓である近距離戦よりは難しいけど、

これなら血も浴びないで殺せるからいいな!




っていうか、俺は人を殺すのかよ!?





違う違う、殺すのは魔物!





今使ってるのが人型なだけだ!






この夜は、心臓に10回中10回当てられたら終了ということに。




俺はなかなか才能があるらしく、コツを掴んだらすぐに出来てしまった。




いや、ボン爺のおかげだよな。




これから夜に修行するために、ロイは俺の部屋の窓の外側に目立たないようにロープを張ってくれた。



「明日から、これを使って行き来しなさい。

 これも修行ですからな。ではおやすみなさい。」



ロープの登り下りは、ボン爺特製のSASUKEで何度もやっているから問題ない。

夜中に、屋敷の中を通って外に出るのは緊張するからな。

このロープで出られるってのは気が楽だ。





俺は疲れてはいたらしい。




俺はベッドに倒れこむとすぐに意識がふっとんだ。







嫌な夢を見た。





メイが俺よりも強い剣士になっている夢を。





俺は飛び起きた。



まだ寝入ってから数時間しか経っていないが、既に日が昇り始めていた。





こうしちゃいられない!




俺はすぐに筋トレを開始して、通常メニューをこなすと屋敷を出た。



早朝だから、厨房ルートを通っても問題ないはずだが、

俺はロープを握り窓からそろそろと降りて庭へと降りた。




庭に出て入念に柔軟をして体をほぐす。

ほんの1週間ほど、王都へ行っていただけなのに体が少し硬くなっているのを感じる。

ディアーナの言ってた事は本当なんだな。



あのまま王都にいたら、走り込みなんて到底出来ないだろう。

そう考えると、2年後に備える為にも領地へ帰って来た事は正解だと思う。




ふと気付くと、ディアーナが庭の隅でストレッチをしていた。

無駄な贅肉が一切ないディアーナの体は、妥協を許さない己の強さを体現している。

腕や足を伸ばすだけで、しなやかに動く身体は堂々と自信に満ち溢れていた。




「おはようございます!ディアーナ!」




怖い師匠ディアーナには礼儀正しく。



「あら、早いじゃない!やる気を見せるのは大事よ!」




良かった。ディアーナ師匠は機嫌がいいみたいだな。




早く身体を取り戻すために、俺は黙々と走る。




ディアーナは素振りをしている。




ディアーナが剣を振る度に、屋敷の向こう側の森の木がガサガサと音を立てていた。


今日はまだ風も吹いていない。


ディアーナの一振りは、あんな遠くまで届くんだ。



・・・



ディアーナが俺に向かって素振りをしたら真っ二つにされるだろう。


ディアーナは腕と剣以外は微動だにしていない。


だが、俺はディアーナの剣の軌道に入らないように恐怖しながら全力で走った。





ボン爺とメイが小屋から出てきた。





メイは俺を見つけると俺に向かってダッシュ!






「にーに、 おはよーーー」






勢いよく俺に抱き着いてきたメイにデレデレしていると、





「ちょうどいいわ。

 今日の稽古は、その子と一緒に走りなさい!

 その子と同じくらい・・いえ、その子に追いつかれずに走れるようになったら、次に進めるわ!」




・・・・・・・・・・・・・・




ディアーナの命令オーダーを果たすまで、





メイとの鬼ごっこは1週間ほど続いた。

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