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王子と聖女と悪役令嬢ときどき僕~王子には僕が溺愛している妹に見えるようです~  作者: 藤井めぐむ
3章

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40/80

40:聖女に拒絶されてしまいました

シモン・ネルダール(聖女殿付官吏長官補)

ニーナ・レミネン(後輩/次代の聖女)

エンゲルズレクト・オーバリ(第1連隊長/辺境領出身)


あとでもう一本上げる予定です

「ベルはニーナさんと親しいの?」

「一回話したことがあるだけだよ。でも彼女、有名人だったから、存在は知ってたよ」

 ニーナから了承が出たということで、彼女がいる部屋へと向かいながら、アイナの問いに答える。そう……と相槌を打つアイナは浮かない様子で、ベルトルドはどうかしたの? と声をかける。




「ニーナさん、シグヴァルドさまとはどうも会いたくないらしくて。まあ他も軒並み面会を拒んでいるのだけど。だから面会の了承がでたの、ベルだけなのよ」

「ん、なんだろう? この前見かけた時、別に殿下を避けているような様子、なかったと思うけど」

 アストリッドによって強制的にシグヴァルドと対面させられたあの日、ニーナに特に変わった様子はなかったと思う。




「あ、でも、悩みゴトがあるみたいだったから、そのせいなのかも」

「もし話せそうなら、そのあたりのこと、聞いてみて欲しいの」

 了解してニーナの元へ行ったが、結局顔を見ただけで終わってしまった。

「ベル、元気だして」

 慰めているのか、励ましているのか、それとも笑いを堪えているのか、微妙な表情をしたアイナに送りだされてベルトルドは総督府を出た。




 ベルトルドの顔を見たニーナは、真っ青になってガタガタ震えだした。その上泣いて取り乱したので、お医者さまから面会中止を言い渡されたのだ。

「あんまりじゃないですか……?」

 僕の顔ってそんなにひどいの? と、トボトボと門に向かっていると、肩を叩かれた。ベルトルドは振り返る。相手の顔がぎょっとして、ベルトルドはやっぱりそこまでヒドいのかと眉を垂らす。




「どうされたんですか、その顔……」

 慌てて表情を取り繕って、ベルトルドは敬礼した。

「あ、いえ、ちょっと揉めたというか、揉めさせてしまったといか……」

 揉めさせた? とシモンが怪訝そうな顔をする。




「あ、いえ、その……気にしないでください。ネルダールさまは……」

「シモンでかまいませんよ」

「えと、シモンさんは今日はどうして総督府へ? 司令官閣下にご用事ですか? 今日は忙しいらしくて会えないそうですよ」

「いえ、ニーナさんの様子を聞きにきたのです」




 ニーナと聞いてどんよりしたベルトルドを、シモンはいぶかしんで首を傾げた。

「なにかありましたか?」

「あ、いえ、この顔を見て、泣かれてしまって……」

 腫れた頬を触れながらさっきあったことを説明した。シモンは気の毒でしたねと苦笑いした。

「まあ、女性には少し刺激が強かったかもしれません。では今日はもう会えそうにないですね」

 ニーナとの面会は諦めるというシモンと並んで、ベルトルドは歩き出す。




「シモンさんはニーナ嬢とお知り合いだったんですか?」

「ええ、少し前に街の図書館で知り合いまして」

「街の……ですか?」

 聖女殿にも図書館はある。何故わざわざ街の方の図書館に? と、不思議に思った気持ちを察したのか、シモンはばつが悪そうに笑んだ。

「私は、その……大衆小説の愛読者でして、そういうのは聖女殿の図書館にはないので……」




「そうでしたか。妹も大衆小説が好きでよく読んでいます。母が好きだったので、影響を受けたようです」

「シーデーンの姫将軍がですか? 意外です」

「ええ、母の残した本がたくさん残ってて、今はもう絶版になったものとか、トゥーラの家にもたくさんあるので、シモンさんがお好きならお貸ししましょうか?」

 是非とシモンがうれしそうに頷く。いつなら時間があるかと打ち合わせが一段落つくと、二人並んで歩きながら沈黙が落ちた。長い空白の後、シモンはためらいながら口を開く。




「昨日……ベルトルドくんは下にいましたよね。そのイェルハルド殿下と一緒に」

「はい、たまたまイェルハルド殿下が湖に向かっているところに居合わせてしまって……ああ、もしかして妹と一緒でしたか?」

 そういえばアストリッドが、聖女さまと一緒に屋上から見ていたと言ってたなと思いかえす。きっとそこに彼もいたのだろう。




「君は直接……?」

 訊ねようとしていることはなんとなくわかったが、ベルトルドは困って曖昧に笑った。

「あそこでのことは、司令官閣下に口止めされています。申し訳ありません」

「ああ、そうですよね」

「シモンさんや聖女殿の方々に、箝口令はなかったのですか?」

「聖女殿からはなにが起こったかは見えませんでした。角度が悪かったので」




 なるほどとベルトルドは頷く。崖の真下辺りだったから、幕壁が邪魔で見えなかったのだろう。

「ただ、年上の官吏が、昔、聖女さまが力を使われたときと同じだと……。そのあと、エンジー連隊長がニーナさんを運んでいるのを見たので、なんとなく、そういうことだったのか……と」

「そうでしたか」

「彼女が現れたってことは、狂い咲きまでもう待ったなしだということですね」

ベルくん、バタバタしてたので鏡で自分の顔を見てません。なので自覚なし。


ゲーム内でヒロインと攻略対象の出会いは

シグ:公邸の庭に迷い込んで

ベル:母の形見のハンカチを拾ってもらって

シモン:図書館で

イェル:母の設定したお茶の席で

エンジー:ベルのおやつをカツアゲしてる最中に(ひどす)

みたいな感じでした


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