表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

年金ロシアンルーレット

作者: めじろ

ロシアンルーレットと言えば、昔バラエティ番組でよく見かけた大量のわさび入りお寿司が参加者の誰かに当たるというのが思い浮かぶ。

そう!誰に当たるのかは全く分からない!


年金も同じものではないかと思う。

将来の自分の為にと思って、汗水垂らして一生懸命働いて納めてはいる。が、実際はどうだろう?支給年齢まで生きている人が一体どれほどいるだろうか?

この先、幾つになったら支給が始まるかも分からず、自分がどれほど長生きするかも分からないまま、納め続けている。

長生きをすればするほど取り戻せるのかもしれないが、ぽっくり逝ってしまえば丸損なのだ!

ロシアンルーレット…椅子取りゲーム…蜘蛛の糸…いや!国公認のギャンブルではないかとも思う。


長生きする人を国民みんなで支える、そんな制度だ。



僕は、年金特別便が届く度に、ため息が出る。

社会人になって23年が経った。

この国の働き蜂となって約半分が過ぎたところだ。


世の中では就職氷河期世代だとかロストジェネレーションとか言っているが、そんな映画のタイトルみたいな格好いいものじゃない!

僕は、大手企業も新卒採用を控えた氷河期の中の大氷河期に大学を卒業した。

何社、採用試験を受けに行ったかも分からない。

同い年の新卒が全くいないという大手も少なくないだろう社会から消えてしまった世代だ。

氷河の中の未だ見つからないナウマン象。


春になると、その年に大学を卒業した人達を総じて、世相を表すユニークなネーミングを付けられるが…僕らの年は、低反発枕で有名な『テンピュール』だった。

若者は知らないかもしれないが、当時NASAが開発し爆発的に売れた『人の形に合わせて変形し、心地よい眠りをサポートする枕やマットレス』がテンピュールだ。

テンピュールになった理由はというと、不景気の中苦労してなんとか内定をもぎ取った会社で働いている為、多少の難題を言われても柔軟に会社に合わせて耐え抜き、ブラック企業でもそうそう辞めないからだそうだ。

なんという都合のよい世代♡


ただ、この歳までブラック企業で働き続ける友人はおらず、みな転職を繰り返した。

不景気の渦では、転職しようにも正社員としての採用は少なく、契約社員として頑張って乗り切ってきた人が多い世代だ。

だが、頑張りは虚しく、世の中の景気が回復してきた頃には少しばかり歳を取り過ぎてしまい、企業はこぞって新卒採用に方針転化したのだ。

社会から取り残された万年契約社員のロストジェネレーションか誕生する…


そして契約社員という雇用枠を作ったのも、その政策の失敗にようやく気が付いたのも政府。

契約社員の雇用を3年までに変更し、それ以上雇用する場合には正社員にしなければならないという制度に変更をした。

が、しかし、企業も甘かない!

正社員が増えれば会社も圧迫する為、現状はというと、3年契約で解雇というパターンも多く…3年毎に職場を転々とする友人も多い。

職場の環境、業務内容や通勤に慣れた頃には次の場所へ移動する事になる。3年毎にストレスを抱える。



そして僕はと言うと…嘱託社員。

3年縛りの法律を掻い潜った、一年更新の万年契約社員のようなもの。

契約社員と言ってしまうと正社員にしなくてはならないから、嘱託社員…医者でもあるまいし、格好よく呼ばれても騙されないぞ。


正社員と同じもしくはそれ以上働いてはいるが、月給やボーナスも少なく、退職金もない。

正社員の退職金をせっせと積み立てさせられている働き蜂だ。



法律の抜け道…政府に踊らされ続けているナウマン象。

まだ氷河から発見されていないのだから、しょうがない…

いや、もしかしたら気が付いているけれど、見えない振りをされ続けているだけなのかもしれない。




話が脱線し過ぎてしまった。

本題に戻ろう。

そう。退職金がないと言うのに、あの年金特別便とやらは、このまま年金をもらうことになると8万円の支給になると平気で吐かしやがるのだ!

これでは生きていける訳が無い。

これだけ働いて生活保護決定になるのか?

生活保護の方が支給額や社会保障が上…そりゃ働かん人が増える訳だ…

何が、老後の生活には退職までに2,000万円の貯金が必要だと!!



しかも退職金とは別に2,000万円必要!!

退職金のない人は、プラス幾ら貯金が必要だと言うのか?世の中の人は、一体幾ら退職金がもらえるのか?


その上、厚生年金の積立金を持っていかないでくれ!

それは現役世代の将来の保障金だ!

全く納めていない第三号被保険者の世話をなぜしなくてはならない…

子だくさんで本当に生活の逼迫している家庭のお母さんやシングルマザー達は、そもそもフルタイムで税金を納めていると思うぞ。

所得税の壁壁言ってる人は、セーブしているだけでそこまで逼迫してはいない。

お金持ちの奥様ほど、働く必要がなく第三号被保険者なんじゃないのか。



決してケチくさい事を言っているのではない、子育て世帯には別途手厚く補助してあげる事が平等なんだと思う。



公務員もなぜ不景気でもそんなに給料が上がり続けるのか。

そして、給料が低いと話題の看護師や教師、保育士だって僕からしたら倍近い給料をもらっていてとても羨ましいと思うが、なぜ少ないと議論になるのか?全く分からない。

永久凍土の中にいるナウマン象は発見されていないからか?

はたまた、僕らは別の世界を生きているパラレルワールドの住人なのかもしれない。



少ない給料から、ひもじい慎ましい生活をしつつ、将来の自分の為にひたすら貯金を頑張る日々。僕は偉い!自分を自分で褒めてあげたい!とも思う。


そう。僕だって若かりし頃は、恋もし将来も考えたが…他人を養えるほどの収入はなく、結局生涯般若を持つことは出来なかった。

生涯…。正社員ではない僕には、これからも難しい。




こんなに必死に働いて納めている年金が戻ってこなかったらと、ふと時折考える時がある。

冒頭で話した『年金ロシアンルーレット』問題だ!

将来の為にこんなにひもじい生活を毎日送っているのに、ぽっくり逝った側になってしまったら…何とも言葉にならない。

般若がいないとなると、誰に残す事もなく、国が美味しい思いをするだけの政策。

企業献金で潤っているお金持ちの政治家には分からないだろう。




たまにドラマなんかで見かける、あれ!

残りの人生の長さが分かるロウソク。あれを何とかして見られたりしないだろうか。

ぽっくり逝くなら逝くなりに、もう納めず好きなようにささやかな贅沢をしてみたいじゃないか。

今まで行ったことのない海外旅行だとか。

高級料理に舌鼓を打ってみたい。どんな音がするんだろう。

たまにはちいさな贅沢。



長生きはしなくてもよい。

日々しあわせを感じられる世の中になるといいなと切に願う。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
初めまして、濃州関丸と申します。 私も氷河期世代です。辛い気持ちわかります。 就職難で苦しみました。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ