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老兵 ~最後の旅~  作者: ヒーズ
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老兵 第1話:最後の旅立ち

かつての仲間も、妻のフィリエナも死んでしまった。

じゃが、息子や可愛い孫、気立てのよい義娘がいてくれる。

儂も年だし、仲間や妻をそう長く待たせることはないだろう。

そう考えて、余生を過ごそうと思っとったんじゃが・・・ふと、過去のことを思い出してな。

表の英雄と裏の英雄の、今はもう、忘れかけられとる話じゃ。

その物語の表の英雄は、儂じゃった。まあ、今はもう年老いて誰にも気付かれんがな。

それはさて措き、儂は思ったんじゃ。表の英雄である儂が、既に世界から忘れられようと

している。裏の英雄を知る者は、儂とかつての仲間、そして妻だけじゃった。

そして、仲間と妻がこの世を去った今、裏の英雄を覚えておるのは儂だけ。

否。覚えられていると言えば、儂より覚えられておるだろうな。

裏の英雄オディッド。又の名を、旧支配者:魔大帝オーディント。

悪逆非道、冷徹無慈悲、破壊と死の暴君。そして・・・・・・・・・・・・・。

いや、今それはいい。

とりあえずだ、仲間の墓参りを兼ねて、思い出の地を旅してまわろう、と思うんじゃ。

息子や孫、息子の嫁殿には、恐らく止められるじゃろうから、置手紙を残して旅立つとしよう。

家族には迷惑を掛けられんから、昔の旅道具と・・・妻との思い出の品を一つ。

これで十分じゃろう。

さて、次は置手紙じゃな。


ロートス、アイリエッタ、カールズ へ

まず、儂の可愛い可愛い孫のカールズへ。

おじいちゃんはな、昔のお友達とフィリエナおばあちゃんとの思い出の場所へ行きたくなったんじゃ。

それでもう、カールズと遊んでやることは出来ないんじゃよ。

でも、その代わりにおじいちゃんの部屋にある物を、全部お前にやろう。

これからも、お母さんとお父さんの言うことをちゃんと聞いて、良い子に育つんじゃよ。

次に、アイリエッタ殿へ。

まず、礼を言わせてくれ。家の頑固の息子に嫁いでくれて、感謝する。

そして、儂の気持ちを勝手に優先して、旅に出ることを許してほしい。

息子は、頑固で意地っ張りな一面もあるが、優しい奴だ。

自分の気持ちを勝手に優先させる儂が言うのもなんじゃが、

これからも、息子のことを支えてやってくれ。

最後に、ロートスへ。

色々と言いたいことがある。謝りたいことも。・・・兎に角、色々だ。

じゃがまあ、なんだ。お前は儂とフィリエナにとって、最高の息子じゃった。

これだけは、覚えておいてくれ。

お前は儂の息子だ。そして、若い頃の儂にそっくりじゃ。

だから、何も言わんでも儂の考えが分かると思う。

儂の考えに対して、言いたいことが沢山あるのも分かる。じゃが、儂はお前と・・・

いや、お前以上に一度決めたことを曲げたりはせん。儂のことを探しに来たりするでないぞ。

アイリエッタ殿とカールズのことをしっかりと守ってやれ。

それと、儂の息子として生まれて来てくれたことを、感謝する。

                              ローウッドおじいちゃん より

追伸、ムース村の皆にも儂が感謝しとったと伝えてくれ。


ふむ。こんなものかの。

・・・もうすぐ夜が明ける。皆に見つかる前に家を出ないとな。

儂とフィリエナの思い出の家。まあ、皆なら、大切にしてくれるじゃろう。

儂は、置手紙を食卓に残し、最後の旅を始めた。



この世界には四大大陸が存在する。

儂の住むメルシア大陸(一番小さい大陸)、アーバント大陸(二番目に小さい大陸)、

アガット大陸(二番目に大きい)、そして最も大きな大陸オージエント大陸だ。

メルシア大陸は世界地図の北西に、アガット大陸は北東に、アーバント大陸は南西に、

オージエント大陸は南東に位置している。そして、中央にはグルッタヴォ海と言う大洋が広がっている。

まず、メルシア大陸の思い出の地を一通り巡り、その後アーバント大陸、アガット大陸、

オージエント大陸の順番で旅をしようと考えておる。

じゃがまあ、儂の住んどったムース村から最も近い町ドルットに着かにゃ、何も始まらん。

まずは、ドルットまでゆっくりと歩いて行くとするかの。

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