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王子と聖女と悪役令嬢ときどき僕~王子には僕が溺愛している妹に見えるようです~  作者: 藤井めぐむ
3章

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54/80

54:妹が聖女に意地悪をしているのかもしれません1

ニーナ・レミネン(後輩/次の聖女)

ラウラ(アスタの侍女)


午後からもう一本上げます

 久しぶりに日差しを浴びて、ベルトルドは大きく伸びする。

 昨夜、シグヴァルドが来たときに泣くだけ泣いて眠ったら、朝起きたときには頭がすっきりしていた。おかげで、そのあとは魔方陣の解析はすんなりと終わった。




 今はもう夕方に近い時間だが、シグヴァルドは総督府にいるだろうか。忙しい人だから会えないかもしれない。そのときは伝言を残しておくしかないが、できれば会って報告したい。解析が終わったと知ったら、シグヴァルドは喜んでくれるだろうか。

 ルードヴィクもアイナも、アストリッドの様子がおかしいと言っても、あんまり真剣に受け止めてくれなかった。でもシグヴァルドだけは、ベルトルドの不安な気持ちを受けとめて、助けてくれると言ってくれた。それがとてもうれしかった。




 これで、少しは恩返しになるだろうか。シグヴァルドの役に立てればいいなと、ベルトルドは足取り軽く坂道を上る。弾むように歩きながら、顔を伏せてくふくふとふくみ笑う。

 ベルトルドの周りにいる人たちは、自分よりなんでもできる人ばかりだ。アストリッドからしてベルトルドより優秀だから、自分にも少しは役に立てる部分があるとしたら、それはとても嬉しい。




 つい弛んでしまう頬を抑えながら貴族街から、大通りへと出る。そわそわした気持ちを持て余し、意味もなく辺りをキョロキョロと見回していたベルトルドは、不意に目に飛び込んできた光景に唖然とした。

「もう帰っていらしたんですか?」

 意気揚揚と出て行ったベルトルドが瞬く間に戻ってきて、執事とラウラの二人は不思議そうに出迎えた。




「や、まだ行き着けてもいないんだ。あのね……」

 背負ってきた少女を下ろし、ベルトルドは彼女の足下を示す。

「彼女に合う靴を用意して欲しいんだけど」

 タウンハウスを出て四半時もしないでベルトルドが戻ってきたのは、ニーナを見つけたからだ。ニーナは石畳を室内用のスリッパで歩いていたのだ。




 彼女の足元を見て、執事とラウラはすぐに動き始める。ベルトルドは一番近い応接室へと彼女を案内した。

「でも靴を無くしたって……靴ってなくなるものなの?」

 困惑してベルトルルドが首をひねる。そんなベルトルドに、う~ん……と言いにくそうにニーナがスリッパの足元に視線を彷徨わせる。




「その、洗濯を頼まれたんですよね。大物だったからこう……」

 ニーナがその場で足踏みして見せる。

「足で踏んで洗ってたわけです。洗い終わって、さて靴を履こうと思ったら無くなってて……」

 それはなくしたというのではなく、盗られたというのではないだろうかと、ベルトルドは思った。しかし、聖女殿の侍女だって制服がある。そんな特別なところのない靴を盗ってどうしようというのだろうか。




 そう考えて、ベルトルドは急に血の気が引いた。

 ――……私がいじめるんだ。殿下を取らないでーって。

「そ……その、もしかして、それってうちの妹が……?」

 ベルトルドを見て固まったニーナの反応が、全てを物語っていた。

「ごめんなさいごめんなさい、うちの妹が本当にごめんなさい」




「ま、待って、違うんです、わたし犯人見てないし、アストリッドさまがやったって証拠なんてどこにも」

「でも疑う理由はあったんだよね……」

 言葉を失ってニーナは黙り込んだ。

 執事が靴を、ラウラがお茶を持って戻り、靴のサイズを合わせているのを見ながら、ベルトルドは頭を抱えた。隷属の首輪の方の問題に手を取られている間に、もう一方の方の問題が悪化してるなんて、ベルトルドの配慮不足だ。




 ニーナが聖女殿に行くと言った時点で、可能性くらいは考えておくべきだった。アストリッドの様子を見にいくらいすればよかったのだ。

「ベルくん、どうしてアストリッドさまの仕業だと思ったんですか?」

 フォーセル家の侍女の制靴を履いたニーナと、再び総督府へと向かう。ベルトルドは困惑してニーナを見た。




「えと、それは……」

 彼女の話す言葉が、時折聞いたこともない響きを帯びたり、とても思い切りの良いところがアストリッドに似ていたのだ。真剣な目をこちらに向けているニーナに、もしかして同じことを考えているのだろうか、と思った。

「ニーナさんってもしかして……転生者?」

るんるんしてたら、ニーナがスリッパで歩いてました。ので、おうちに連れて帰りました。


転生者はあと一人。あの人でしょと思ったら


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