22.現状報告2
俺はレオン・テルジア(8)
そう。俺は8歳になった!
身長も伸びた。
相変わらずのやんちゃなイケメンボーイだ。
もう8歳、まだ8歳。
5歳で無謀にも屋敷を抜け出しヘビに殺されかけた俺は
まだまだ屋敷の外に出ずヒキニートをやっている。
だけど、あれから2年半も経った。
思い返せばほとんど変わり映えのしない毎日だった様に思えるが、それなりに成長する事は出来たと思う。
さあ、見てくれ俺のステータス!
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レオン・テルジア(8)
職業:テルジア公爵の長男
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『ステータス』
Lv: 5
Hp:21
Mp:12
『スキル』
・剣術 Lv1
・火魔法 Lv3
・水魔法 Lv2
・風魔法 Lv2
・土魔法 Lv2
・鑑定 Lv4
・身体強化Lv3
・隠密
・暗視
・言語能力(自国語)
・言語能力(ベネット語)
・言語能力(ダグロク語)
・算術 Lv5
・礼儀 Lv4
『ユニークスキル』
・繰り越し
『エクストラスキル』
・ポイント倍増(10)
『所持ポイント』
44879P
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どうだ!成長してるだろ?
『剣術』スキル、取れたんだぜ!
個人的な努力の成果としては、魔法のレベルを上げた事だ。
ある時俺は思ったんだよ。
この屋敷の魔素濃度は低いから、魔力を体に保てない子供の体ではカスみたいな魔法しか出せない。
だけど、カスでもゴミでも、出るもんは出る。
だったら、イケてる発動方法を練習する事は可能なんだという事に!
当時の俺は両手でしか魔法の発動が出来なかった、というかしてなかった。
だから試しに片手だけで魔法が発動出来るか試してみた。
簡単に出来た。スキルはLv1のままだった。
次は指先から魔法を発動する練習。
これは少し時間がかかった。各魔法スキルがLv2に上がった。
最後にモーションなしの魔法発動!
イケてる発動ランキング1位はやっぱりコレだろう。
出来るまですごく時間がかかった。
その間に、各手足の指で魔法が使える様になってしまった。
成功したのはつい最近、2週間前だ。
しかもいまのところ火魔法のみ。
5歳のあの時の大量の蛇の事があるからか、無意識に火魔法の練習ばかりしていた様だ。
ちなみにスキルLvは3に上がった。
魔法の威力も上がっている。
『火魔法Lv3』マッチ棒の火
『水魔法Lv2』コップ1/6の水(コップの大きさにより異なる)
『風魔法Lv2』小さな布(しかも軽い)を浮かせる風
『土魔法Lv2』俺の手の平1/4位の土
凄いだろ?
俺の魔法はLv1の時には考えられないほど威力を増しているのだ。
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ボン爺との特訓は複数の動物を相手にするというものに変わっていった。
ロイ爺セレクトの本を読む事で生態を学び、ボン爺の特訓で実践する。
繰り返す事でコツはだんだん掴んできた様に思う。
急所を狙い定めて一気にやるんだ。
ボン爺は毛皮の剝ぎ方から解体までを教えてくれた。
正直グロいし汚れるからやりたくない気持ちの方が強い。
それでも冒険者に必要な技術ならばやるしかない。
裏庭にはボン爺特製の俺専用トレーニングコースが作られていった。
綱登り、綱渡り、壁登り、ぬかるみを走る練習ができる、コースだ。
ま、いわば俺専用のSASUKEってところだ。
ボン爺が忙しい時は、ここでいつも運動している。
馬には去年から乗りはじめた。
といってもまだ乗って良いのはボン爺が付いている時だけで、庭を歩き回るくらいだ。
馬の力は強いから『身体強化Lv3』があって良かった。
ディアーナの剣の稽古は、今は型を教えて貰っている。
俺の記念すべき初素振りの日から、ディアーナは変わった。
ディアーナは俺の稽古の時間以外はずっと自身の剣の修行をする様になった。
最初は『身体強化Lv3』の俺にライバル心を燃やしたのかと思っていたが俺の思い違いだった。
そもそもディアーナは、俺より遥かに強かった。
ディアーナの修行風景を見ていると次元が違う。
ただの素振りなのに剣を振る度に空間も切られた様にずれて見えるんだ。
しかもその一振り一振りには全く無駄が無く、芸術的だ。
ディアーナの稽古はかなり厳しく、要求も高い。
今では『身体強化Lv3』をもってしてもへとへとになるレベルだ。
16歳になったディアーナは出会った頃よりも背が伸び、
顔の輪郭もほっそりして大人の顔立ちになってきた。
ほんの少しだけ色気も出てきた様な気がする。
だけど、いつも何かを気負っているような雰囲気があって、
ディアーナは一体どこへ向かっているんだろうと心配になる。
ミラ先生は相変わらず美人で綺麗で優しくてエロい。
むしろエロス的な面は年々増している。
半年前にまさかの第二子誕生というセンセーショナルな事件が起き
しばらく、いやかなり落ち込んだ記憶がある。
第二子は男だったというのも実に悔しい。ミラ先生は俺のもんだ!
ハンナからは毎日の様に叱り飛ばされ現在に至る。
ロイ爺も相変わらず神出鬼没だ。
3年も経つというのに鑑定が出来ない。
隙がなさ過ぎるんだ。
ロイ爺アサシン説の信憑性は俺の中で日に日に増している。
厨房のみんなも元気だ。
そういえば、とうとうクリスとドーラが結婚したんだぜ。
俺は『鑑定』で常に見守っていて2人の顛末にハラハラもんだったから嬉しかったよ。
長かったな、、、離婚・・しないといいな。
メアリは、やばい。
なにがやばいかっていうと、もう21歳になるんだ。
・・・まだ未婚なんだ。
俺は常に鑑定でチェックを入れているが、
メアリは男っ気がなさ過ぎる。
メアリは童顔だから、まだ10代にも見えるけどさ。
メアリにはずっと屋敷にいてもらいたいけど、メアリの将来も心配になる。
これは俺の最近の悩みだ。
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6歳になったばかりの時に黒猫の神様が来た。
夜、気が付いたら俺の部屋にいた。
『よっ!久しぶり』
神様は例のごとく軽く言うと、伸びをして少女の姿に戻った。
あの、白い空間での美少女に。
神様はベッドにフワッと腰をかけると話始めた。
『昼間ちょっと見てたけど、前みたいにボッチじゃないのね?良い事よ。世界に馴染んできたわね。
それはそうと、これからしばらく会いに来れないと思うから死なない様に頑張りなさいよ?』
神様は忙しそうだった。
俺は神様に近況を報告した。
神様はうんうんと頷きながら聞いていた。
長い髪が揺れて月明かりにキラキラ光った。
鑑定と身体強化取得のくだりで、神様が凄い事を教えてくれた。
『鑑定はLv5まで上げればステータス画面でスキルの詳細を見れる様になるわよ?』
ただ、鑑定はスキルレベルを上げるのが難しく、相当努力しないといけないらしい。
この事を神様に教えて貰ってから、俺は目に入る物を片っ端から鑑定している。
半年ほど前にやっとLvが4になった。
元の美少女の姿の神様はやっぱりとても可愛かった。
この世界で神様はずっと黒猫の姿なのかと思っていたから、嬉しかった。
『さてと、じゃ!そろそろ行こうかな。
ヤマダ君も元気そうだし、成長の仕方もまともで良かったわ。
あー忙しっ!ここの管理が終わったらのんびりしたいわー。』
神様は両腕を上げて思い切り伸びをした。
「まって!神様、ごめん。俺にスキルをくれたから大変な思いをさせて。
その、スキルも上手く使いこなせてないのに・・・』
語尾がどんどん小さくなっていく。
『へっ?いいわよそんなことで謝らなくても。
二重加護とかはだいたいどの神様もたまにやってる事だし。
ヤマダ君はこれから転生しようって時に死ぬ事考えてたから、神様としては放っておけないでしょ。
この世界で生き抜くにはスキルは必須からその補助をしたまでよ。
『繰り越し』を持ってるから相性最高でしょ?』
神様の慈悲深さというか、優しさを感じて泣きそうになるのをこらえたら変な顔になった。
『ん?どうした?
ヤマダ君は今の環境に合った状態で成長してるから大丈夫よ!
もし、『エクストラスキル』をバンバン取られてたら色々な事が崩れてたわ。
ヤマダ君の人生も、この国も。
まっ、便利なスキルは独り立ちしてからとりなさいな。』
窓際に立って俺に言う神様の姿は本当に綺麗だった。
・・・・あぁ、神様って本当に神様なんだな、と意味不明な事を考えた。
「・・分かった、次また会えるのを楽しみにしてます。」
『ん!じゃねっ!
あっそうだ、そろそろお兄さんと妹に会っておいてもいいんじゃない?』
神様は黒猫の姿になると、窓から飛んで見えなくなった。
・・・兄と妹って、、、はて?