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王子と聖女と悪役令嬢ときどき僕~王子には僕が溺愛している妹に見えるようです~  作者: 藤井めぐむ
2章

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24/80

24:王子が迎えに来ましたが、妹の周りにいる男たちは距離感がおかしすぎます2

ユスティーナ(シグの義母/現国王妃)

イェルハルド(シグの腹違いの弟/第二王子)

「彼女はな、俺で遊ぼうとしているだけだ」

 ひそめられた声に、物騒な話だろうかとベルトルドは隣のシグヴァルドを見上げる。

「シグヴァルド殿下で――ですか?」

 右翼等の中に入ると、廊下の片隅で立ち止まり、壁に背を預ける。手首を掴まれたままのベルトルドは、引っ張られるままに彼の前に立った。下手に動かすと頭が胸に当たってしまいそうで、視線だけを交差する爪先に落とす。




 距離が近すぎる。フレデリクもそうだが、アストリッドの周りの男はみんな、こんなに距離感がおかしい人ばかりなのだろうか。

 ためらっただけで怒るような人だ。逆らったら今度こそ本当に氷漬けにされるかもしれない。そう思うと下手に逆らえず、ベルトルドはおとなしくされるがままに従った。




「昔から大事にはしてくれているんだろうが……そうだな、お気に入りの人形を大事にするぐらいの感じか」

 言葉選びに迷いながら話しているシグヴァルドから受ける印象と、さっきまでユスティーナが語った内容に、結構な差があるように感じた。これが受け取り方の差というものだろうか。はて、と、ベルトルドは首をひねる。




「殿下のためにと、お側に仕えるように勧められました」

「ほお、古ギツネが聞いたらキレそうだな」

「あと、殿下のことが心配だから手紙が欲しいと」

「ああ、観察日記か」

「観察……日記?」

 なにを観察するのかと、きょとんとシグヴァルドを見ると、彼は広い肩を竦めてみせた。




「トゥーラに赴任すると言ったら、観察日記がつけられなくなるとたいそう嘆かれてな。俺も手紙をよこせと言われた。胡散臭いことこの上ないし、面倒だから一度も書いたことはないがな」

 最後に手を握って約束させられた時のことを思い返す。手紙を約束させられたときのユスティーナの勢いを考えると、あり得なくなさそうだ。まあ、ユスティーナがシグヴァルドを案じていること自体に間違いはないのだろうが。

 しかし観察日記――シグヴァルドの? と、ベルトルドは微妙な気持ちになる。あの、やわらかく微笑んでいた高貴な女性の趣味が、義理の息子の観察日記とはちょっと人を見る目が変わってしまいそうだ。




「書かない方が……いいですか?」

「いや、おまえの話を聞く限り、思ったより害がなさそうだ。面倒でないなら書いてやれ。ただ、彼女が話すことは適当に流して鵜呑みにするなよ」

 最初現れたときは怒っているのかと思ったが、ユスティーナを警戒していただけなのかもしれない。確かに自分の観察日記をつけている相手に、警戒したくなる気持ちはわからなくない。




 アストリッドの話や、ルードヴィクの評価だけだと、なんだかよくわからなかったシグヴァルドの輪郭が、朧気ながらも見えてきたような気がした。立場は違えど、だからといって自分たちとは全く違う生き物ではないのだ。

 ふふと思わず笑いがこぼれてしまったベルトルドの頬を、シグヴァルドが手首を掴んだ手とは逆の手で覆う。すり……と大きな掌が頬をなでた。くすぐったさに首を竦めると、シグヴァルドの表情がやわらかく笑み崩れる。相変わらず破壊力満点の顔面に、思わずドキッとした。




「そうやって笑ってると、あまり変わらんな」

 遠い目をしたシグヴァルドが優しい声音でつぶやいた。ベルトルドを見ていながらなにか違うものを見ているその灰青の目には、アストリッドが映っているのだろう。

 気持ちに昏い陰が差す。だからこそ問題なのだろうか。

 自分たちと変わらないように思えるのに、こんなにも自然に思えても、その実、彼が自分の意思で動いてないかもしれないなんて……。




「なにか用か――イェルハルド?」

昨日の更新、まだ観察日記出てなかったorz

作者疲れてんな……


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