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契約。


 ドアの隙間から、じーっと見てるネージュ。

 気になるなら入ってくればいいのに。


 まぁあの子が悪いわけじゃないって頭では分かっていても感情は別なのかもしれない。

 置いていかれて、どれだけ長い間ひとりで神樹の森を彷徨っていたのか分からないけど、いくらカモフラージュってスキルがあっても戦う力のない幼子。

 魔物が跋扈する森を彷徨ってるのは怖かっただろう。


 それを思うと……。


 「……オレにもクッキー寄越せにゃ」


 ぶっほ!

 クッキーかい!


 「いっちょにたべよ?」


 「あ……」


 戸惑ったのはケットシー。

 お皿を見たら、残り2枚。


 「のわあああああ!!! オレのクッキー!」


 「ごめんなさい! 美味しかったのー!」


 『ひゃはは! うん、美味しかったもんね!』


 「お、お、おまえ無遠慮にゃー!」


 「謝ったじゃない! それに食べていいって言われたら食べるでしょ!」


 「だからって反省してるんじゃにゃかったのか!?」


 「それとこれとは別っ! 食べられる時に食べるのは当然でしょっ!」


 ぎゃーぎゃーと言い合う2人。

 あー、うん。もう好きにして。


 そっとテーブルから離れてアストロにくっつく。

 アストロもテーブルから離れて、2人を遠巻きに見る。




 

 「だからっ! オレはひとりじゃにゃいっ! ラナもアストロも仲間にゃっ!」


 リンゴ~ン♪

 ”個体名ラナと個体名ネージュの絆が生まれ従魔契約が結ばれました。

 これより個体名ネージュは個体名ラナの影に隠遁する事が可能になりました。

 なお、個体名ネージュの特殊スキル:カモフラージュが進化し、インビジブルになりました”


 「「へ!?」ねーじゅっ!」


 ぎゅぅぅぅぅぅっ!


 「ぐっ! ぐるじいにゃあああああ!」


 「あ、ごめんね! うえちくてっ!」


 『なぁになぁに? 嬉しいこと?』


 ネージュがわたしと従魔契約結んでくれたの!

 これでずぅっと仲間だよ!

 あ、だけどネージュが単独行動したかったら、いつでもどこにでも行っていいんだよ?

 でもでも、行先は教えて欲しいけど……。


 『やったーーーーーー!!!』

 わおぉぉおーーーーーーーん!!


 「ちょっ! びっくりするじゃない!」



 どたどたどたどたどたどどどどど バンッ!


 「何事だっ!? ラナ大丈夫かっ!」


 「あ、じゃしゅぱーたん。だいじぶー」


 『ごめんね、嬉しみの遠吠えだった! えへへっ』


 「へっ? あ、うれしみ? え?」


 突然の遠吠え聞いたら、そりゃそうなるよね……。

 でも嬉しいことは嬉しいんだ! わたしだって遠吠えしたい!

 いや、しないけどね?


 だってずっと気になっていた。

 保留って見ちゃった時から気になっていた。

 どうしてかなって。

 やっぱり仲間としては認めてくれないのかなって。

 それとも、従魔って事がいやだったのかなぁって。

 別にわたしに付き従う事なんてしなくていいんだよ?

 好きに生きていいんだよ?

 ネージュを縛ったりしないし、やりたい事あるならやっていいし。

 もし、もし万が一、わたしの事を嫌いになったら契約破棄したってかまわない。

 ……寂しいけど。


 それより今は、ちゃんと仲間になれた事を喜ぼう!

 契約がなくたって仲間だけど、世界が認めてくれたって事が嬉しい。

 誰になんと言われようと、アストロもネージュも、わたしの家族だもの!


 「あ、あの、ラナ?」


 「んふふふふ~♪ なぁに? ねーじゅ」


 「その、よかったのか?」


 「ん?」


 「……」


 「よたったにちまってう! なたまだち、たじょくだち!」


 「たじょく……」


 むっ!

 「た、たー、むう……たじょく!」


 言えない! ”か”が! 家族だってば!


 「家族……っ!?」


 「しょれっ!」


 びしっ! と空に人差し指を突き上げる。

 まぁ実際は天井なんだけど。


 「なんだ? ネージュが家族? そんなの当然なんだろ?」


 「うんっ!」


 そうです! 当然です! 家族です! 仲間です!


 『やったー! 家族~! ……家族?……家族って何するの?』


 え。

 何する?


 「はははっ! 何もしなくてもいいじゃん。ずっと仲良しでいたらいいだろ? 同じ所に住んでなくたって家族って事もあるし。色んな形はあれど、仲間だって事でいいんじゃね?」


 「仲間。うん、それでいいにゃ!」


 「……そう。よかったわね。それなら無理に誘わないわ」


 ん?


 「私たちのコロニーに誘おうと思ってたの。だけど……いい仲間がいるのね」


 「贖罪のつもりならいらにゃいにゃ。今までも一人で何とかやってきたし、これからは、か、か、家族もいるし……」


 真っ白い被毛に隠れていなかったら、きっとネージュは赤くなっていたかもしれない。

 テレテレとくねくねしてるし。ふふ!


 「ケットシーは群れないって言うけど、そうでもないの。コロニーに戻ることもあるし。だから、ちょっとだけ心配してただけよ」


 ふぃっと顔を背ける。


 心配してくれるケットシーもいたんだね。

 ネージュも完全に独りぼっちじゃなかったって分かっただけでもよかったなって思う。

 だけど、これからはアストロとわたしと、ずっと一緒に居ようね。

 もうごはんを探して彷徨わなくてもいい。

 寝る場所だってある。

 わたしもネージュを危険から守るよ!

 ふんすっ!


 「お? ラナ、なーんか決意が顔に出てるぞー! ははは!」


 『ほんとだ! 鼻穴まんまる! ひゃははは!』


 「ちょ! たわいいおとめにいうととなない!」


 「そうだよなー、ラナは秘密多き乙女だもんな?」


 そう言って笑うジャスパーさん。

 ふーんだ!

 今日は嬉しいから許しちゃう。ふふっ!








 ◇◇◇


 帰るケイティ事、ケットシーを見送る。


 「じゃあね。またいつかどこかで会えたらクッキー食べさせてね!」


 「やっぱりおまえ図々しいにゃー!」


 「いいぉ! ていてぃも、ちをちゅててでんちでね!」


 『またねー』


 するりと門扉を抜けて、街に溶け込む。

 人の街でも森でも逞しく生きてね!

 神樹の森の家に来るのは難しいかなぁ。

 でもまぁ、いつかまた会えるよね!

 だって、同じ世界に生きている。

 それまで元気でね!


 新しい家族が増えた事を喜ぼう。

 まだまだ、わたしの楽しみは始まったばかり!


 この街で欲しい物も買えたし、森のお家に戻って少しでも豊かな、主に食生活楽しまないと!

 そう思ったら、無性に料理したくなってきたー。


 帰ったら思いっきり料理しよっと!

 


 

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