11話 神の敵
更新しないといったな?
アレは嘘だ。
無事神界へと帰ってきた。
いろいろ他の神様方に確認したいことがあるがまずはこれだな。
「レイサーク受け取れよ」
サクラにやったのと同じように<神器>などを分け与えた。
これでこいつも完全に神として成立するのか。
「にしてもあれだな。お前神になったってことは死んだのか?」
「ええ、まあ。でも寿命で死んだんですけどね」
「そうか、ならよかった……いや、なんか短くないか?寿命」
「そうですか?」
「だって俺たちが死んで神に戻った後すぐにサクラと一緒に例のチケット使って約20年人間として生きて、変なのに巻き込まれてのあの騒ぎだろ?20年ちょっとでお前寿命迎えちまったのか」
もう百年は生きててもおかしくなかったと思うんだが……。
「いえ?父上と母上が亡くなった後百年ぐらいは群れを率いてましたしそこから五十年のんびりして寿命を迎えましたが」
「へ?」
どういうこっちゃ。
あ、そういえばゲームが現実化した時の街ってやたら廃れてたけどそういうことなのか?
まあ浦島太郎状態なっても問題ないからどうでもいいや。
「ま、それはそれとして、だ。お前なんで人の姿になってんの?」
「ああ、父上達が亡くなって少し経ったら急に人化の術を覚えまして」
はあ?
「あ、それってあれじゃない?私が人の姿に変わったのと関係があったりするんじゃないかな?」
「あーレイサークとは繋がりが深い関係だしそうかもしれんなあ」
「僕も初めは驚きましたがお陰でドワーフの国との交流がやりやすくなりましたからちょうどよかったです」
ああ、ドワーフとの交流できたのか。
結局面倒くさくなって放置したんだったっけかな。
充分己の牙と爪で皆戦えるようになってたし。
「最終的に皆人化の術を覚えたんですが何を考えたのかその姿を見たある国が奴隷にしようとしてきたので物理的に消してそこに神狼族の国を築き上げました」
「え?国ってそんな簡単に立ち上がるものだっけ?」
「ドワーフ達はもちろんエルフ達や龍人達、そして獣人の皆様に手厚く支援してもらいました」
「ああ、人族以外とは仲良くやってたのな」
まさか俺が死んだ後国が作られるなどの急展開が起こっていようとはびっくりである。
まあ皆元気にやってるならいいか。
「んじゃ改めて、神の世界へようこそ。我が息子よ。これからは自由な神ライフを謳歌するがいい」
「はい!」
その後レイサークはヴァーンズに関する騒動の詳細には興味が無いらしくまずは一人で世界を巡りたいと言って立ち去った。
まあ、その辺は自由だからな。
いつか一緒に依頼を受けることもあるだろう。
「さて、とりあえずはタロウのところかな」
「何かわかるといいんだけど、どうだろうね」
そんなわけで困ったときのタロウ様のところへ俺たちは向かうことにした。
「答えられない」
タロウのところへ行き何か知らないか尋ねてみれば答えられないという。
知らない、分からないじゃなくて答えられないとはどういうことだ?
「そのままの意味だ。俺からは答えることはできん。直接聞け」
誰にといえば創造神様に、だろうな。
どうやらこの件については意思とか関係なくタロウには答えられないようだ。
仕方ないので創造神様のところへ行くことにする。
「まあ、仕方ないか。いこうぜサクラ」
「待った。創造神様と会うのはレイ、お前だけだ」
サクラと一緒に行こうとしたらタロウに止められた。
「なんで?」
「現状では会う資格がお前にしか無い」
資格……?
俺とサクラで何が違うのだろうか。
どちらもあの世界であいつと会って戦っているが……
俺は左腕を見る。
「これ……か?」
左腕には<神殺し>が変化してできた腕甲がある。
「んーまあそういうことなら仕方ないか。サクラ、後でな」
「うん」
多少、気に喰わないのかほっぺた膨らませているがかわいいだけである。
「たのもー」
創造神様のところへ行きたいと念じながら神界を歩いていると、いかにもな門が現れたのでお約束の宣言をしていた。
「開かねえな」
グッと押してみれば重厚な音とともに門が……
「開かないのかよ」
じゃあ押してダメなら引いてみなってな。
グイッ
「まじかよびくともしねえ」
まあ、ある意味お約束だよな。
ってことで横に引いて門を開けた。
こんなもん用意するとか創造神様って結構お茶目だったりするのか?
門を通れば景色が一変して目の前に創造神様の神殿が……とかそんなこともなく何も変わらなかった。
一度門を通って戻り、門の横から後ろに回ってみる。
……。
「これただのオブジェクトじゃねえか」
「こっちだ」
「!?」
背後から声がして振り向けばそこには馬鹿でかいハンマーを俺に対して振り下ろそうとする謎の爺が
「って、あぶねえ!?」
ギリギリで回避しつつ<神器>を刀にして一閃。
しかし手応えはなく爺の姿は霧散していった。
「フッ残像だ」
「あ、もういいです。さっさと話進めましょう創造神サマ?」
誰かなんて分かりきってる。
まったくどいつもこいつも神は人をがっかりさせないと気が済まないのか。
「つれないのぉ……」
「あ、その演技もいいです。」
どうせこいつも爺姿はそれっぽいからこの姿取ってるだけだろ。
「儂、特定の姿ってないんじゃよ。お主が元人の神じゃからこの形を取ってるまでじゃ」
「あ、そっすかそれはすんません」
演技とか道楽じゃないらしい。
失敬失敬。
っていうかマジで俺失敬だよな。
すでに心のなかじゃこいつ呼ばわりだし。
「あー創造神様にも名前ってあるんでしょうか?」
「創造神たる儂は唯一の存在じゃからなあ、区別するための名など必要ないんじゃ」
「じゃあソウ爺な」
「えっ」
「で、ソウ爺さん。<神殺し>なんて持ってたあいつって何なのさ」
なんか疲れたので聞くだけ聞いてさっさと癒やしのサクラのところに帰りたい。
「お主、もうちょっと敬う心を持ったほうがいいんじゃないかのう……。まあええがの」
そう言ってからソウ爺さんは話してくれた。
なんでも世界管理は俺たち神が行ってるがそれに反抗する個体がたまに現れるらしい。
そうして現れる存在は神に匹敵する力を持っていて世界を隔離してその管理を奪い取ろうとするんだとか。
そうした存在を神に成り代わろうとする者ということから<偽神>と呼んでいるとか。
ただ、<神殺し>なる武器はソウ爺さんも知らないというまさかの事実。
だから今俺の左腕のこれもよくわからないらしい。
ソウ爺さんがじっと観察して調べてくれたが俺もその時に感じたとおり害はないようだ。
害がないどころか神にとってはこれ以上ない最高の防具だと。
<神殺し>、神を殺す為の武器が神を守る最高の防具になるというのは皮肉が効いている。
「まあそうじゃな<神具>とでも呼ぶべきだろうか」
「神の防具で<神具>……安直ですね」
「お主は本当に敬わんのう……」
俺なりに敬ってますよ?
本当に敬ってなかったら完全スルーしますし。
「でもソウ爺さんこれ別にサクラも一緒に聞いてもよかったんじゃないですか?」
「ああ、彼女には<偽神>についてのことはもう話しておるよ。お主が門で遊んでた時にの」
「えっ、でも資格がどうとかって」
「あれはお主をからかうために―――ぐぉ!?」
糞爺の顔面に棘玉を投げつけた。
まったくどいつもこいつも。
「お主!儂、創造神じゃよ!?通常の神とはまた格の―――」
ゴタゴタと糞爺が喚いているのを無視してさっさと立ち去った。
「ただいまー」
「おかえりー」
サクラの所へと戻ってきた。
「話は聞いたんだよな?」
「うん、聞いたよ」
「まあ、深く考えずにいこうぜ」
また、ああいうのが現れたとしてその時はその時。
考えすぎて動かないなんて選択肢はないのだ。
とりあえず今回の事は緊急の依頼となってたはずだから確認するか。
《<偽神>討伐 +1000P 経験により存在の格が上がり<神器>記憶領域が1つ増加しました》
「お、ようやく記憶領域増えたなポイントはこれで1500Pか」
「私は増えてなかった、残念」
「俺でもようやくだからな。あいつとの戦いはそれなりの経験になったけどさすがにまだ無理だろうな」
さて、武器は何にするかな……?
さすがに今回はネタ武器はやめておこう。
ふむ。
「チェンジ:拳銃」
異世界でこれはある意味定番だよな。
出来上がったのはM1911っぽい感じの拳銃でスライドには神狼が3匹一緒にいるレリーフが掘られている。
実弾自動装填でバンダナやフェイスペイントなど無しに弾薬無限である。
何発か撃って問題ないことを確認し解除した。
「やっぱりうるさい武器だね」
「あれ、サクラは知ってるの?」
「だって20年だけど人として生きてたしそこは銃のある世界だったから、知識としてはあるよ」
「そういえばそうだったな。<偽神>のインパクト強くて忘れてたわ」
確かにうるさいがまあソレもロマンだろう。
ちなみにこの銃はある機能も付いている。
がそれは次の世界での楽しみに取っておくとして今は置いておくことにする。
「じゃあ、帰ってきたばっかだけどどうする?依頼受けるか?」
「受けようよ。色んな世界巡ったほうが楽しいし」
「んじゃ受けるか」
そうして俺たちは二人で依頼を受けることにした。
短め。




