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15.鑑定


夜メシはまともに食べられなかった。

あの殺した蛇の感触や、血が思い出されて吐きそうなくらいだった。


メアリは心配していたが、きっと俺がお漏らしの事でショックを受けているのだろうと思ったみたいだ。


「レオン様、大丈夫ですよ。屋敷でもほんの数人しか知りませんから。

 まだ小さいのですもの……よくある事ですわ」


心をえぐるようなフォローを入れてくれた。



小さいって何がだよ!何だよ、あれ?何がなんだろう、、くそっ何なんだよ……


^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^

自分の手や足が気持ち悪くて長時間フロに入った後、ベッドの中でしばらくぼうっとしていた。


「ログ」とポツリとつぶやく。


************************

レオン・テルジア(5)


職業:テルジア公爵の長男

------------

『ステータス』 

 Lv: 2

 Hp:11

 Mp: 4


『スキル』

・火魔法Lv1

・水魔法Lv1

・風魔法Lv1

・土魔法Lv1

・隠密

・暗視

・言語能力(自国語)

・言語能力(ベネット語)

・算術Lv1

・礼儀Lv1

『ユニークスキル』

・繰り越し

『エクストラスキル』

・ポイント倍増(10)


『所持ポイント』

 30319P

************************


レベルが上がってる。

なんで?

あの蛇の群れはボン爺が倒したのに。


ポイントも、57ポイント稼いでいる。

……今日はほぼ誰とも話してなかったよな。

俺は今日”挨拶”か”お礼”をした数を思い出す。

それで稼いだポイントは、7ポイント位だ。

じゃあ、50ポイントの正体はなんだ?


頭に浮かぶのは、今日ボン爺に言われて殺した蛇のことぐらいだ。


レベルについても、ポイントについても。


あの蛇一匹で50ポイントなんだ。

『ポイント倍増(10)』のスキルの恩恵がなければ5ポイント


「ショボいな」


そのショボい蛇に殺されそうになったんだがな。

それに……たった一匹を殺すだけでも大変だった。


魔物退治でポイント稼ぎなんて……夢のまた夢じゃないか。

レベルが上がった事は驚いたもののあまり嬉しいと思えなかった。

だって、ボン爺がお膳立てして用意した蛇だ。

動きも鈍臭かったし弱らせていてくれたのかもしれない。


昨夜と今日で俺は自分の弱さをまざまざと知った。

レベルとかスキルも必要なのは分かってる。

でも俺は、蛇を一匹殺すのにもビビる甘ちゃんだった。


もうしばらく夜に外出する事なんてないだろう。


『暗視』なんか取って無駄にしちゃったな。

まぁ、『暗視』がなかったらあの大量の蛇の動きなんか見えずボン爺が助けに来る前に死んでいたかもしれないのか。


『隠密』も、本当に役にたったのか?

蛇の動きがすぐに俺に向かわなかったのは、獲物おれで遊んでいたのか、それともただ暗闇の中位置が把握出来なかったからなのか。

……そういえば今日はメアリも厨房のみんなも、おれにすぐに気づかなくて驚いてたっけ。

でも、ボン爺は違ったぞ。

ボン爺はすぐに俺に気が付いた。


どうしてだろう。


「そうだ」


カタログをめくる。


『鑑定』

------------------------------------------------

『鑑定Lv1』          1000

『鑑定Lv2』          2000

『鑑定Lv3』          4000

『鑑定Lv4』          8000

『鑑定Lv5』         16000

『鑑定Lv6』         32000

『鑑定Lv7』         64000

『鑑定Lv8』        128000

『鑑定Lv9』        256000

『鑑定Lv10(MAX)』  512000

------------------------------------------------


ボン爺が放ったと思われる、あの蛇を大量に殺した衝撃波のようなもの。

一瞬でぶつ切りにされた蛇の残骸。

今日後ろから来た『隠密』スキルを持った俺にすぐに気づいたボン爺。


ボン爺の強さの秘密が知りたい。


今更だけど、昨夜塀を飛び越える前に『暗視』と一緒に取っておけば、『鑑定』で蛇に気付けたのにな。

『暗視』だけじゃ、地面がただボコボコしてる様にしか見えなかったんだ。

まさか一面が蛇だったなんて思うかよ。


『鑑定』のスキルの取りづらさは、スキルがレベル分けされてるマニュアルスキルだって事だ。

『隠密』や『暗視』はオートスキルのようでレベル表示がないのに対して分かりづらい。

ミラ先生から教えてもらった話を考慮に入れると、魔法と違うから、Lv1からでも、スキルレベルは上げやすいのかもしれない。


人のステータスを見ることが出来るのは、どのくらいのレベルなんだろうか。


「うむむ……」


よし、Lv3だ。3にしとこう。


俺は、4000ポイントを使って『鑑定Lv3』を取得した。


取得したとたんに部屋の色々な物の説明が浮かんで見えてくる……のかと思ったら違った。

集中して対象を見ないと分からない。

これが、オートスキルとの違いなんだな。


俺はベッドに寝たまま、自室の本棚、机、ソファー、窓を一つ一つ見ていった。

……正直面白くない。

『本棚』『机』『ソファー』『窓』としか表示されない。



「失敗したかなぁ」


不安になってくる。

ま、明日だあした。


明日メアリを鑑定しよう。


^^^^^^^^^^^^^

朝、起こしに来たメアリをさっそく鑑定してみる。


メアリは俺にじろじろ見られて不思議そうだったけど構うもんか。


今日はミラ先生のスリーサイズだって鑑定してやるぜ。


メアリの顔をみて集中すると文字が浮かんできた。


------------------------

『メアリ―・リーブス』(18)

職業:テルジア公爵家の使用人

------------------------


えっ? これだけ?


がっかりする。ポイントケチったな、俺。


メアリが傷ついた表情をして固まっていたので謝って食堂へ行った。

メアリには悪い事をした。


せっかく取ったスキルだ。

スキルレベルを上げる為にも諦めずにその後も鑑定を使ってみよう。


『麦パン』『野菜と鶏肉のスープ』『子羊のソテー』『野菜のサラダ』『バター』『オレアのジュース』『ミルク』『ホワグルの実のムース』『紅茶』

『銀のナイフ』『銀のフォーク』『銀のスプーン』『銀のバターナイフ』『テーブルクロス』『テーブル』『椅子』『椅子』『椅子』『椅子』『椅子』……


……しょうもない鑑定は、はっきり言って退屈だ。



よし。次は人にしよう!


俺は使用人達をじろじろと見て回った。


^^^^^^^^^^^^^^^^^


厨房で面白い事が分かった。

------------------------

『サム・マンセル』(45)

職業:テルジア公爵家の使用人、料理長

------------------------

------------------------

『マーサ・マンセル』(40)

職業:サム・マンセルの妻

    テルジア公爵家の使用人、料理人

------------------------

------------------------

『クリス・マンセル』(20)

職業:サム・マンセルとマーサ・マンセルの息子

  ドーラ・カスラムの恋人

    テルジア公爵家の使用人、料理人

------------------------

------------------------

『ドーラ・カスラム』(17)

職業:クリス・マンセルの恋人

   テルジア公爵家の使用人、料理人

------------------------


おいおいおいおい!

なんだよこいつら付きあってんの?

職場恋愛なんかしやがって。

ドーラは17歳、前世じゃ未成年だぞコノヤロウ!


これからどうやってこの2人と接していくか考えちゃうな。


なかなか『鑑定』は面白いな!


俺はにやにやしながらミラ先生の授業に臨んだ。

そこで俺は絶望に突き落とされる事となった。


------------------------

『ミラ・マイヤー』(25)

職業:ドミニク・マイヤーの妻

    テルジア公爵家レオン・テルジアの家庭教師

------------------------



はぁぁぁぁああああ??



ミラ先生が、人妻!?



「レオン様?……レオン様!? 大丈夫ですか?……まだ体調が悪いのかしら」


物凄く心配してくれるミラ先生には悪いが俺はもう駄目かもしれない。


俺は耐えられず、授業を中断してもらい席を立つとトイレに行き、吐いた。


吐くだけ吐いたらスッキリしてきた。


冷静になれ、俺。


ミラ先生は25歳だ。

俺とは20歳も離れている。

俺が10歳になったらミラ先生は30歳。

俺が20歳になったらミラ先生は40歳。

俺が30歳になったらミラ先生は50歳。


ふぅ……落ち着いてきた。

25歳ならあんなに美人なんだし結婚してない方がおかしいぜ。


マイヤー家の娘さんで苗字がマイヤーだからとんだ勘違いをしてしまったようだ。

俺の記憶違いで、マイヤー家のお嫁さんってとこか。


「……はぁぁぁぁ」


ため息が出る。


ミラ先生のあの柔らかくて大きな胸……あれ人の物だったのかぁ。


「……はぁぁぁぁ」


いかんな。俺、頑張れよ。

そうだ! 発想の転換だ。人妻のミラ先生。人妻、人妻、人妻……


いい響きじゃないか!!!


”人妻のミラ先生と2人きりの授業”

”人妻のミラ先生と密室での2時間”


よし、いける。大丈夫だ、俺。


俺は、ミラ先生の待つ授業へと戻った。


ミラ先生はとても心配していたが、調子が悪かったけどもう治ったから大丈夫だと伝え授業を再開した。


俺の個人的な自習によって、先生に教わるのは南国の『ダグロク』語だけになりつつある。


授業はなるべく平常心を心掛けたかったから、算術を教えて欲しいとオーダーする事にした。


……数字をみると落ち着くってのは本当だな。

このままじゃすぐにでも俺は学者になれそうだ……


『この中に数学の得意な方はいらっしゃいませんか?』


『はい。私です。・・・数学の、山田です』


なんてな!

ま、今の俺はレオンなんだ。ヒョロガリの山田なんて奴ァ知らないぜ!


順調に授業は進み、少し時間が余ってしまった。


俺は聞いた。


「先生はもしかして結婚されているのですか」


「あら、レオン様がそんな質問されるなんて、驚いたわ。

 えぇ。結婚してるわよ。ふふ……一人ちいさな娘がいるの」


はにかむ様に笑っていうミラ先生は可愛くてとろけそう……じゃなくて


娘?


……その情報は聞きたくなかった。


俺は第二の衝撃を受け気を失いそうになったが堪えた。


「そうなんですか。

 先生はとても綺麗なので結婚してるのかなと思ったんです。

 でも苗字がマイヤーだったから……」


「やだわ。綺麗だなんて、ありがとう。

 うちは、女系家族なの。だから旦那様には婿養子に入ってもらったのよ。」


その手があったのか。


くそ、婿養子に入ったやつ、上手い事やりやがって……

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