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食屍鬼 -蜘蛛糸-  作者: 藤岡
情報収集
9/35

03

「で、そもそもの俺達の目的は連れ去られた仲間の居場所、龍の動き、アビスの現状、食屍鬼を知る者への接触。お前達弱虫集団がここを仕切っているなら俺達の仲間が連れ去られた時のことも知っているんじゃないか?ここにいた奴と揉めている所を連れていかれたらしいからな。」

輝血は立ち上がり煙草を取り出し火をつける。

「さっきまでギャアギャア騒いでたんだ。口は動かせんだろ?さっさと吐けよ。あ、そうだ。その前にお前俺になんか言うことない?」

モワモワと立ち上がる煙は風に流され辺りに漂う。

柏木は動くことが出来ず寝転んだまま煙で歪む空を見つめる。

「ほーら、早く答えないと。かーくんは短気だからね、またお仕置きされちゃうよ。」

柏木の顔の隣にしゃがみ込んだ懍がニコリと笑う。

柏木はチラリと懍を見た後、輝血の方へと視線を向けた。

輝血は立ち上がり煙草を吸いながら柏木の仲間を一人一人じっくりと眺めていた。

輝血に見られる男達は小刻みに震えながら立ち尽くす。

「頼む、俺の仲間達には手を出さないでくれ。」

柏木がそう言うと輝血は煙を吐き出し柏木の方へと顔を向けた。

「は?出さないでくれ?それが人に頼む態度なわけ?それに俺はそんな言葉望んでいない。」

輝血の顔に笑みは無く冷たい視線が柏木の心を刺す。

「生意気な事をしてすみませんでした。……お願い、します。仲間達には手を出さないでください。」

柏木は輝血の冷たい目を真っ直ぐに見つめながらそう言うと、懍が柏木の肩を支え体を持ち上げた。

「かーくん、そこで突っ立ってる弱虫達はどうしようも無いけど、この人は仲間思いだと思わない?自分の両手足使い物にならない状態にされても仲間を助けようとする姿、俺は好きだなぁ。」

懍がニコニコとしながら輝血にそう言うと、輝血は小さく頷いた。

「ああ、コイツはお父さんに見せるとしよう。ただなぁ……問題はこいつら。何の役にも立たねぇし、一人一人はすげぇ弱い。集まった所で弱いのには変わりない。いらねぇ。」

「それでも情報は得られるかもしれない。聞いてみる価値はあるんじゃない?もし仮に俺達に嘘をついたらどうなるかは言わなくても分かってるはずだし、それすらも分からない馬鹿は殺されたとしても、自分が殺された事にすら気付かないでしょ。」

笑いながらそう言う懍を見て輝血も笑った。

「ああ、そうだな。そこまで馬鹿じゃないことを願うよ。」

輝血は周りの男達に集まるように声をかけると、男達は素早く一塊になり背筋を伸ばした。


「二日前ここに俺達の仲間が来たことは知っているか?龍に連れて行かれた男を。」

数人の男達が首を縦に振る。

「全員が見ていたわけじゃないのか。じゃあ今首を振った奴は前へ。」

数人の男達は前へ出ると姿勢を正して輝血をじっと見つめた。

「いい子だ。じゃあ次。俺達の仲間と揉めた奴はお前達の仲間か?言葉を使って答えろ。」

前へ出た男達は全員声を揃えて「はい。」と答える。

「ふーん。じゃあ次。どうして揉めた?今俺達に突っかかってきたように俺達の仲間にも噛み付いたのか?」

男達は声を再び揃えて「はい。」と答えた。

「なるほどね。部外者に対しては統一して噛み付くのがお前たちのやり方なのか。……で、アビスに龍が入り込むことは滅多に無いと聞いたがその日は何故?」

男達は顔を見合せ、一人の男が口を開く。

「普段はアビスに近寄らせないため、黒龍地区や他の地区で遊び気を逸らすのですが、あの日は誰もアビスから出ること無く休息期間として自宅や酒屋にいました。アビスの中でも揉め事さえ起こさなければ龍達はなにもせずにすぐに帰ります。ですが龍が来る少し前に貴方の仲間がアビスへとやって来ました。すぐに追い返せば問題無いと思い俺達の仲間が相手をしている最中奴らが来てしまい見つかったのです。」

男の言葉を聞きながら輝血は地面へと煙草を投げ捨て靴で踏む。

「運が悪かった、って事か。お前達の仲間も連れて行かれたのか?」

「はい。揉めていた者は全員その場から連れ去られました。龍は大声で俺達にも忠告をしてきました。」

「忠告?」

「はい。あまり悪ふざけが過ぎると会長も黙ってはいない。大人しくしておけ、と。」

「会長も黙ってはいない……はははっ!じゃあ最初から会長が見回ればいいだろ。なめてるよなぁ、アイツら。やってる事は俺達となんら変わらないただのクズ集団のくせに食屍鬼を始末してから更に調子に乗ってやがる。国に認められたクズだろ?警察を守るとか国民を守るとか抜かしてるけど、結局俺らみたいな人間には同等の行為をする。同レベルのくせに偉そうにしてるのが気に入らねぇ。」

輝血はそう言うと男の襟元を掴み引き寄せる。

「で、俺達の仲間はアイツらの巣に連れて行かれたのか?」

男は自分を見つめる冷たい目に震える。

「た、多分。総龍の奴だったので総龍会の屋敷に連れていかれたのだと……。」

「懍、総龍会の屋敷とやらに行くぞ。」

「え!?それはお父さんの考えに背く事になるよ!気持ちは分かるけどまずは周りを固めてからじゃないとさすがに俺達二人じゃ食われちゃうよ。」

「……嫌な予感がするんだよ。」

輝血は男の襟元から手を離し懍へ顔を向けた。

「胸騒ぎっていうか……こう、上手く言えねぇけどモヤモヤすんだよ。」

「かーくん……。」

「龍がムスカリについて調べている事は何年も前からお父さんから聞いていた。あのおっさん、原田だっけ?あの事について今、龍と警察で調べている。連れ去られたあいつがムスカリのメンバーだと知ったら奴らはナニをする?この事件に関与しているしていないを聞くのは勿論、ムスカリについて聞きたいことは山ほどあるだろう。」

「確かにそうだね。」

「アイツらは自分が得たい情報を知る者がいて、そいつがただの一般市民なら丁重に扱うが、俺達みたいなクズ相手だとそれ相応の事をする……そう聞いた事がある。……アビスで揉めているところを連れて行かれた。アビスで揉める、それだけで龍からは一般市民だなんて思われないだろう。じゃあ次に聞きたいことは、お前はどこのチームに属している?だ。」

「ムスカリのメンバーだと分かれば奴らの中から帰すという選択肢は無くなるかもしれない。」

「それに、メンバー構成、拠点の場所、行動範囲、主なターゲット、今までの悪事、色々と聞きたいことがあるはずだからそれを聞き出す為にアイツらは俺達の可愛い仲間に汚れた玩具を使うだろう。」

輝血と懍の周りの空気が変わる。

男達はまた黙ってその場に立ち尽くし、下を向いた。

そして、二人の話を聞いていた柏木が小さく声を発した。

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