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【聖杯】
魔術儀式における大窯とルーツを同じくする聖具。
伝説では「城砦に秘蔵され、天使達が齎す不思議な力を秘めた聖餅を生じさせるもの」だとされる。
深層心理学においては女性原理・霊的な子宮を表し通俗的には救世主の子孫を暗喩するが。
錬金術師にとって「殻の世界における聖杯」は「大洪水における箱舟」と同義のものである。
つまりは「末長く存続させる値打ちのある生命」「復元・再現を望まれる価値あるもの」を保管しておく「構成情報・構成求心力・必要素材の保管庫」を指すのである。
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【吾妹紅】
葉はサラダとして食用できる。下痢・赤痢の特効薬として家庭菜園で栽培される。
止血作用に優れ、乾燥させた根を煎じて傷口を洗う。煎じ液の内服によって傷付いた皮膚の癒合を補助する。傷・潰瘍・火傷の治癒促進に効果あり。
収斂性があるため化粧品として外用される事もある。
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【蝉】
不老の伴わぬ不死の象徴。時にコオロギやキリギリスと混同視される。
錬金術的には「短い繁栄期、長い伏せ込み期間」の象徴。
「死者の口に翡翠製の蝉を入れて埋葬する」慣習は
輪廻転生思想の無い人々の間では「死後の世界での安寧」を願うマジナイだが。
輪廻転生思想の有る人々の間では「長い長い輪廻転生の輪の周回を経て再び人間として生まれて来れるように」というマジナイである。
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【扁桃】
乾燥した土地や酷暑にも耐える植物。有毒の苦扁桃との識別が困難だが甘扁桃は食用になる。実には解熱作用があるとされる。
オイルは痒みを緩和し、食用油として使っても消化器の炎症を抑える。
「アーモンドの枝」は「見張り」を意味する暗喩であり、聖人画の背景にはアーモンド型光背が描かれる。
酒を飲む前に実を五粒食べるのは酔い止めのマジナイである。