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実食!


「バカだねあんた。気遣いができる幼児なんて居ないよ。もしそうだとしたら、さっきの話を聞くと、そうしなくちゃならない、一足飛びで大人にならなきゃって理由があったからに決まってんだろ? 女の子は精神年齢の育つのが早いって言うのもあるけど、……その、ラナちゃんの身体に傷とかはなかったかい? そうでなくとも子どもの心は柔らかくて、1度深く傷付いたら修復に時間が掛かるんだよ。可哀想に……」


「……」


 しーん……。


 あれ。冒険者ギルドでの設定話したの?

 何かやばい方に行ってる気がする。

 違うよ!? そうじゃないってば!

 これはどうしたらいいの!?

 否定しといた方がいい!?

 でも3歳のマリクくんを見たら、わたしがオカシイのは一目瞭然だし……。

 いやぁ困ったなぁ。


「……ほら、顔色伺ってる。あんた達がたっぷり甘やかしておやりよ? 例え短期間でもさ」


「……お風呂に入った時に調べたけど、痕になる様な傷はなかった。けど、そうですね、心、か……」


 身体を隅々まで洗った時に調べたのー!?

 やだー! 傷なんてありませんよ!

 転んでも擦り傷ひとつ付かないのにー!


「おたーたん! かじつついほしいー!」


「あらやだ! 注文も聞いてなかったわー! メニュー見て選んでおいてね! マリクは婆ちゃんと飲むんだよ」


「やだ! わんわんとのむ!」


「我儘言わないの! ラナちゃん、今度マリクと遊んでやってね?」


「あい」


 やだやだやーだー! と大騒ぎして引っ込むマリクくん。

 無理だ。

 あれの真似はハードルが高すぎる。


 ”やっぱりラナはオカシイにゃ。アレがオレの知ってる幼児だもんにゃー”


 ……人それぞれですよ。


「……あー、ラナは何が好きだ? 肉か? 魚か? まさかの野菜か? 何でも好きなの食えよ!」


 まさかの野菜って……。

 メニューを見せられても写真はないのでよく分からん……ん? あぁ! ちゃんと翻訳されてる!


 何とかの煮込みとか、何とか炒めとか。

 麺もあるの? へぇ!

 しかし、好き嫌いはないしなー。

 そうね、強いて言えば……。


「たやくないのだいい」


「たやく……あぁ、辛くないヤツな。よし、次はパンか? 麺か?」


 んー……。

「めん!」


「麺な。ラナの食いっぷりからすると、1人前じゃあ多いかもだから、子どもサイズがあったらそれにするな。なかったら俺と半分こ、それでいいか?」


「あーい!」


 さっきのお母さんが注文を聞きに来て、待ってる間にお客さんが増えてきた。

 そう言えばお昼の鐘がメロディーを奏でていたな。

 ランチタイムになったのね。



 ペット? 従魔? を連れた人もチラホラ。

 なんだけど……。


「おい! ったく今日はどうしたんだ? いつもの店だろ?」


 と、入口で尻込みする子達。

 アストロが一瞥すると、おずおずと入って来る。

 犬型の子はしっぽが股に入り込んでるし、あの鳥さんなんて、主の襟ぐりに頭突っ込んでるよ。

 ……隠れてるつもり、かな?


「わふっ」


 ぴゃっ! きゃんっ! ぷわぁっ!


「あーしゅーとーよー」


『怖がらなくてもいいよって言ったんだよー』


 てか、ぷわってどの子?

 いた! あの子かなぁ?

 何だっけ、ウォンバット? みたい。

 んふふふ♪


「たわいいねー」


「どれ? あぁタマルンな。大人しくて人に懐きやすいんだ」


 飼い主さんがこっちに気が付いて話しかけて来る。


「よぉ! でっけぇ犬だなぁ! 毛並みも綺麗だし、手入れが大変そうだ! はははっ。ネコも綺麗だな!」


 手入れ!? そうだ、ブラシ買わないと!


「あぁ、そっちのタルマンもよく懐いてるなー。触っても大丈夫か?」


「おーよ、お嬢ちゃん触ってみるか?」


「いいの? たわいたい!」


「ドム、大人しくしてんだぞー」


 ドムって言うのか。


「どむたん」


 触るとふわふわ! ネコよりうさぎより柔らかいかも!


「ぷわわ」


 んふ〜♡ こりゃ気持ちいい!


『ぼくより?』


 ”オレより?”


 ……みんな違ってみんないいの!

 それぞれの良さがあるの!


「はいよー! お待たせ! ラナちゃんにはこっちね!」


 おっと、ご飯が来たので飼い主さんにお礼をする。

「あいまと!」


「おう! いっぱい食えよー!」


 さてさて、と、椅子に座る。

 目の前には肉うどん。

 もう一度言う、肉うどん。

 うどんあったんかーーい!!


「ラナちゃんにはエイメンにしといたよ、その方が食べやすいだろう?」


 えいめん? って何? A面?

 びいめん(B面)もあるとか?

 ま、とりあえず食べてみよう。

 つーか、子どもサイズはなかったんだな、これ。


「子どもサイズなんて置いてないから減らしたんだけど、ちょっと少なかったかねぇ」


 これで!?

 と、周りを見渡すと、みんな大盛りなんだけど……。


「足りなかったらまた頼むし、大丈夫だよ」


「そうかい? マリクはもう普通に食べるから加減が分かんなくなっちゃったよ。ふふふっ! 「注文いいか?」はーい!」


 と、お客さんに呼ばれて行ったけど、これが子どもサイズ……。


 とりあえず伸びる前に。


「いたーちまちゅ」


 上に乗ってるお肉を避けて、まずはスープ。

 うん、ソイ風味のガラスープ。


「おいちぃ!」

 

 麺をフォークに絡めて、ずぞぞっと啜ろうと思ったができなかったので、ちゅるりん!

 うわ、やっぱりうどん!

 ロビンさんが作ってくれた麺は確かにパスタだった。

 麺の実にも種類があるの!?


「よびんたんのめんとちなう」


「おや、ラナは違いが分かるなんて凄いですね。これはエイメン、この間の朝食に出したのはパズメン。茹で方が違うんですよ」


 びいめんじゃなかった!


 ロビンさん曰く、麺の実を茹でる時に入れる調味料があって、その調味料で麺が変わるそうな。

 マジか! それも買わないと!


 パズースがこの間のパスタになって、エイダスがうどんになるんだね。

 チャイスってのもあるんだって。

 ……きっとラーメンだな。ラーメンだといいな。

 この間の焼きそばは何だったんだろう。

 謎だ。後でロビンさんに聞いてみよう。


 アストロとネージュには肉野菜炒め。

 ペットには、この1種類らしい。

 もちろんステーキは別に注文してくれてある。

 お母さんには贅沢だね! と笑われた。


 ロビンさんはパスタ。

 赤いからトマトソースなのかな?

 ジャスパーさんとダラスさんはでっっっかい! ステーキ。

 ミーシュくんは何かの煮込みとぶっといフランクフルトみたいなやつ。

 その他にもソーセージとか野菜炒めとか色々並んでる。

 毎回思うが、よくその量が入るなー。

 と、他のテーブルを見ても、みんなテーブルはいっぱい。

 ……健啖家ばかりなのか。


 見てるだけでお腹いっぱい。

 ぷふー。

 


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