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死んだら神になりました。  作者: イントレット
第1章 神ライフ始動します
18/44

16話 テンプレチックワールド・2

 次の日ギルドでエルザと合流して早速冒険者になって初の依頼を受ける。


「よし、これにしよう」

「んー?オーガの群れの討伐?ってこれAランクの依頼じゃないの」


 オーガ自体はランクB相当のモンスターだが群れの討伐ということでランクが上がっている。


「俺たちのパーティが一応ランクBだし受けれるだろ?」

 

 パーティのランクはパーティリーダーのランクに準拠する。

 でもって、たしか現状のランクの一つ上の依頼まで受けることが出来たはずだから問題なく受けれるはずだ。


「そりゃ受けれるけど……」

「まあこれぐらいじゃないとつまんないしな」


 さっさと依頼票を切って受付へと持っていく。


「これお願いします」

「はい……えーとこちらはAランク相当のクエストになりますが大丈夫ですか?」

「ノープロブレムです」

「初めての依頼ならもう少し抑えたほうが……」

「大丈夫です。早くしてくれない?」

「わ、わかりました。くれぐれも気をつけて無理だと判断したらすぐに逃げてくださいね」

「ほい」


 受付の人も心配してくれてるようだが心配無用だ。


 

「オーガの群れがいるってのはこっちの方だっけか」

「このへんにオーガなんてのが群れだなんて珍しいことね」

「そうなのか?」

「ええ、さっきまで私たちがいたのは王都だから、その周辺は定期的に騎士団の方が魔物を討伐して回ってるのよ」

「ああ、やっぱ王都なのか。どこの国のなんて名前の街なんだ?」

「レイ……あなたどれだけ物を知らないの……。ここは風の国でさっきまでいた街はシルフィーよ」

  

 風の国でその王都だからシルフィーか。

 なんか分かりやすいな。


「へーそういう感じの国の名前なのか。じゃあ他にも火の国だとか水の国、地の国みたいな名前の国があったり?」

「え、本気で言ってる?そんなことも知らないなんて、常識よ?」

「んまあぶっちゃけ俺、異世界から事故で来ちゃった的な感じなんで」


 記憶喪失だとか山奥で育ったとかそういうのは面倒くさいからぶっちゃけた。

 事故どころか自分からこの世界に来ることを選んだわけだが。


「かわいそうに。どこかで頭を強く打っておかしくなっちゃったのね」

「いや、違うから。そういうのいいから」

「大丈夫よ。あなたが多少おかしくたって私は気にしないわ」

「本当に違うから。マジで」


 ぶっちゃけたのに信じてもらえなかった。

 おい神の言葉に宿る力しっかりしろよ。

 あれか真実じゃないからか。

 くそう。

 じゃあ俺実は神様でこの世界には神様の依頼で来てるんだとでも言えばちゃんと分かってもらえるのだろうか。

 いや、まあいいや。


「本当に違うからな。まあ、それはいいんだ。で、どうなんだよ」

「ふふ、ええ、そうね。レイが言った国と風の国、それにもう一つ合わせて五つの国があるわ」

「五つだけなのか?」

「ええ。もっとも人族の国はここ風の国だけよ。」

「ってことは他の国はまた別の種族の国か」

「そういうこと。まあこの国でも他種族はいるし他種族の国にも人族はいるけどね」

「へえ。まあいずれは他の国にも行くかな」


 その後もエルザからこの世界の国のについて聞きながらオーガの群れがいたという場所へ進んでいった。

 どうやら大陸を方角で分けて北には火の国が、南には地の国が、東には水の国が、そして西にここ風の国があるようだ。

 そして中央に龍の国。

 いいね。是非龍の国には行きたいと思う。




 エルザと話しながら辿り着いたのは森だった。

 木の密度はそれほどでもなく、他の冒険者が通ってるのかいくつも獣道ができていた。

 今いるのはその森に入る手前だ。


「お、目的の場所に着いたかな」

「ここが報告のあった場所で間違いないようね。この木につけられた傷、これオーガが残す縄張りの主張を表すものよ」 

「エルザって俺と同じ新人冒険者で俺より低いCランクのくせに結構ものしりだよね」

「失礼ね!レイが何も知らなさすぎるのよ!」

「仕方ないじゃん?異世界人なわけだし」


 人じゃなくて神だが。


「はあ……。で、ここからどうするのよ」

「どうって?」

「だからこっからオーガを探すんでしょうけどまずはどこから探すとかそういうのよ」

「え?探さねえよ?」

「なに言って……」


 エルザの言葉を聞くこと無く息を大きく吸い


「ウォオーーーーーーーン!!!!!」

「っ!?」


 かなりの大声で叫んだ。

 叫んだっていうか狼の遠吠えだ。

 その声は確実に森の奥まで届いただろう。


「ちょっと!何してんのよそんなことしたらここに魔物が集まってくるじゃない!」

「え?魔物を集めるに決まってるじゃないか」

「は?」

「んじゃあエルザ強化トレーニング一回目始まりー始まりー」


 そう言い残して俺は後ろへと下がる。


「ちょ、ちょっと!まさか今から私だけに戦わせるつもり!?」

「せいかーい。安心しろよ死ぬ前には助けに入るからさ」

「そんな勝手な!」

「強くしてくれって言ったのはそっちじゃないか。俺実戦意外での教え方なんかしらんからな」


 俺が鍛えたのは群れの狼どもくらいだ。

 その時もひたすら狩りを行わせたし。

 ただオーガはエルザにとっては単体でも苦労する相手だろうから全部は無理だろうが。


「でも……」

「はーいそろそろ来るぞー気を引き締めろよ」

「くっ!やるわよやればいいんでしょ!絶対危なくなったら助けてよね!」

「安心しろって。でも初めから援護を期待した戦いとかしたらエルザにも攻撃するからな。死なない程度にな」

「今わかった!ギルドマスターが言ってたようにあんた糞野郎だわ!」


 あれま。

 エルザにも糞野郎言われちゃった。


「ではまずはオーガが三匹だな」

 

 オーガは全員棍棒を持っていた。

 棍棒なんて生易しいものでもないな。あれは丸太だ。

 散々グチグチ言ってたがオーガがそこまでくればエルザも戦闘モードへと入った。

 エルザは三匹のオーガに囲まれないように常に動きつつ長剣をオーガに向け牽制している。


「まあそれぐらいは分かってるか」


 そうして最初の攻撃はエルザからだった。

 オーガたちの動きを牽制しつつ隙を見て長剣で鋭く左端のオーガの脇腹に斬りかかる。

 オーガもエルザのスピードに反応出来ておらず避けることが出来ないようだ。

 予想よりもエルザは強いっぽいな。


 その攻撃が当たる瞬間俺はエルザに対して少しだけ殺気を飛ばしてやった。

 少しといっても神水準でだが。

 

「ッ!?」

 

 するとエルザは攻撃を無理やりやめて横に大きく避けた。

 もちろんオーガの誰も攻撃などしておらずその回避は無駄なものだ。

 エルザもその様子に眉をひそめた。


「うんうん。中々気配にも敏感じゃないか」

「レイッ!?」

 

 その言葉で俺の仕業と気づいたようだ。


「殺気だけ分かってもだめだぞ。殺気がどの方向から、どいつから出されたってのも瞬時に把握して判断しないと」

「この糞野郎!」


 俺は両手を肩の高さまで上げ左右に広げ首を振ってやる。

 やれやれだぜ。

 

 エルザはキッと俺を睨みつけるがすぐにオーガへと視線を戻す。

 オーガもまたエルザの無駄な回避に戸惑っていたが気にしないことにしたようだ。

 オーガ達はそれぞれの丸太を振り下ろしてエルザへと襲いかかった。

 だが、ただエルザがいる場所を狙うだけのオーガの攻撃など彼女は苦にもしないようで軽々と避けてオーガへと接近する。

 そしてその長剣で一閃する。

 その一閃で一匹のオークの腹は切り開かれて戦闘不能になった。

 放っとけばそのまますぐに死ぬな。


「おー攻撃力はそこそこあるのか」

「うるさい!」


 んーすっかり嫌われちゃったかな。

 まあ、いいけど。


 そこでまた殺気を飛ばす今度は殺気よりも強めにだ。

 先ほどので学習したのかチラッとこっちを見たが今度は大きく避けることはしない。

 でもなあ……。


「っ!?」

 

 オーガの一撃がエルザに迫っていた。

 エルザは反応が遅れるもそれをギリギリのところで回避した。

 だが地面を転がるように避けたので装備が汚れだらけだ。

 

 先ほどの殺気はオーガの発するものを覆い隠すために発したものだ。


「はい余所見もアウトだし殺気の大小関わらず察知しないと今みたいになるぞ」

「くっ!」


 

 その後10分ほどかけ、残りの二体のオーガを倒したエルザだったがその息は荒く肩で息をしている。


「呼吸乱れてんな」

「あんたの……せい、でしょ……ハァ……ハァ……」


 10分間攻撃する瞬間とかされる瞬間殺気飛ばしてかと思えばどちらでもない時にも飛ばしてたからな。

 

「でもまだまだ来るんだからな。なるったけ回復させろよな」

「できたら苦労はっ」

「文句とか言ってると余計体力消費するぞ」

「ちっ」


 舌打ちされた。


「体力回復には時間がかかるってのはまあそうだが、だったら消費を抑えるように動くとかあるじゃないか」

「……」


 一応聞いているようだが返事はない。

 スルーなのか体力回復に努めてるのか。

 多分後者だな。


「さて、次は……トロール?オーガじゃねえじゃん。」


 次に現れたのはトロールだった。

 ブヨブヨに太った体を持つ巨人だ。

 オーガ以上の巨大な棍棒を持っている。

 再生能力なんかも特性の一つだったな。

 この世界だとギリギリランクAに入る魔物だっけか。


「まあ、ちょうどいいからそのまま頑張ってみようか」


 エルザもそう言われるんだろうなと分かっていたのかトロールに向かって武器を構える。

 その顔は不満が溜まってるような表情をしていただが。

 トロールの脅威は怪力と再生能力だが動きは名前のごとく遅いのである程度早く動けるのなら問題ない。

 最も今のエルザは疲れてるからキツイかもしれんが。


 トロールが棍棒を振り下ろす。

 エルザはすぐに回避しようとしたが疲れからか足が一瞬動かなかった。

 それでもなんとか力を入れてギリギリで回避することに成功する。

 だが振り下ろされた棍棒が地面を叩き破片を周囲へと撒き散らして、そのうちの幾つかがエルザを襲うことになった。

 

 トロールの怪力から弾き飛ばされた小石の威力は侮れないものがあり確実にエルザにダメージを与えその体を少しだけ吹き飛ばした。

 そういえばなんだかんだで初ダメージだな。

 

 疲労が溜まっていた所に攻撃を受けたせいかエルザは地面に伏せたまま立てないようだ。

 立とうとはしているが無駄に終わっている。

 そこにトロールが近づいて再び棍棒を振り下ろす。

 その光景にエルザは絶望した顔を浮かべてしまってるようだが危なくなったらちゃんと助けるって言ったのを忘れないで欲しい。


「グングニル!」

 

 <神器>を槍にしてトロールへ投擲する。

 槍はトロールの横っ腹に突き刺さりそのままその巨体を吹き飛ばしながら木へと突き刺さった。

 その一発で自慢の再生能力を活かせぬまま死んだようだ。


「まあ強化トレーニング第一回目はこれで終わりだな、よく頑張った」

 

 そう言ってエルザに手を貸して座らせてやる。

 そして魔法で傷だけ回復してあげた。


「そういえばオーガの群れって大体どんぐらい?」

「……大体10体から15体ぐらいで行動してることが多いはずよ……」


 うーん若干ぼーっとしちゃってるけどちゃんと答えてくれた。

 助けに入ったのがそんなに意外?

 最初に助けるって言っておいたのにな。

 まあ、強化トレーニングは終わったしゆっくり休んでてもらおう。


 ちょうどオーガの本隊がやってきたようだ。

 

「「「ガァア!」」」


 うんとその数は丁度10体か。

 まあ楽勝だな。

 何も持ってないのと棍棒もってるのが半々。

 あ、一体だけ剣持ってんな。


「ま、魔剣持ち!?」


 後ろでエルザが驚いてる。

 ってことは特殊なタイプなのかな?

 じゃああいつは最後だな。


 普通に囲まれたけど問題ない。わざとだし。

 最初の試し撃ちはほとんど投擲アイテムとして使ってたけど今回は普通に使うことにする。

 

 とりあえず槍を大きく振り回して牽制して足止め。

 足が止まったところで一体のオーガの頭を突き、貫く。


 やっぱり圧倒的にスピードに差があると囲まれた状態って何の意味もないな。

 相手が反応する前に攻撃して反応する前に構え直せばそれで終わる。

 

 オーガ達には気づいたら仲間がやられてたぐらいしかわからないだろう。

 今度はオーガにも反応できるくらいの速度で2体目の喉を突く。

 オーガも今度は反応してその隙をつこうと後ろにいたやつらが襲いかかってきたが槍を素早く戻しそのまま石突で突き飛ばす。

 

 クルッと槍を反転させて今度は横に振ってさらに左右にいたオーガを斬り裂いた。

 これで半分。

 

 残りは正面に1体と左右に2体ずつだ。

 ほとんどビビっちまって先程から固まっている。

 

 右端にいたオーガに下から斬り上げて1体を縦に真っ二つにしてそこから横に振って隣のオーガの首を断つ。

 次に右向きに回って振り向きざまに槍を横に振ってやれば反対側の2体も即退場だ。


 そうして残ったのは魔剣持ちのオーガだ。

 こいつ最初は他のオーガに命令を出して自分は手を出さなかったし途中からはビビって完全に固まってた。

 馬鹿じゃねえのか。


 オーガに向かってゆっくりと槍を構えてやればようやく我に返ったか怒りに身を任せ突進してきた。

 振り下ろされる剣を横から押すようにして叩きながら内側に流し地面に抑えつけるようにしてやる。

 武器を合わせた時に気づいたがこいつの持つ魔剣はなかなかにいい品のようだ。

 <神器>と比べればゴミだが。

 

 オーガは何を起こったのか分からないといったようにポカーンとしていたがその無防備な顔を槍を貫いてやった。


「これで終了か」


 魔剣とかいいつつ呆気なかったな。

 まあ、自重なしでやれば当然か。

 とりあえずこれ以上は魔物に用はないので森のなかにかなり強めに殺気を飛ばしてやればこちらに近づいていた気配が遠ざかっていった。


 エルザを見れば呆然とした表情でこちらを見ている。

 近づいてもただ大口開けてこちらを見るだけだ。

 

「大丈夫か?」

「え……あ、うん……」


 手を出して声をかければ一瞬何のことか分からず固まったがすぐに気付きこちらの手を掴んできた。

 俺もエルザの手を握って持ち上げ立たせてやった。

 だがまだポカーンとしている。

 俺はエルザの顔に両手を持って行き―――



 ―――パァーーーン!!!!


 顔の目の前で手のひらをたたき合わせる、つまり猫騙しをしてやった。


「え!?な、なに!?」

「よーし戻ってきたか」


 突然の事にエルザは思いっきり驚いて体をビクつかせた。

 目の前でゆっくりとモーション見せながらやってやったのに気づいてなかったようだ。


「なにボーっとしてんだ?さっさと証明部位回収して戻ろうぜ?」

「……」


 返事が無くて、んー?と様子を伺っていると拳が飛んできた。

 ま、避けるがな。


「何で避けるのよ!」

「そりゃ避けるだろ」

「あんたが悪いんでしょうが!」

「いやその理屈はおかしい」

「こっちは本気で死ぬかと思ったのよ!?ここは一発殴られるのが筋ってもんでしょう!?」

「やなこった」


 あれこれ言い合いながらも拳の攻撃は止まない。

 そしてもちろん全て当たらない。


 

「ゼー……ゼー……何で……避けるのよ……!」


 10分くらい経ったら回復したばかりだったからかすぐにエルザがバテた。

 こんだけ動けたんならトロールの時も動けたんじゃねえのか

 また、途中で拳から長剣による攻撃に切り替わってたがやはり無駄だった。

 ていうか武器使うなよな。あぶねーだろうが。


「よし落ち着いたな?じゃあさっさと回収して帰還な」

「あーもう!わかったわよ!」


 未だ不機嫌な様子だが素直にオーガ討伐の証明部位を集めていくエルザ。

 いや、素直じゃねえな。渋々って感じだ。


「えっとエルザの討伐は3体で俺が10体+トロールだからまあ8:2でいいか」

「それってまさか……」

「おう報酬の割り振り。あ、もちろん俺が8な」

「いや、確かに私がいなくてもなんとでもなった所を無理言ってパーティ組んで鍛えて貰ってるのだからおかしくないけど……でもこれ鍛えて貰ってるって言うのかしら?」

「ああん?強くなるならやっぱ実戦が一番だろ?普通は自分の限界まで振り絞って戦って鍛錬だなんて出来ないんだからな。そうなった時点で死ぬ間際な訳だし。そこをエルザは安心して死ぬ間際まで戦って経験を積めるんだからすぐ強くなれるんじゃないかな」

 

 まあ寿命は削ってる感は否めないかもしれないが、人間ただ長く生きればいいってもんじゃないと思うんだ。

 自分の人生にどれだけ満足することできるのかが大事だと思う。

 このトレーニングで満足することがあるのかどうかは置いといて。

 

「……最悪だわ……こんな糞野郎に師事を受けようだなんて最悪の選択をしたわ……」

「なんだ?俺に鍛えてもらうのやめる?」

「や、やめないわよ!元々、私から言い出したことなんだから!例えその相手が予想外の糞野郎でこれからもこんなふざけた方法で鍛えられるんだとしても私からは逃げないわ!」

「おーそれはよかった。まあ今日は最初だから軽めだけどな」

「え?……に、逃げないわよ?絶対に負けないわ!」


 まあ鞭ばかりもあれなんで飴も与えておかないとね。


「んじゃとりあえず初トレーニング記念にこれ」


 エルザにオーガから手に入れた魔剣を渡す。

 

「えっ!?これオーガが持ってた魔剣じゃない!?これ売れば結構な値になるのよ?自分で使ってもずっと使えるようなやつなのよ!?」

「ほら、丁度長剣じゃん?でもって今エルザが持ってるタイプと似た感じだし丁度いいじゃん」

「いやだからこれすっごい価値があるのよ?分かってる?というか人の話聞いてる?」

「分かってるよ。価値があるから私ほしかったのーだろ?だからあげるって言ってるじゃないか」

「違うわよ!そんなわがまま言ってないでしょう!?そうじゃなくてこれはレイがオーガを倒して得たものなんだからレイのものでしょう?それを……」

「俺のものだからエルザにあげても別に構わないよね」

「そうかもしれないけど!……いえ、変な意地を張ってても仕方ないわね。ありがたく受け取るわ」

「おうそうしてくれ」

 

 なかなか頑固なところがあるが無事受け取ってくれた。

 

「でもほんとにいいの?」

「オーガの討伐だけでそれなり食っていける金は手に入るし、俺にはこれがあるからな」

 

 そう言って未だ槍状態の<神器>を見せる。


「これに比べたらそんなのガラクタだし」

「た、たしかにこの槍は業物なんていうもんじゃないわね……」

「だろ?」


 正直能力縛ってないから拳で充分だが。

 <神具>もあるし。


「まあいい武器が手に入ったからって使い手が急に強くなるわけじゃないからそこは気をつけろよな」

「わ、分かってるわよ……。はぁ、もう次に何が来てももう驚かないわ」

「お、じゃあ次はドラゴン狩りいっちゃうか」

「うっ……う、受けて立とうじゃない!」

「まあ冗談だ。さすがにまだ早いって」

「まだってことはいつかあるわけね……」


 その様子に思わず笑ってしまいエルザから拳が飛んできたが避けなながらも笑い続ける。

 エルザも釣られたのか今日一番の笑顔で笑い始めた。

 だいぶエルザの態度や口調とか変わった気がするけど多分これが彼女の素に近いんじゃないだろうか。

 若干俺の扱いが悪くなってる気がするが。

 気にする程でもないな。



 


 記念すべき最初の依頼はこうして幕を閉じたのであった。

展開遅くてすいません。

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