表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
死んだら神になりました。  作者: イントレット
第2章 偽神ハンター、ここに爆誕。
24/44

1話 対偽神特殊介入統括ギルド

 アオイ様の管理する世界で五百年、エルザとサクラとでいちゃつきながら過ごし、神界に戻ってから二千年経った。

 神界に戻ったとき、予定通りエルザが神へと昇華したので<神器>や<神具>などすべて分け与えた。

 念のためタロウやハナコ、ソウ爺のとこまで出向き分けることはできないかと試してみたが駄目だった。

 タロウ達に試したのはまだ<神具>が一個分の時だったからもしかしてと思ったのだがその考えは外れだった。

 やはり俺に関するものにしか分け与えれないようだ。


 その後千年間ぐらいは普通の依頼をハイペースでこなしてポイントや存在格を稼いでいった。

 最初の三回ほどは三人で依頼を受けて一緒に行動していたのだが、もともとサクラと二人の時点でかなりの過剰戦力だったのに、エルザが加わって三人となりさらに戦力が増して、余裕すぎて何とも言えなくなったので、依頼自体はそれぞれ分かれて行うことも多かった。

 縛りプレイしてもいいんだけど当時は偽神の危険性というか俺の遭遇率について改めて忠告されたことが心に残っていて一応やめておいたのだが、結局やたらと偽神と出会うので縛りプレイをしなくて正解だった。

 そしてその後もいろいろあって、詳しく説明するのは後にして先に結果を言えば、二千年が経った今、俺は小さな世界のひとつを管理、運営する立場になっていた。





 ことの始まりはおよそ四百年前か。

 相変わらず俺は偽神とやたら出会うのでそれを倒して、己の存在格を一気に引き上げていた。

 依頼を終え、神界に戻ったときにサクラやエルザといちゃいちゃしつつ状況を互いに報告するのだが、彼女たちも偽神には十回に一回の頻度で偽神と出会っていたとのこと。

 ただ、<神殺し>持ちには出会うことはなく、彼女たちには<神具>があるため苦労もしなかったようだ。

 一方俺は三回に一回は偽神と遭遇するし、二回ほど<神殺し>持ちとも相対した。

 おかげで今の俺の<神具>は左腕から胴体全体までを守るかなり堅牢な鎧となっている。

 その更新された<神具>も既にサクラ達だけでなく息子のレイサークや俺の孫、ひ孫になる神狼たちにも<神具>を渡してあり、彼らの<神具>は左右で揃った腕甲、左右で揃った足甲、きちんとした胸当てと、見た目のバランスが整っている。俺は浸食されてる風なのに。


 そして、孫、ひ孫と言ったように、なんとひ孫までは俺の血により確実に神へと引っ張られるらしく、俺に付随する神様が急増していた。

 ほかの神は自分の子だけが、たまーに孫が神になる程度らしいので、俺が異常だとはソウ爺の言葉だ。

 おまけにひ孫以降の世代でも親戚同士でもう一度交わり血が濃くなるとそれも神へと引き上げられたりしてさらに増えた。


 当然、エルザとの間にできた子も孫もひ孫もまとめて神になっている。

 それにも驚いたのだが、人を神へと格上げする行為は神としての存在格を大きく向上させることになるらしいということを聞いてさらに驚いた。

 正確には、神の血で引っ張られて神になったものは神は神でも従神となり、その元の神に対して稼いだ経験値の一割を流すようで、ねずみ講だとかマルチ商法のようになっている。

 そんなことを聞いたのは既に俺の下に神が急増したあとで、これもソウ爺に教えてもらった。流石に創造神様はこのあたりのことは詳しい。

 通りで俺のほうが<神器>の解放がやたらと早かったわけだ。

 にしてももっと早く教えてほしかったな。意味はなくとも心構えはできたというのに。


 そして、今、俺の下に付いている扱いの神は神狼からはサクラ、レイサーク、孫が五、ひ孫が二十の計二十と七の神、さらに後に血が濃くなったことで神になったのが追加で十三の神がいて神狼からの神は計四十神だ。

 龍人となったエルザといちゃいちゃしてできた子はエルザとの子が八人、その子供の子、つまり孫が三十二人、そしてひ孫が百と二十八人で合計百六十八神。この内龍人として生まれそのまま神になったのが七十八神で、その他の人、エルフ、ドワーフ、獣人とばらばらなのが九十神だ。


 どうやら龍人と他種族との間では七十五パーセントの確率で龍人、二十五パーセントの確率で相手の種族で生まれてくるようだが、龍人の血が入っていても種族として人だったりする子が龍人以外の種族と子を作っても龍人は生まれないため龍人以外のほうが多く増えたらしい。

 もっともある程度増えていけば龍人同士で結婚することも増えてくるだろうしそうなったら必然的に俺の血が濃くなって神がまた増えるんだろうけど、そこはあんまり考えないことにした。

 考えないことにしても既に二十もの龍人ベースな神が現れているので結局最終的には龍人ベースの神が九十八神、他種族の神も同じように増えて百と一神にエルザを加え、ぴったり二百神だ。


 また、サクラとは千年間でレイサークしか子を作っていないのに対し、エルザとは五百年で八人も子を作ったがこれは、サクラの時は狼の群れを神狼にしていた為、最初から数がいたのであまり必要じゃなかったためで、エルザの時はエルザ一人しか龍人がおらず多少頑張って子供を作らないといけなかったからだ。

 別に必要がなければ一人で十分で、後はイチャイチャするだけでお互いに満足だったのである。

 だからアオイ様の世界での五百年でもサクラと子は作っていない。

 そんなわけでサクラとその関係、エルザとその関係の従神全部あわせて二百と四十の神が俺の下に付いている。

 


 これは大雑把にいえば、俺は何もしなくても、普通の依頼で得る経験値の二十四回分を得ることができるようなものなのである。

 まあ、別に、多くの従神がいることは珍しくない。

 世界は無数にあり、それを管理したりギルドから依頼を受ける神も無数に存在するのだから同じように多くの従神がいる神もいるだろう。

 だが、それに加えて俺に引っ張られた神は漏れなく俺の「偽神によく出会う特性」をも多少弱まって受け継がれるらしいので依頼を受けた者は依頼先の世界で結構偽神と遭遇してしまう。ただ、<神具>があるため、安定して偽神を倒すことができるようでそこは一安心。


 しかし、偽神を倒すことは一気に存在格を上げることになる。

 それが二百と四十の神が分散して一度、依頼を受けてその世界にいけばそのうちの十分の一、二十四神ぐらいは偽神に出会うので、彼らが倒した偽神の経験値の一割が俺に流れ、俺の存在格も大きく向上するっていう事態になっている。そんな状況からしばらくして、俺の存在格は世界を管理する神と同列になってしまった。

 いわゆる上級神の仲間入りである。なお、別に便宜上そう言ってるだけで上級神とかいう役職はない。


 そんな俺の状況に創造神であるソウ爺が俺に提案してきたのが、余っている小さな世界の管理、運営だった。

 管理などと言っても他の世界のように魂から生命を作るでもなく、その世界を言わば俺のマイホームというかギルドホームとして扱って欲しいとのこと。


 どういうことかと詳しく聞けば、俺や、俺に付随する従神はやはり偽神と遭遇する事が多く、加えて<神具>という存在が対偽神において効果的であるため、いっそ俺たちを対偽神を専門とした組織にすることでより早く、効果的に対処できるだろうと。

 その際、拠点を用意した置いたほうが連携が取りやすいから俺にその拠点を作って欲しいとの事だ。

 まあ、組織を作るにしても断るにしても結局俺は偽神と出会うことになることはここまでの経験上分かりきったことなので俺はそれを受けることにし、そのおまけとして小さな世界を手に入れたのだった。




 

 そんなわけで俺は今、その余っているという小さな世界の管理者をしている。

 この世界は他の世界のように生命を作ったりはしない俺のマイホーム兼『対偽神特殊介入統括(レイズゴッド)ギルド』のギルドホームで、俺に関係する神だけが住まう世界だ。

 通常の世界のような生命などおらず調整する必要などほとんどないので結構楽なもので、いつか本当に世界を管理するときの予行練習と思えばちょうどいいだろう。

 

 俺たちのギルドの役割はたった一つ、あらゆる偽神の問題に即座に介入し解決することだ。

 ソウ爺さんからこの話を受けて、ギルド作ったけど当初はこれ需要はあるのか? と思っていたが、俺の認識よりも偽神は他の神にとって厄介な存在らしく、世界の管理者からの依頼は結構頻繁にくる。

 そもそもなんで偽神と出会う神が少ないのかと言えば、単純に確率が低いのもあるが、偽神が発生するとその世界を隔離して介入できなくなってしまうからだ。

 そのためそこにいるとわかっていてもその世界に介入ができないことが多々ある。

 そういった場合世界そのものを消し、また最初からやり直すなんて方法も取られたことがあるらしい。


 だが、俺たちには<神具>がある。かつてダンジョン世界で偽神と戦った時、俺は<神具>があったため偽神が隔離したボスエリアという空間に介入することができた。

 このギルドが作られることになったのはこの力が大きい。

 今までは、偶然神がそこに出くわさないとダメだったのが、隔離された後でも介入できるようになったため世界の再利用が可能となった。

 もちろん、遅すぎればやはりその世界の生命が死んでいたりするが、世界そのものを消して最初からやり直すよりも、偽神を倒して世界を開放してからそこに生命を作り直す方がリソースの消費が少ないためやはり介入できたほうがいい。


 また、偽神問題への介入、解決とは偽神を倒すだけじゃない。

 現状、偽神の被害は俺たちによって最小限に抑えられている。だが、偽神に会うのは俺たちだけじゃなあい。出会う確率が低いだけでほかの神も偽神に出会うことはある。

 ある程度力を付けた神なら問題なく撃退するだろう。

 だが神になったばかりの者が出会えば苦戦は必至、さらには敗北し、殺される神もいる。

 それを防ぐため新しく神になった者への訓練もこのギルドの役割の一つだ。

 もっとも訓練自体は俺たちじゃなくてもほかの神同士で軽く戦ってみればそれがそのまま訓練になるので、あまり需要はない。

 

 そして偽神についての研究も俺たちの役割だが、偽神がどう発生するのかとかはわからないし、<神殺し>についても今のところ俺しか出くわさないし回収しても調べる前に<神具>になるので詳しくはわからない。

 だが、隔離された空間に介入を可能とする<神具>をなんとか極一部だけ解析し、あるアイテムが作られるようになりこれが偽神による被害を減らすことにつながった。


 それは一種の通信機。

 他の<神具>のない神を介入可能にするためのアイテムを目指していたのだが今のところはこれが限界だった。

 これを使うとたとえ偽神に世界を隔離されても、このギルドに直通で救援信号が送られる。

 今までは世界の隔離に巻き込まれ閉じ込められれば外へと連絡ができなかったのがこれで可能になったのだ。

 それをこの世界にいる神が受け取ると即座に隔離された世界に介入し、偽神を制圧するのだ。

 一度完成すれば量産は容易いのですでに全ての神に渡されているため、隔離に巻き込まれたものだけでなく、管理者からの応援要請にも応えることができる。

 それが二千年の間に起こったことであり、今後の俺の主活動はアオイ様の世界にいた偽神のように隔離を最小限にとどめ隠れひそみつつ力を蓄える偽神を見つけ出し倒すことと、他の神の手に負えない偽神を代わりに倒すことだ。



 つまり、本格的に偽神ハンター、始めました。




 そんな俺は今、この世界に作った自分の城の一室でゆったりと椅子に座りながら俺が生きていた時代の小説を取り寄せ、読みふけっている。

 すると、部屋の扉が勢いよく開き、そこから人影が飛び掛かってきた。


「レイーただいま!」

「おう、おかえり。どうだった?」

「うん、問題ないよ。今回は偽神もなしだね」


 飛んできたのは依頼で出払っていたサクラで、元気よくただいまと言って抱き付いてきた。

 そんなサクラを抱き返し、ぶんぶん振られる尻尾をモフモフしながら今回の依頼先について聞けば問題なしとのこと。

 ちなみにエルザは別の依頼でここにはいない。


 俺たちは何も完全に偽神だけ倒してるわけでもなく今回のサクラのように普通の依頼を受け魔王を倒したり魔王になったりしている。

 これもギルド活動の一環で俺たちが適当に依頼を選んでいった先の世界で、たまに偽神が隠れてたりタイミングよく現れることがあるからだ。

 これがそのまま早期発見に繋がるため従神のいくらかは普通の依頼を受けまわってる。

 

 その為、特にそういった偽神と出会う確率が高い俺のメイン活動は直感で選んだ普通の依頼を受けることだったりする。

 さしずめ偽神探索レーダーだな。



「父上、救援信号を確認しました」

 

 しばらくサクラといちゃついてると開け放たれた扉からそう声がかかる。

 俺とエルザとの子であるアミィだ。かわいい娘である。神になってもそれは変わらない。


「ん、わざわざ俺に報告ってことは今空いてるの俺だけか」

「はい。一応いるにはいますが、今いるのは全員帰ってきたばかりなので」

「じゃあ、行ってくるか。アミィありがとな。少しは休めよ」

「はい、父上」

「いってらっしゃーい、レイ」


 偽神問題、需要はたくさん対応は俺の関係者のみ。

 だからこのギルドはほとんどフル稼働だ。

 まあ、忙しい方が存外楽しいものだから気にしないけどね。

 


 嫁と娘の言葉を背中に受けつつ俺はさっさと移動する。

 

 さて、ちゃっちゃとお仕事やりますかね。

神はそれこそ<神殺し>で殺されでもしない限りは不老不死の存在であり種の保存をする必要などないという設定。

でも、必要はなくても可能ではあったりもする。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ