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漫画のような異世界転生!?〜チートってなんだっけ?〜  作者: ねぎとろ
第二章 起点

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前編 過去のキセキ

大昔、人々は楽しく暮らしていた。何一つ不自由なく、というわけではないが人は助け合いながら厳しい環境の中生き抜いていた。しかし、数少ない資源を独占しようとするものも現れ、人間たちでの戦争も行われていた。

そんないつ何が起こるかわからない土地にある1人の可愛らしい子供が生まれた。

この子供はのちに預言者と呼ばれることとなる。しかし、この子供は人が持つ力の限界を超えた力を持ってしまったがために忌子として扱われていた。最初の頃はまだ良かった。「未来が見える」なんてものではなかった。

ただ他の人よりも少しだけ『反応が少しだけ早い』というくらいだった。

反応が早かったというよりも相手がこれを出すってのがちょっとだけ感覚的にわかるくらいだった。

しかし、時を重ねるにつれてその力は強まっていった。その子の名前はアヴニールといった。

アヴニールが5歳の頃には約1秒先が見えていた。しかし、8歳になると約三時間先まで。

13歳になるとおよそ半年先まで。そして18歳になると1年先まで見えていた。

見れる先の時間は長くとも予言は局所的なものしか見えていなかった。

それでも、能力の伸び方がここまで大きかったのはアヴニールの才能なのか、はたまた天の采配なのか。

真偽は定かではないが周りの人は気味悪がった。そして欲しがった。一年先まで見える能力があれば一年先にあるかもしれない最悪の未来を変えることができるのではないか。そのような金儲けのために『忌子を預かる』という形で多くの豪商たちがこぞってアヴニールを買おうとした。しかし、そんなことを知らないアヴニールはこの先の未来を見て気がついた。(色んな人が私を求めている)と。アヴニールは純粋だった。

局所的な未来しか見えなかったからかこの能力をいいことに使ってくれるはずだとずっと思っていた。

そしてある1人の世界的にも有名な豪商に変われることになった。ようやく人の役に立てる。そう思っていたのも束の間。その豪商はすぐに本性を出し、そしてアヴニールは現実を知った。

豪商はアヴニールを買った初日から地下牢へ幽閉し、毎日のように未来を見るように迫った。


「早く未来をみらんか!!早く手を打たないとといけんのだぞ!!」

「ごめんなさい…ごめ…」

『パシィンッ!!!』

「謝るくらいなら早く力を使えっ!!全く使えんやつだな!!」

「ごめんなさい…ごめんなさい…ごめんなさい…」


毎日のように暴力を振るい、未来を見るように迫った。しかし、未来を見るというものにデメリットがないはずがない。未来を見るたびに脳にとんでもない負荷がかかり、さらにアヴニールの体力、精神力、そして寿命。

これらを代償に使用していた。しかし、この時代の人々はそれを知る術を持たず、何も知らずに未来を見させていた。こんな生活を一ヶ月も続けた時にはもうアヴニールは限界だった。

精神はボロボロになり、齢19だというのにストレスで老人のように髪は白くなっていた。

そして華奢な体はより細くなり、そこから十分な食事が与えられていなかったと知ることができる。

前までの可憐な美しい女という面影は無くなっていた。

(もういいや)

いつしかアヴニールはこう考えるようになった。自分の人生を諦めたのだ。そうしていつだろうか。

豪商がずっと成功している時か、はたまた自分が“自分”を失いかけた時か。一つ、最悪な未来を見てしまった。

それは全てを飲み込む恐怖の象徴だった。全てを無に帰す力の王がこの地に降り立つことを予言してしまった、

いや、彼女からすれば救いであったのかもしれない。全てが終わると思った。元々諦めた生だったがより諦めがついたからかこのことを伝えなくてもいいと他人事のように考えていた。どうせ全て終わるから、と。

そんな夜にアヴニールですら予想できないことが起こった。侵入者が来たのだ。豪商にも侵入者が来る未来が見えたということだけを伝えていたが、あの豪商が対策をしていなかったのか?と思うほど簡単に侵入してきた。そしてアヴニールが見た未来では何かをしに来たようだが目的までは見えていなかった。そう考えていると足音がどんどん近づいてきた。聞いたことのない足音から推測するにこれは侵入者のものであろう。

扉が開いて侵入者が入ってきた。そして口を開けた。


「お前がアヴニールか?」


侵入者は紺色のマントに身を包んだ人物だった。気配があまり感じ取れない奇妙な人物だと感じた。そして頭を働かせ始めたが質問の意図が読めなかった。しかしアヴニールは知っていた。侵入者が来た時には自分も死ぬ可能性があることを。なので楽になれると思い口を開いた。


「侵入者の方。確かに私がアヴニールです。私の命が欲しいのであればお好きにどうぞ」


そうすると侵入者は少し考えるように間を置いてから口を開いた。


「んー。今の俺に殺すメリットはないし殺しはしない。けど身柄は拘束させてもらう」


アヴニールは心底驚いた。こんな未来を見ていなかったからだ。いや、正確には無意識下でこのような未来ある

わけがないと否定して未来を忘れるように掻き消したのかもしれない。

しかし女奇跡が起ころうともアヴニールは憂鬱だった。

(連れ去られた場所でもまた…)

トラウマだからである。今いるこの場所がアヴニールにとって悪夢以上の最悪な思い出の場所だった。

だからか、希望を持つことはできた。未来を見る力を使わずともそういう未来が見えた気がした。

というか未来を見る力を使いたくなかった。しかし、また未来を見ろと暴力を振るわれるかもしれない。

少しの葛藤が頭を覆った時、

(どっちでもいいや)

アヴニールは思考をやめた。考えたくもなかったからだ。そんな結論に至った時、侵入者は動き始めた。


「じゃあお暇させてもらおうかね。見つかっても面倒だし」


自分を担ぎ上げてからそのようなことを言った。思考を完全に放棄したアヴニールは担がれたまま、

(もう、どうにでもなればいい。世界が滅んでもどっちでもいい)

と思い久しく深い眠りについた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

あれから一体どのくらい時が経っただろうか。目を覚ますとそこは荷車の中だった。

(ここは一体?)

そんな疑問とともに声が飛んできた。


「よぉ。起きたか。おはよーさん」


さっきの侵入者だ。自分をどこかへ運ぼうとしているのかと思った。どこに行くかは皆目見当もつかなかったが、碌でもないところに行くのだろうなとは薄々思っていた。そのまま俯いていると侵入者だったものがまた口を開いた。


「今から向かうのは俺の家だ。安心しろ。俺以外に誰もいない」


何かがプツンと切れた気がした。安心なのかはわからない。嘘の可能性だってある。

しかし、今それを疑う思考すらアヴニールにとっては負担だった。それか、信用できそうだからと心のどこかで思ったのかもしれない。そうやって緊張の意図が切れると途端にまた眠気が来た。


「もう少し…眠らせてもらいます…」


いつの間にか口から漏れ出ていた。無意識に、しかし、本人でもしっかりわかるような声で。

侵入者は短く「おう」とだけ応えた。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

また目が覚めた。しかし次は荷車の上ではなく、簡易的なベッドの上で目が覚めた。


「お、起きたかねぼすけ」


目の前の光景を見た。目の前には侵入者。周りは地下牢と同じくらい劣悪な環境。だけど何かが劇的に違った。

何か、と言われれば雰囲気だろうか。前の地下牢とじゃ大違いだ。そんな感じたこともないような雰囲気に飲まれる中。緊張の糸が切れたせいか。

『キュルルルル…』

アヴニールのお腹がなった。


「お前腹減ってんのか。ちょっと待ってろ。食えるもん出してやるから」


アヴニールの顔は真っ赤になっていた。お腹の音がなった恥ずかしさと、知らない人に施しを受ける気まずさ。

そして、前のところでは考えられなかった気遣い。その三つの感情がごちゃごちゃになった。そしてふと思った。

(感情をこんなにも感じたのはいつ以来でしょうか)

そう思うとまた色んな何かがプツンと切れた気がした。


「ほら飯あったぞ…って、は!?え!?どうしたんだよ!?」


いつの間にか泣いていた。全ての事柄を吊り橋のように渡ってきたアヴニールにとって安心や安全とは切り捨てなければ生きていけないものだったから。だから間近で安心を受けたことで元々爆発していた感情が溢れ出てきた。


「う、うわぁぁぁぁぁ…!!!」

「うをっ!?」


泣きじゃくった。齢19になって初めて涙を流した。壮絶な幼少期は言うまでもなく、それからの人生も最悪なんてものではない、元々詰んだ状態から始まった生だと言うのに今まで涙ひとつ流してこなかったアヴニールが今、初めて人の胸の中で泣けた。その泣き声は今までの全てを吐き出すような悲しくて、絶望して、諦めた全てが混ざっていた。そうやって泣きじゃくっているアヴニールに一つの声がかかる。


「お疲れ様。お前はよくやった」


これもまたアヴニールの人生で初めての褒め言葉だった。今までの罵詈雑言の対比。間反対の優しい言葉だった。

そんな言葉を聞いたアヴニールはより泣いた。自分の未来の心配よりも、

(今は、この人の胸の中で泣いていたい。)

紛れもない本心だった。今だけは泣いていたい。人生で一回だけ泣けるのならばここで全てを吐き出そうと思えるほどに侵入者のしたことはアヴニールにとって大きなことだった。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

「泣き止んだか?」


スンッ、スンッ。と鼻を鳴らしながらアヴニールは震える声で答えた。


「は、はい。お見苦し、しいところを見せてしまい、申し訳ありま、せんでした…」

「もっと落ち着けって。俺も質問したいしな」

「はい…」


そして少し時間が経ち、落ち着き始めたときに相手からの質問が始まった。


「まず、お前はアヴニールという名前で合ってるよな?」

「はい。合っています」

「そうかい。あ、俺の自己紹介を忘れていたな。俺の名前はコアージェ。よろしくな」

「はい、よろしk」

「あーちょっと待ってちょっと待て」


少しアヴニールは怯えた。前の場所では急に会話を止められることが何度もあったアヴニールにとって会話を止められるのは相当なトラウマだったからだ。なぜなら前の場所では少しでも言葉選びを間違えたり少しだけ反抗するとこの後に体罰が待っていたりしていたので余計に怯えてしまった。


「お前」

「は、はい…」

「なんかよそよそしくね?もっと軽いノリでいいぜ」

「は、はい…?」


思いもよらぬ言葉に困惑した。まず、ずっと牢屋などで生活していたアヴニールにとって外の世界についてはわからないことが多く、ノリがわからなかった。それに、あまり人と会話したことがなかったので人と対話する時にどうすれば良いかがわからなかった。つまり、アヴニールはコミュ障である。

それの前にまず常識の知識がない上に、幼少の頃からの考えたくもない拷問よりも苦痛な日々。

そして人格もクソもない欲望に貪欲な人間たちに囲まれて生きていたアヴニールは知識が偏っており、さらにこのことから極度の人間不信に陥っているアヴニールにとってここまで返事できているのも奇跡のようなものである。

つまり全てをまとめるとアヴニールは人間と生きることに適さない人間なのである。

これに関しては周りの環境が最悪だったのと、神の狂った采配によることの結果で、仕方ないとしか言いようがない。それもこれも全て周りが悪い。そんな中、性格が曲がらず生きてきたアヴニールは奇跡の子と言えるだろう。

そんなアヴニールが考える軽いノリとは、


「こんな感じだろうでしょうか?」


全てが混じったこんな口調である。


「あー。やっぱり話しやすい方でお願い」

「あ、はい。わかりました…」

「そんな気を落とさなくていいぞ。これに関しちゃ俺が悪いからな」

「は、はい」

「それよりも飯だ飯。腹減ってんだろ?俺も腹減ってるし食いながら話そうぜ」

「はい…」


内心不安だった。いつ自分が殺されるか、はたまた売られるかが気になってしかたなかった。人は絶対に信じられないと身をもって体験したアヴニールは全てのことを信頼していなかった。もちろんコアージェのこともだ。しかし、話しているうちにコアージェのことはもしかしたら信頼できるかもと思っていた。根拠はない。けれど今まで会ってきた人間とはまったくもって違う雰囲気だったから。ここで未来を見れば全てがわかる。でも、未来を見ることはしようと思えなかった。もしもこの人が私の能力について知らなかったり気付いてなかったりしたら今使うことで状況が変わってしまうと思った。こんな思いを嘘でもいいから、少しでいいからしていたいと思うアヴニールにとって未来を見る能力は絶対に使いたくなかった。これからも使わないようにと心に決めた。


「ん?どうした?食わないのか?」

「あ、い、いえ。考え事を…」

「そうか。なぁ。今から何個か質問していいか?飯食いながらでいいからさ」

「はい、いつでも…」

「お前。なんで貴族に狙われてんの?」

「…!!!」


それはアヴニールの核心をつく質問だった。絶対に答えたくない質問だった。しかし答えなければ何かあると思われてしまう。けれどこの人なら?いや、でもこの人も人間だ。ほんとの事を話しても前の人たちみたいに豹変するに違いない。そんな考えばかりが頭の中を巡った。そんな中出した答えは、


「…」


沈黙。これしかアヴニールにはできなかった。アヴニールは沈黙しながら、

(もうダメでしょうね。私の人生に希望なんて…)

と、考えていた。ようやく手に入れた平穏も束の間の夢であると思い、また絶望の淵へと心を寄せて、そうなる前に一つの声がアヴニールに届いた。


「まぁ言いたくないこともあるだろうし答えはいいや。それよりも自由になりたい?」

「は、え、は、はい…」


反射的に『自由になりたい?』という質問に対して答えを出してしまっていた。その答えを言った後にアヴニールは困惑した。答えなくていいという声にひどく困惑した。答えを聞かなくていいのか?知りたいことがあるのではないか?だから聞いたのではないか?と。前の場所ではまず考えられないことばかりで困惑した。そうやって困惑していると、さらにコアージェの声が聞こえた。


「やっぱり自由になりたいのか。まぁあんなとこに閉じ込められてたらな。そうだ!だったら俺と一緒に暮らさね!?」

「は、あえ、あ、ええ!?」


(くらす、クラス…暮らす!?)

またも困惑した。急に同棲しないかと言われて困惑しない方が珍しいと思うがアヴニールにとっては処理に時間のかかる言葉であったのは間違いないだろう。肝心の言い出しっぺであるコアージュは2人で暮らす気満々のことを言っており上機嫌になっていた。しかしアヴニールは混乱しているあまりいまだに言葉を飲み込めていなかった。

(え!?暮らすとは一緒に暮らすことですよね!?そうですよね!?あ、えっとなんて返せばいいのでしょうか!?えっと、えーっと!コアージェ様は同棲する気があるようですしはいと答えるのでいいのでしょうか!?)


「嫌なら嫌って言ってくれて構わないぜ。無理やり住まわせる気もないしな。でもよかったら一緒に住まないかってだけで「お願いします!!」」

「え?」

「不束者ですが住まわせてください!」


今までで1番の大声を出したとアヴニールは思った。ここまで迫真な声を出したのは初めてだと。それと同時に今まで出したことのない大声に少し焦りと恥ずかしさを感じており顔は真っ赤になり、心臓はいつもより早く脈打っていた。そして恐る恐る反応を見ようと顔を上げると、


「その言葉を待ってたぜ!」


満開の笑みを見せているコアージェがいた。その笑みに安堵すると同時に自分のことを真正面から受け止めてくれている事実に感激、そして安堵した。この世界に自分の居場所はあったのだと。この瞬間を噛み締めて生きていこうとアヴニールは思った。

どうも。ねぎとろです。説明も兼ねて過去編を書いているのですが馬鹿みたいに長くなりそうなので前編と後編に分けて書こうと思っています。今回は前編でマジで訳がわからないと思いますがとりあえず読んでください。

こんなこと絶対後書きで言うべきではないと思っているのですが一応言っておきます。

読んでください(圧)お願いします(切実)あと投稿遅くてごめんなさい。でももう皆さんも自分の投稿スピードになれたのではないでしょうか。逆に早く出せと言ってくれる方がいてくれるとモチベがすんごい上がるのでコメントなんか書かずに次の話を待っててください。できる限り全力で書きます。

さて、こんなところでしょうか。次の話も読んでください!お願いします!!では、また次のお話で〜。

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