キーホルダー(二百文字お題小説)
沢木先生のお題に基づくお話です。「キーホルダー」をお借りしました。
キーホルダー。
未練タラタラであいつの部屋の鍵を付けたまま。
別れて一ヶ月が過ぎたのに。
あいつも「返せ」と言わないから、私も「返す」と言わない。
アパートに帰り、ドアの鍵を開けるたびにあいつの部屋の鍵が目に入る。
返せと言われないんだから、どこかに捨てればいい。
そう思う私と捨てられない私のせめぎ合い。
バカみたい。
帰宅するとドアの前にあいつが立っていた。
「迎えに来てやったぞ」
憎らしい言い方なのに涙が零れた。
お読みいただき、ありがとうございました。