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漫画のような異世界転生!?〜チートってなんだっけ?〜  作者: ねぎとろ
第二章 起点

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後編 今へ未来へ

最初に出会った時、彼女はこう思った。

(本当にこいつが依頼主の探してたやつなのか?)

疑問があった。目の前にいるのはどう見たって虐待に虐待を重ねられ、地獄のような日々を生き抜く気力もなく生きている無気力な人形のような人間にしか見えなかった。なぜなら目の前にいる女は綺麗な容姿をしており体は弱りきり、まるで人形のようだったからだ。しかし彼女はあくまで命令で来ている事を思い出し思考をもどした。

(その前に本人か確認するか)


「お前がアヴニールか?」


相手は少し戸惑いを見せたがすぐに戸惑いは消えた。そして、


「侵入者の方。確かに私がアヴニールです。私の命が欲しいのであればお好きにどうぞ」


少し迷った。依頼主からの依頼は『連れ去るか殺せ』この二つのことしか言われていなかった。だから迷った。

(どうしようか)

殺すことにはメリットはなかった。だったらより多くの報酬をもらえそうな連れ去る一択だった。しかし、心の底では殺したくも連れ去りたくもないという気持ちがあった。なぜなら自分も似たような環境だったからだ。コアージェは小さな村の出身で両親が子供を欲しがっていた貴族に自分を売ったのだ。そしてそこで貴族の専属の暗殺者となるためにきつい修行を重ねていた。いや、どちらかといえば拷問に近かったのかもしれない。その事をふと思い出した。修行の内容などは思い出したくもないほど凄惨なものだった。しかし、コアージュは才能があった。普通の村の娘として生きていれば絶対に巡り会わないであろう殺しをする才能。それも他の追随を許さぬほどに恵まれた才能。周りから恐れられ、突き放された才能。そんな自分を目の前の女と重ねた。痛いほどにわかるありすぎた才能に共感を覚えたコアージェはいつの間にか口が動いていた。


「んー。今の俺に殺すメリットはないし殺しはしない。けど身柄は拘束させてもらう」


なぜ言ってしまったのかはわからなかった。しかし、自分みたいな目に会うのは自分だけでいいと思った。ここでコアージェの頭に一つの選択肢が浮かんだ。こいつも自分もこんなクソみたいな環境から抜け出すか?この選択肢はとんでもないくらいに傲慢で自分勝手で自分の全てが崩れるような選択肢わがままだと感じた。けれどなんて自由でいい選択肢だろうとも思った。ただここが敵地の真ん中である事を思い出したコアージェは女を担いで急いで貴族の屋敷を出なければと思った。


「じゃあお暇させてもらおうかね。見つかっても面倒だし」


この自然に溢れた言葉に今のコアージェは何の気に求めていなかった。しかし、コアージェの人生で初めての友人と話すような軽い口調だと後から思った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

屋敷から出るとすぐ目の前には隠しておいた馬車がありこの中に女を乗せ行くあてもなく馬を走らせていた。ここで無意識に自分が傲慢な選択肢をとっていることに気がついた。

(しかしどうしようか)

コアージェには行く当てがなく悩みながら馬を走らせている最中に後ろから物音がした。多分これは彼女が起きた音だろうと思いながら声をかけた。この時にコアージェは怖がらせないようにと気を遣って話そうと自分の脳をフル回転させた。人生で初めての対等な会話をするために。


「よぉ。起きたか。おはよーさん」


この時コアージェの緊張は最大まで高まっていた。それもそのはず。人と会話をあまりしてこなかったコアージェにとってこれが最初の接触だったからだ。しかし相手は俯いたままだった。これからのことを思っているのかもと思いもう一度話しかけてみることにした。


「今から向かうのは俺の家だ。安心しろ。俺以外に誰もいない」


思いついていないコアージェは自分が血迷った事を言うことを承知で言った。そうしてこのままどこに行こうか悩んでいる時に、


「もう少し…眠らせてもらいます…」


初めての返答があった。このことに少し驚いた。これが初めての“会話“だった。そのことに少し感激を覚えたコアージェは少し思考が止まっていた。しかし急に現実へと思考を戻し、


「おう」


と小さくではあるが返答をした。そうして彼女が眠った後にふと、自分はどこへ向かおうかという問題が頭をよぎった。何かいい場所はないか、と。そこで一つ思い出した。違う貴族を暗殺するために使った空き家がまだあるのではないかと。しかも今いる場所と近いときた。なのでコアージェはそこへ行こうと明確な目的と場所を持ち、馬車をできるだけ揺れないように最速で走らせた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

街にはついたけれども街は変わり果てていた。一応貴族が持っていた街だからか一番上がいなくなり、街は混乱。そして廃れた街になったのだろうと予想がつくほどに荒れていた。

(さて、俺の隠れ家はどこだ?)

様がわりしている街を見ながら探索していると見覚えのある建物があった。

(お、あったあった。まだ残ってたんだな)

それは家と呼ぶには怪しいものだったが、隠れて生きることだけを考えるのならばほぼ完璧に近いものだった。

(じゃあこいつはさっさと寝かせといてっと)

それはただの布でないよりマシとも言い難いものであった。しかし彼女をここに寝かせたのはコアージェの優しさであることは確かだった。

(そういえば食うもんあったかな)

そう重い家の中を探索すると少しの応急処置の道具が見つかった。しかし、食べれるものなどは一つも見当たらなかった。

(市場に行けば…って、市場って今機能してるのか?)

普通の街に行けば絶対に市場などがあり食べ物が買える。だが、この街においては普通は通用しない。この荒れ果てた街ではカツアゲや強盗、脅迫や追い剥ぎなどは当たり前になっているからだ。実はこの街に入る時にコアージェはカツアゲの現場を見ており、この街の変わりように気づいていた。なので市場やその他多くの公共機関が生きている可能性はとても低いと考えていた。

(とりあえず探索してみるか)

だがもしものために一応この街について知り、食糧を手に入れるため、探索に繰り出そうと気持ちを切り替えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

(本当に何もないな)

そこにあったのは色々な残骸だった。以前までの人がひしめき合っていた市場とは似ても似つかなくなっていた。ここには何もなさそうと見切りをつけて別の場所を探索しようとした時に声がした。


「おうおう。こんなところに何のようだ?」


人の声だった。敵意は感じられなかった。しかし警戒はとんでもないくらいされているようでいつ警戒が殺意に変わってもいいくらいに感じた。しかし、情報を引き出すためにも話はしておいた方がいいと判断したコアージェは警戒しつつも口を開いた。


「誰?」

「嬢ちゃんだったのか。てっきり男かと思ったぜ」

「で、あんたは何でこんなところにいる?」

「ん、ああ。俺はここら辺に住んでるもんだ」


(ここら辺に住んでいるのか。だったら多少腕に自信があるやつなんだろうか。)

頭を回転させ適切な情報を割り出していった。しかしここに住んでいるということは食料のある場所がわかるかも知れないと思いできるだけ裏表がないようなような印象を得られるように注意して会話をし始めた。


「それであんたの目的はなんだ?俺は問いに答えたしそっちが言う番だぞ?」

「食糧を探しにきた」

「食糧を探しに来たのか。まぁ妥当っちゃ妥当だな。で、本当の目的は?」

「そんなものはない。ただ食糧を探しに来ただけだ」

「…そうか。いいだろう、案内してやる」

「頼む」

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

そうするとある一つの扉の前に連れてこられた。

(本当にここか?)

コアージェは疑問を抱いた。よく戦場などで感じる策士の罠にハマった感覚がしたからだ。そこから一瞬で警戒を強めた。何か不自然なことがあれば一瞬で切り伏せられるように。


「ついたぞ」

「…ありがとう」

「いやいや。困った時はお互い様ってな」

「…」


最初に出会った時よりも警戒が緩まっているようだが気は抜いていないようだった。より罠にハマっている感覚に陥ったコアージェはさらに警戒を強めた。


「この先に食糧がある。少しとってくるから待っときな」

「ああ」


(さて、攻めてくるなら大人数か罠か。どっちだ?)

そうして身構えると不意に足音がした。反射的に音の方から距離を取り、武器をいつでも抜けるように構えた。


「誰だ」


足音はだんだんと近づいており、近づいたことで複数人であることがわかった。

(やっぱり複数できたか。)

そしてもう足音は目と鼻の先まで近づいておりそのまま出てきたのは、


「あれぇ?ままー。だれかいるよ?」


子供だった。大体6歳くらいだろうか。そんな幼なげな少年が警戒していた階段の方から来た。この街には全くそぐわないような純粋無垢な瞳を持った少年だった。


「こらこら。大声出さないの。…あら?お客様かしら」


もう一人は母親だったようだ。その声音はとても優しく、今までの廃れた光景にそぐわない雰囲気だった。

(俺の警戒のしすぎか?)

そう思うと後ろから声がした。


「おお。帰っとったんか」

「いいえ。今帰ってきたの」

「おかえり!パパ!」

「それをいうならただいまだろ?何にせよおかえり」


(…)

理想が目の前にあった。どんなにもがいて足掻いて耐え忍んでも手に入らなかったもの。身の回りにはない物だった。少し心が揺らいだ。だが悲しいことに体に叩き込まれた普通の生活にはいらない術ばかりを持ってしまっていた。普通は手に入れてもずっと自分の足を引張り続けるであろう能力に今もう一度嫌気がさした。


「そういえばあちらはお客様かしら」

「おお、忘れとったわ。これがうちから渡せる食糧だ」


そこには一ヶ月間くらいの食料があった。


「こんなにもらっていいのか?」

「いいぜ。またなくなったら貰いにこいよな」

「ありがとう」

「量が量ですし私も持っていきましょうか?」

「いいや、大丈夫だ。持ってきた袋がある」


(流石に拠点の位置が暴かれるのはまずいしな)

あくまで現実主義なコアージェだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

食料を調達した後は驚くほどスムーズに帰ってこれた。そしてついて荷物の整理がひと段落したときにアヴニールが起きた。

(できるだけ優しく…)


「お、起きたかねぼすけ」


起きた彼女はひどく困惑して驚いているのか辺りを見廻していた。そして少しばかり目があい、少しの静寂が訪れた時、

『キュルルルル…』

静寂を切り裂くようにか弱い音が鳴り響いた。


「お前腹減ってんのか。ちょっと待ってろ。食えるもん出してやるから」


そう言い先ほど食料を置いた鞄のあるところを探し、鞄を見つけ、声をかけた。


「ほら飯あったぞ…って、は!?え!?どうしたんだよ!?」


いつの間にか泣いていた。この時はいくら前線で死線を掻い潜ってきたコアージェであれど酷く混乱した。それもいつもでは意識しないと出ないような優しい声で、元々の自分に近い声が出ていた。


「う、うわぁぁぁぁぁ…!!!」

「うをっ!?」


泣きじゃくられた。何を自分がしたのか、そして自分は何をすればいいのかもわからずただ慌てふためいた。しかし、彼女の置かれていた状況を考えると合点がいった。そして自分がこんな時にしてもらえなかったことをしようと無意識のうちに体が動いていた。自分に与えられなかったものを彼女には精一杯与えようと言う思いで。


「お疲れ様。お前はよくやった」


自然に言葉が出た。ここで理解した。人を思いやる時には考えなんていらない。ただ思いが一番必要なんだと。ここで初めて家族というものについて思い出した。やはり幼少期の自分はこんな思いをしていたのだろうか。そんな思いが駆け巡った。しかしこんなことを考えても過去は変わらない。切り替えができるのがコアージェのいいところの一つだ。だけれど切り替えきれない思いを胸に押し込め、今はまだ抱きしめるしかできない自分に少し、嫌気がさしていた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「泣き止んだか?」


スンッ、スンッ。と鼻を鳴らしながらアヴニールは震える声で答えた。


「は、はい。お見苦し、しいところを見せてしまい、申し訳ありま、せんでした…」


ようやく落ち着いてくれたという少しの安堵と、場を和ませようと会話をしなければという使命感で言葉を捻り出した。


「もっと落ち着けって。俺も質問したいしな」


少し酷なことを言ってしまっているのはわかっていたがこれしか思いつかなかった。


「はい…」

「まず、お前はアヴニールという名前で合ってるよな?」

「はい。合っています」

「そうかい。あ、俺の自己紹介を忘れていたな。俺の名前はコアージェ。よろしくな」

「はい、よろしk」

「あーちょっと待ってちょっと待て」

(俺はできるだけ優しい感じに行きたいからこういう感じだけど相手も軽いノリってやつの方が話しやすいんじゃないか?)

「お前」

「は、はい…」

「なんかよそよそしくね?もっと軽いノリでいいぜ」

「は、はい…?」


二人の会話はギクシャクしていた。どちらもズレていることに気づかずに会話していた。全てが噛み合っていない中会話を続ける二人の間には気まずい雰囲気ができ始めていた。


「こんな感じだろうでしょうか?」


そんな中無理に話を続けようとすればこのような回答になるのは必然だったのかもしれない。しかしコアージェも混乱している状況では何が起こっているのかもわからないカオスな空間であった。そんな中搾り出した回答は、


「あー。やっぱり話しやすい方でお願い」


コアージェはコミュ障であった。


「あ、はい。わかりました…」

「そんな気を落とさなくていいぞ。これに関しちゃ俺が悪いからな」

「は、はい」


何とかここまで会話(?)を続けていた二人には一度休息が必要だった。今の雰囲気を軌道修正しようと思ったコアージェは一度仕切り直すことを選択した。


「それよりも飯だ飯。腹減ってんだろ?俺も腹減ってるし食いながら話そうぜ」

「はい…」


しかしここでもしんみりとした雰囲気が流れた。それもそのはず、知らない人と二人でご飯を食べるのは気まずいのでこの雰囲気は必然である。しかしコアージェはこの雰囲気に慣れてきたのか少しずつ声をかけれるようになってきた。


「ん?どうした?食わないのか?」

「あ、い、いえ。考え事を…」

「そうか。なぁ。今から何個か質問していいか?飯食いながらでいいからさ」

「はい、いつでも…」

「お前。なんで貴族に狙われてんの?」

「…!!!」


この質問はダメだったか。言ってすぐに気づいた。


「…」


少しの静寂が流れた。誰の邪魔も入らぬような深く冷たい静寂が。この雰囲気を切り裂こうとコアージェは動いた。


「まぁ言いたくないこともあるだろうし答えはいいや。それよりも自由になりたい?」


これは本心から思ったことだった。なぜなら、この子には幸せを感じてほしいと思ったからだ。


「は、え、は、はい…」

「やっぱり自由になりたいのか。まぁあんなとこに閉じ込められてたらな。そうだ!だったら俺と一緒に暮らさね!?」

「は、あえ、あ、ええ!?」


我ながらいい考えだと思った。自分の近くにいればあの貴族のような奴らがきても守れると思ったし、彼女なら信頼できると思ったからだ。やはり信頼のできて駄弁ったりできる“友達“というのは一度はつくってみたいと思って


「嫌なら嫌って言ってくれて構わないぜ。無理やり住まわせる気もないしな。でもよかったら一緒に住まないかってだけで「お願いします!!」」

「え?」

「不束者ですが住まわせてください!」


今までで1番の大声を聞いた。少し言葉を飲み込むのに時間がかかったが意味を理解し、自然と口角が上がっているのがわかった。

(これが幸せだろうな)

そしてコアージェも大きな声で、


「その言葉を待ってたぜ!」


そこには赤面しつつ座っているアヴニールが居た。嬉しいのと同時に自分のことを真正面から受け止めてくれている事実に感激、そして安堵した。この世界に自分の言葉を受け入れてくれる人がいるのだと。この瞬間を噛み締めて生きていこうとコアージェは思った。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「こっから仲間を作りつつ討伐に行く際に出会ったのがこいつってことだ」

「なるほど」


こんな出会いがありつつ今があるってことか。なるほど、


「重要な部分だけ話してねぇじゃねぇか!!何だよ物語のプロローグだけかよ!!」

「別にいいだろ?今は時間もないんだし」

「いいわけねぇだろ!!こっちは何一つわかってないん『トッ…』」

「ありがとなモンタグニア」

「いやいや。…お主、泣いておるのか?」

「いや、泣いてなんかねぇよ」

「そうか」



(…次こそは奪わせない。絶対に)

どうも。ねぎとろです。え〜すごいですね時間って。一瞬で過ぎていくのですもの。遅くなったことはすみません。はい、ほんとに。前回投稿が一ヶ月前ですか。世界ってぶっ壊れてません?もしかして自分の時間だけ早くなってるんですかね。どっかにプッチ神父でもいるんですかねはは。あれ?体が勝手にっ!!Ora

もう自然に土下座するくらい長くなってしまって申し訳ございません!!!ガチでごめんなさいです。

もうほんっとにこっから挽回できるように頑張るんでお願いします!見捨てないでください!!

ほんとですよ?十二月中に三話くらい投稿できるように頑張りますんで!!お願いします!!

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