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146.追跡


 考えなくても馬鹿皇子あいつには迷惑しかかけられてないからな。

 ルッカの案は最低だとは思うがナイスアイディアだ。


『でしょでしょ!?』


 だけど、これが難しいんだなー。


『なんでよー?』


 まず第一に、兄貴アンドレが良い顔をしない。分かるな?


『大丈夫よーお兄ちゃんなら。うまくごまかせるって!』


 ……俺の兄貴を馬鹿にしないでくれ。ごほん。第二に、馬鹿皇子あいつにアイゴンを近づけたくない。

 

『なるほど。呪い持ちだもんねぇ、あのひと


 深海こんなところでアイゴンに何かあったら俺は耐えられない。

 実は今でも俺の服の中でそわそわしてるからな、アイゴンは。

 馬鹿皇子あいつに近づいたらおそらく抑えられないだろう。


『ちっ。それは厄介ね。じゃあこうしましょ! あれを運んでるお兄ちゃんに攻撃してもらいましょう。そして反応をみましょう!』


 兄貴アンドレにそんな事させられっかよ!

 いっくらチートっつっても戦闘に関してはド素人なんだぜ!?


『お兄ちゃんを甘やかすのは良くないと思う。いいわ、私が行ってくる! お兄ちゃーんっ!!』


「どうしたんだい? ロ、ルッカ」


『あのね、あそこにたくさん見えるきらきらした貝が今回の敵なの』


「そうらしいね。あんなに綺麗なのに……信じられないな」


『そうよね、そうよね。お兄ちゃんは疑うことも覚えていってね? それでね、お兄ちゃんの力で一気にぶわーっと攻撃してほしいの』


「私が? 私に攻撃など出来るかな……?」


「はんっ! ひょろっこい小僧に何が出来る! わしに任せておけ」


『まぁまぁまぁまぁ! ボン爺さんもまずは、お兄ちゃんのお手並み拝見ってことで!』


「そういうことか。それならやってみろ、小僧」


「はい、師匠。でも何をすれば……」


『いつものキラキラパワーでえーい!って一掃してくれればいいのよ!』


「癒しの力で……そんな事をしても意味があるのかな」


『いーい? お兄ちゃん、やる事に価値があるのよ。やってみて無駄だったらそれでいいんだってば』


「なるほど。ロ、ルッカの考え方はとても素敵だね」


『えへへ……そう? じゃなくて、いいからやってみて! はやくはやくー!!』


 呪いに光の力を使うのか。

 馬鹿王子あいつ関係なく単純に効果ありそうだな。


 悪霊ルッカにいざなわれて兄貴アンドレが敵の近くまでやってきた。

 『ガルルルルルルルルル……』

 おっと、アイゴンが危ないな。離れよう。


「兄上、もしかしたら馬鹿ヨハン皇子が何か隠された力を持っているかもしれません。前衛に馬鹿ヨハン皇子を!!」


「そんな危ない事は出来ない!」


 厳しい表情の兄貴アンドレ。まあそうだよな。


『大丈夫なのよ! むしろ今回の作戦はお兄ちゃんの方が心配なんだから』


「それは……どういう事だい?」


『ママも言ってたでしょ!? その人は少し異質なのよ。今回連れてきてもらったのは逆に、逆にね? 下元気になるかもしれないって思ったからなの』


「意味が分からないよ、ロ、ルッカ」


「兄上、簡単に説明すると馬鹿ヨハン皇子も呪いに侵されているんだ。ルッカが言いたいのは……毒には毒をって事なんだと思う」


「呪いか……通りで彼は……少し変わっていると……」


『あっ考え込むのは後でお願い。とにかくやってみて!』


 貝から1mほど手前に馬鹿皇子ヨハンを横たわらせると、さらに少し引いて兄貴アンドレが力を放った。

 両手を大きく掲げただけの所作で、周辺がまばゆい光に包み込まれる。


「ぎゃっああああああああああああああああっっ!!!!!!」


 久しぶりの馬鹿皇子ヨハンの耳をつんざくような絶叫が響いた。

 光をまともに食らった瞬間に2mほどそのまま飛び上がると痙攣したような変な動きをしながら、口からどす黒い靄の様な物を吐き出して体を覆い、兄貴アンドレの放った周囲の光を巻き込んで渦を作り出した。

 近づきたくない。


「ヨハン君!!!???」


「兄上だめだ! こっちに!!」


 今にも馬鹿皇子に駆け寄りそうな兄貴アンドレを慌てて引っ張って距離を取り様子を見る。


「レオン! 離してくれ! ヨハン君が!!」


「兄上、いけません。もう少し様子を見なくては」


「そうだ。アンドレ戦闘の際は冷静になれ」


「……でも」


「基本だ」


『そうよー。お兄ちゃん、基本よ、基本!』


「ちょっと待って! 馬鹿皇子ヨハンはともかく、貝の魔物が一斉に逃げてる!!」


 馬鹿皇子ヨハンの変化に気を取られているうちにザザザザ…と音を立てて砂煙を上げながら大量の貝の魔物が赤黒く点滅させて全てが同じ方向に向かっている。


『本当だ! 追いましょう!!』


「でも、ヨハン君が!!」


「二手に分かれよう! 俺と兄上がここに残るからルッカとボン爺は追ってくれ!」


『でも私とレオってそんなに離れられないわよ?』


「ちっ。そうだったな」


「どの程度距離がとれるんだ?」


「500m」


「分かった。行けるところまでルッカと追いそれ以上ならわし一人で行く!」


「それは『危ないわっ!! だめよ!! そんなの!!!』」


「おう、嬢ちゃん言ってくれるな。わしは長年単独ソロでやってきたんじゃ。追跡程度わし一人でも出来るわ」


 やばい! ボン爺が冷静じゃない……ここはルッカと俺が残って兄貴アンドレも行かせるか。

 でもここは兄貴の能力チートが欲しいところだから痛いな……っていう間に行っちまった。

 やべっ!!


「ここは任せて頂戴!!」

「おじ様を一人になんてさせないわっ!!」


「ベラとジル!!??」


「約束を破って付いてきてしまってごめんなさいっ!!」

「心配で……見ているだけのつもりだったけど」


「いや! いいよむしろ助かる! ボン爺には怒られると思うけど行ってくれ!」


「やだっ……また怒られちゃう……」

「私、女の子らしくしようと思ってたのに」


 うん。嬉しそうだな、意味が分からないけど。


「じゃ、頼んだぞ! 深海このへんは二人の方が詳しいと思うし!」


「任せて頂戴!」

「おじ様に危害を与えるような事をさせる前に殲滅するわ!!」


 そしてもう見えなくなった……速過ぎるっての。確実にボン爺抜かすじゃん。

 ……あっちはあっちで心配だな。


 こっちの用事を早く済ませねーと。 

クリスマスのお話を別に書いて置いておきましたので良かったらお暇つぶしに……(^^)

閑話に入れるか迷いましたが設定等が異なるので別にいたしました。

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