プロローグ
俺は、今、封印されている。
正直に言えば、何故、俺が封印されるに至ったのか思い出せない。
初めの頃はちゃんと色々覚えていて、
俺を封印した奴のことも覚えていたし、
そいつの事を物凄く怨んだし、呪ったし、
憤怒していたのだが、、、、
いかんせん、この封印が強力過ぎて、
徐々に記憶が消失し始めている。
というか、殆ど何もかも忘れた。
ぶっちゃけると、
俺が何者なのかガチで分からん。
こんな強力な封印のされ方するなんて、
俺は余程、強大な存在だったのだろう。
だがしかし、、、、
俺は俺自身について全く覚えていない。
この強力な封印の中で自己を保てているだけ良かったと思うべきなのかもしれないが。
しかし、封印される身になると分かる。
何もできない、この暇な時間がいかに苦痛かということが。
指の先を1ミリすら動かせないのだから、
この封印は、想像を絶する残酷さがある。
一体、何百年封印されていればいいのだか。
俺の身体は、真っ赤な結晶のようなモノに覆われている。
いや、俺自身が結晶の中に入ってしまっているんだろう。
そして、その結晶を抱え込むように、巨大な大木が天高くそびえ立っている。
何故、1ミリすら動けないのに、こんなに周りの状況が分かるのかというと、、、
俺は余程感覚が鋭いらしい。
俺自身の周りの景色が見えている訳ではないのだが、手に取るように感覚で分かるのだ。
何だろう、第六感?なのか??
とにかく、誰か、早くここから出して欲しい。もう此処にいるのは飽きた。
心底飽きた。
もし此処から出られたら、
この忌々しい結晶の塊と無駄にでかい巨木を木っ端微塵に粉砕してやろうと決めている。
それに、俺を封印した奴を見つけたら、
海の奥底の、それこそ海溝の奥底まで沈めてやろうとも決めている。
ああ、早く封印、解けろ。