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洋服とクマのしっぽ。


 時間、暦、通貨。

 その他、国の特色とか食糧事情とか。

 午前中の短い時間でざっと聞いただけだが有意義だった。

 今の所、街に住む予定はないのでそんなに詰め込まなくていいのだ。

 

 まぁ街に住む事を考えなかった訳では無いが、アストロにもネージュにも窮屈だと思うんだよね。

 だから、たまに街に来るだけでいいと思ったのだ。

 自力で来られるのは随分先だけれども。


 そうよ、洋服だってすぐに着られなくなる。

 はず。

 何故か夏になったらクローゼットの中も夏仕様になったから、きっと季節が変わったら服も変わると思うけどサイズ問題がある。

 なので、できれば季節毎に街に来て買い物はしたいんだけど……。


 白銀の翼チームと交渉しないとだな。





 ◇◇◇


「おーいラナー、お出掛けすんぞー」


「あーい!」


「まずは洋服を受け取ってからクマに行って、またお買い物しましょうね」


「あいっ!」


 今日は調味料とか見てみたいな!

 ブルーのポンチョを着て、いざ参る!






「こんちはー」


「いらっしゃいませ、お待ちしておりました」


「例のアレ、できてる?」


「勿論ですとも。早速お持ちします」


 例のアレ?


 待つこと暫し。


「まずは此方を。動きやすさをお求めでしたので、すっぽり被れるチュニックと、それに合わせたスカート付きのオーバーパンツを軸に何点かお作りしました。それと、お嬢様は早々におむつを卒業されている様でしたので、スッキリとした半ズボンもご用意しております」


 おむつ!?

 おむつが必要に見えたの!?

 ……うそん……。


「ラナ、早速着てみましょうか」


 それどころじゃない。

 精神的ダメージが……。


 なんて思ってるうちに、あれよあれよと着替えさせられた。


 裾が短めのチュニックにスカート付きのオーバーパンツ。

 色合いは上がオレンジ、下が深緑。

 逆みかん色。


「うんうん! 似合うねー! 夏らしくていい感じだよ! こっちも着てみて!」


 次に着たのは少し長めのチュニックと半ズボン。

 上がピンクで、下がオフホワイト。


「あー、こっちの色の方が似合いますね。デザインは最初の方が女の子らしい感じですけど」


「ご用意しております」


 と、デザインは最初ので、色は2つ目のになった。

 ピンク……。


  「着ていくのでこのままで。あ、そこのも全部買います」


 は?


「私からのプレゼントですよ」


 と、ロビンさんにっこり。


「俺からもあるよー。例のアレ持って来て!」


 と、ミーシュくんが言ってた例のアレ。


「秋から着られるからね!」


 と、真っ白なうさ耳付きのポンチョとオーバーオール。

 はい?


「ちょっと着てみて!」


 この世界にフェイクファーはあるのか?

 と思ったら普通に毛皮だった。

 柔らかいふわふわのラビットファー。


「はぁぁぁん! 可愛いぃぃぃぃ!」


 むぎゅむぎゅむぎゅむぎゅっ!

 ぐ、ぐるじぃっ!


「毎年冬前にガイズナに行くから、ラナもこれ着て行こうね!」


 え?


「あぁ、なるほど。それはいいですね」


 ガイズナに? 連れてってくれるの?

 ぱぁぁ!

「あい!」


 思いがけず他の国にも連れて行ってくれる約束をした。

 やったー!




 うさ耳セットは脱いで新しい洋服で外に出た。

 まぁポンチョで隠れるんだけど。


 その後は「クマのしっぽ」でお昼ごはん。

 件のマリクとご対面だ。

 待ってろ3歳児! お姉さんが相手をしてやる!






 ◇◇◇


「いらっしゃーい! まぁ! その子がラナちゃん?」


 ジャスパーさんとダラスさんは先に来て、マリクくんが居るか確かめていたらしい。


「……こんいちは」


「んまっ! 挨拶しなさいって言わなくても自分から挨拶できるの!? 凄いわねぇ! マリクもほら!」


 おっ! お耳が垂れ耳だ!

 獣人の子なのか!

 

 この人はお母さんかな?

 お母さんの後ろに隠れて出てこない。

 そしてダラスさんを凝視している。


「……ふぇ……びええええええええ」


「……」


「やだよもー。散々泣いてまだ泣くのかい? 毎回ごめんねダラスさん」


「……いい」

 しょぼん


 あぁ、子どもには泣かれるって言ってたなぁ。


 ロビンさんの腕の中から手を伸ばし、ダラスさんに抱っこをせがむ。


「ん?」


 ひょいっと抱かれて首根っこにむぎゅっ! と抱きついた。

 こんなに優しいのに不憫だ。


「あらあらまぁまぁ! ラナちゃんはちゃーんと分かってるんだねぇ!」


「だやしゅたん、やたちい」


「……ひっく」


 まん丸目玉でわたしとダラスさんを見るマリクくん。

 怖くないよ? 優しいよ?


『何が怖いんだろうね?』


 ねー!


「わんわん!」


『わんわんじゃないよ』


 いや、今のあなたはわんわんですよ。


『そうだった』「わふっ!」


 ピタッと泣き止んで、ターゲットがアストロに向かった。

 あれ? ネージュが居ない。

 と思ったら、ミーシュくんの背中に張り付いてた。


 ”子どもは加減知らずだから嫌にゃ!”


「いてて!……ネージュ、おしり支えるから爪ちょい引っ込めて!」


 ……後でミーシュくんの背中に痛いの飛んでけとリペアだな。


 アストロが気に入ったのか、マリクくんはアストロを捏ねくり回す。

 されるがままのアストロ。


「これっ! そんなにしたらわんちゃん嫌だって! 優しくいい子いい子だよ!」


「いーこいーこ」


『これ位大丈夫だよー』「わふっ」


「ホントに落ち着きがないったら……。ラナちゃんは大人しいねぇ。マリクも見習いな! あんたラナちゃんよりお兄ちゃんなんだから!」


 は?

「たんたい!」

 

 ばっ! と3本の指を立てる。

 もう何度これをやったか。


「えっ!? 3歳? マリクと同い年!?」


 うむ。こくりと頷く。

 設定ではそうなってる。

 実際は知らんが。


「……エルフが混じってる?」


「はははっ! 人族だよ。さっきも言ったけど、俺の遠縁だからなー」


「あらー……。それにしては……」


 まじまじと見られても大きさは変わりません。


「ラナちゃんおいでー。おばちゃんに抱っこさせて?」


 いいですよ? と手を伸ばす。


 「人見知りもしないの? いい子だねー! 女の子は柔らかいねぇ。よしよし。……あらホントだ、おむつも取れてるね」


 それ確かめたかったんかーい!


「マリクなんておむつ取れたのつい最近なのよ。だからまだ失敗するのよねー。おねしょもするし。女の子の方がおませさんだからかしらね?」


「おたーたんだっこ! だっこぉぉぉぉ!」


 わたしを抱っこしてる事に気がついたマリクくんが足元で騒ぎ出す。

 そうか、3歳児ってこんな感じなのか……。

 幼児って言っていいのか迷う幼さだなー。

 わたしから見たら赤子じゃーん。


 わたしからジャスパーさんに手を伸ばしてお母さんを返す。

 って言い方は変だけども。


「あぁん! もっと抱っこしてたかったわぁ!」


「ラナは気遣いができる幼児だもんな!」


 当然ですよ。


 

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