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先読み悪役令嬢

作者: ぺいた
掲載日:2026/05/23

「クラウディア、君との婚約は破棄する」


学園のサロンで、大声で宣言する王太子。

その場にいた生徒たちがざわめきながら注目する。


公爵令嬢である私は、名指しで宣言されたので、どう答えるか考えた。


(破棄ということは私に瑕疵があるということだと思うけれど、

何も思いあたることがない、ということは冤罪を着せようとしている)


(でも殿下も隣にいる男爵令嬢もバカだから、たぶんよくある

悪役令嬢もののお話のように、男爵令嬢をいじめただの池に落としただの

ないことないこと言って、王太子妃にふさわしくないとかなんとか

言うつもりなんだろう、バカだから)


(しかし幸いなことに、父も兄もそこまでバカではないので、

バカが考える冤罪などすぐに晴らしてくれるに違いない)


(でもこの場には父も兄もいないし、殿下の後ろにはとりまきが

並んでるし、バカの味方で固めた中でとっとと断罪して国外追放して、

陛下には事後報告でごまかす気だろう。後先考えないバカだから)


(今から冤罪を読み上げられて断罪されて追放されるのか。

冤罪が晴れるまで待つの面倒だなあ。断罪だのとりまきの証言だの

バカの茶番につきあうのも苦痛だから、とっとと婚約破棄を

承諾しちゃおうかなあ)


(でもそうすると私が慰謝料を払うことになるかもしれないから、

ちゃんと『王太子と男爵令嬢ととりまきが冤罪をかぶせて、王命の

婚約を破棄した上で公爵令嬢を勝手に追放した』って事実が

ないとまずいわよねえ。そんでバカたちを一掃してもらわないと…)


(よく見たらとりまきって宰相の息子とか公爵令息とか騎士団長の

息子とか…なにこれ国の重鎮ジュニアがこんなバカなの?)


(もうこの国に未来はないから隣国にでも…でも隣国の第2王子も

とりまきにまざってるわ~~。隣国もバカっぽいわ~~)


(そうなると革命起こして国をのっとるほうがいいのかな…

でもバカ相手だから逆恨みとかバカなことしそうで怖いなあ。いっそ…)


ここまでを30秒ほどで考えた私は、


「わかりました。では我が領は独立国家になりますね」と言うと


「なぜ破棄かというと…って独立???なんでそうなる!??」

嬉々として断罪しようとしていたバカがあわてふためく。


「そう言うと思って貴族からの承認を受けてきたよ妹よ」

いつのまにか兄が来ていた。


「男爵令嬢に踊らされて公爵令嬢に冤罪をかぶせ、王命の婚約を

自分有利で破棄しようとする愚行、さらに国の重鎮たちの令息が

そんな浅はかな愚行を手伝おうとしている。学園に忍ばせた影が

そんな情報をキャッチしたので、すでに我が公爵家はこの国を見限った。

さあ行こう妹よ」


「さすがですわお兄様」


「えっちょっと待ってどういうこと?」

「断罪! 断罪の時間は?」

「愚行ってひどくない?!」

「俺たち偉いはずだよな?」

「えんざいってなに? どういう意味?」


バカが混乱して騒いでる中、私は兄にエスコートされ、

静かにサロンを出て行った。

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