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森に帰る。


 ケットシーを見送って、そろそろ森に帰る支度をと言われる。


 日々楽しくて、もうそんなに時間が経ったのかと思う。

 うむ、感慨深い。


 しかし、その前にお話があるそうな。

 なんだろ?


 リビングには白銀の翼が勢ぞろい。

 何やら神妙な顔してる……。


 




 「えーっと……。だいぶ日にちも経っていて改まってする話でもないかもしれないけど、でもやっぱり必要だから話しておくな。ラナは、その、えーっと、もしかしてピーポを……ピーポに癒しの魔法かけた、よな?」


 話すのはジャスパーさん担当らしい。


 ん? 癒しの? うーん……?

 「たててない、とおもう?」


 「なんで疑問形? って、無自覚?」


 いやぁ、それってあれでしょ? クリームポンプ食べてた時に突然ピーポが飛んだ時の事でしょ?

 覚えがありませんねぇ……。


 「ほら、”いたいのいたいのとんでけ”ってスペル? 言霊? 呪文? 言ってたろ?」


 あー! はいはい! 言ったね!

 「あえはー、おまじない!」


 「……その時、光ったの見てないのか……。あれでピーポが治ったんだよ。だからそれは絶対に人前で使ったらだめ! 身体強化も出来るだろ? あれもダメ。身体強化は魔法制御が出来てないと難しいの。その年で出来るのはおかしいの。わかるか? ラナが特殊な体質なのは聞いたから俺たちは納得してる。もちろん他言は絶対にしない。だけどな、他の奴には恰好の金のなる木なんだ。攫われたりかどわかされたり。危ないんだよ」


 ぱちくり。

 なるほど?


 『そんな事させないよ?』


 「わかってる。だけど、人はアストロが考えるより狡猾なんだ。ラナを守るためには人前では絶対に気を付ける事を約束して欲しい。ラナを守りたいだろ?」


 そんなに気を付けないとダメな感じなの!?

 ジャスパーさんが言うって事は、そうなんだろう。

 うーむ……。


 『でもさ、ラナは森で暮らすし人前に出る事はないんだから平気じゃないの?』


 「うん、そう思ったんだけど、俺らA+の冒険者が森の中腹に行くこともあるだろう? そこで他の冒険者に会う可能性もないわけじゃない。だから用心しておいて欲しいんだ。それに聖なる泉に水を頂きに行くこともあるだろう。アストロの住処がどこにあるのかは分からないけど、特定されたら危険だろ?」


 なるほど。


 『ぼくがラナを守るから大丈夫!』


 「アストロ、思い出してほしい。俺らとの出会いはどうだった? あの時はアストロが間に合ったって言い方はアレだけど、ラナはひとりで待っていたろ? 今後も同じような場面があるかもしれない。一瞬のスキが取り返しのつかない事になる時もあるんだ。みんながみんな親切な奴ばかりじゃない」


 ジャイアントの時かー。

 まぁ今まで森の浅瀬に行くときは、そこそこ短時間だったから他の冒険者の人に会わなかったってのもあるんかな。

 知り合ったのが白銀の翼だったから、こんな風に親切にしてもらったけど、そうじゃない人も居るもんね。

 うん、過信は禁物。


 『……そう言えばそうだった。じゃあラナから目を離さなければ大丈夫?』


 いやいや! そんなんされたら監視されてるみたいじゃないか!

 わたしも気を付けるから、アストロもネージュも内緒にしていてね?


 「オレは言う相手もいにゃいから、ラナがオカシイ子どもだって事は言わないにゃー。オレの背中も”いたいのとんでて”されたしにゃ」


 飛んでけ ね……。

 それにしても、益々人との関わり合いが難しくなるなぁ。

 森の中でも気が抜けないって、結構大変じゃない?


 「オカシイって言い方はアレだけど」


 と、みんな失笑してる。

 ぷーんだ!


 「ラナは特別聡いんですよ。見た目は……に、3歳とは言え中身は、ね」


 2歳って言おうとした!?

 って、もうそこは仕方ないから気にしないでおく。事にする。多分。


 「ちおちゅてる」


 「うん。アレコレ言うのもラナが危険な目に合わない為だから。うるさくてごめんな」


 「ううん。ちらなたったやあむなたったとおもう。あいまと」


 「何かあったら、いつでも俺らを頼れ。街に住みたくなったら、この拠点がラナ達の家だからな?」


 「ラナの部屋も整えて待っていますからね。いつでも帰ってきていいんですよ」


 え、わたしの家? わたしの部屋?


 「次に来た時は、今ラナが使ってる部屋は可愛くなってるからねー! あそこがラナの部屋だよっ!」


 え? わざわざ? 使うか分からない部屋を、わたしの為に?


 『ぼく専用のクッションも置いて!』


 「オレはマーフの毛皮がいいにゃ」


 ちょ! ふたりとも要求しないの!


 「ははは! アストロはクッション、ネージュはマーフの毛皮な! ちゃんと用意しておくよ。ラナは欲しいものあるか? 遅くても冬前には来るだろ? ガイズナ一緒に行くしな!」


 そうだった! でも。

 「ううん。いまのままもいどとちいいたや! あいまと!」


 「いどとち……? あぁ! 居心地な! もっと快適にしておくから楽しみにしておけよー」


 そう言って頭をぐりぐりされた。

 うん、はよ活舌が良くなるようにしておきます……。






 ◇◇◇


 翌日。

 冒険者ギルドに寄って、ギルマスに軽く挨拶。


 「また来いよー」


 と、ここでも頭ぐりぐり。

 首がぐらんぐらんするってば!


 白銀の翼は、今回人族が多いモルフェ国方面に行くらしい。

 その後、森の氾濫の兆候を調べつつレイズサイズに戻るルートだって。

 今回はピーポも一緒。


 ――ピロロロロロロ……――

 

 ご機嫌なピーポは、現在空を巡回中。

 街の上空だからピロピロと嬉しそうに鳴いている。

 今は特に隠れている訳じゃないからね。




 森との境、門を出てしばし。


 「ラナ、手紙の転送箱はちゃんと持ってるな? 俺たちもクエストに持ってきてるから、いつでも手紙くれよな。俺たちも書くよ。……ロビンが」


 どうやらロビンさん以外、書くのは苦手らしい。


 「じゃしゅぱーたんも、みーしゅたんも、だやすたんも!」


 書け! とばかりに言っておかなくちゃ絶対書かなさそうなのでハッパかけておく。


 「がんばるよぉぉ! ラナぁぁぁぁぁ」


 「わかった」


 「私からも書くように言いますね。ラナも無理せず十分に気を付けて過ごすんですよ。アストロもネージュもね」


 ミーシュくんは今にも泣きそうだ。

 ダラスさんは相変わらず言葉少ないけど、それでもちゃんと言葉にしてくれる。

 ロビンさんは変わらずオカンだ。


 「晩秋になったらお迎え行くよ。一緒にガイズナ行こうな!」


 「あい! おてわにないまちて、あいまとごじゃまちた! またよよちくおねだいちまつ!」


 『またねー!』


 「またにゃー」



 さぁアストロの背中に乗って帰ろう。

 わたしたちのお家に!



 

 

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