肉とか魔石とか。
フルーツも摘んだし、野菜もそれなりに採ってきた。
お肉も、薄切りはココって書いてあったインベントリに突っ込んだ。
これはもちろん検証も兼ねている。
他の部位のお肉はブロックのままだ。
ちゃんと確認したら、臓物は全て一塊になっていたので、ゴミ箱マークにポイした。
残ったのは、お肉と骨、毛皮。
毛皮は当然鞣したりしていないので、ベロンとした皮1枚。
後は、石。
石を出してみたら、わたしの両手サイズの真っ赤な長方形の多面体。
まるで宝石のようだ。
綺麗。
『それは魔石だね』
ませき?
『魔物の核』
心臓みたいなモノ?
『魔力を宿す核だから、心臓とは別物だね。人は魔力包があるけど、魔物にはないから魔石に魔力を溜めて使うんだよ』
ほぇー!
じゃあこれは魔力の塊?
『うんうん。魔物は魔石を失っても死んじゃうんだ』
それならこの石は命の源でもあるんだね。
ありがたく頂きます。
ぺこり
『結構大きいし、色も綺麗だから魔力もたくさん蓄えてるね』
そうなの?
『大きさも大事だけど、色が濃くて濁ってない綺麗な魔石は魔力も多く含んでるんだよ。ちょっと待っててね』
そう言うとアストロが一旦出ていった。
と思ったら、ジャラジャラと魔石を持って来た。
『寝床にあったやつ持って来た!』
えっ! すんごいいっぱいある!
『ぼくは食べる為に狩りはしないけど、突っかかって来たら倒すしかないからね。後は間引き。魔石は体内から取っておくんだ。ラナにあげるね』
えっ! これどうやって使うの?
『いつか街に行ったら売れるはず。人は魔石を使って道具を動かすからね』
へー! 動力源か!
そうよね、街に行っても1文無しじゃ何も買えないし。
うん、ありがとう!
それにしても綺麗だねー。
色んな色がある。
『魔力属性で色が分けられてるから、赤は火だし、青は水。緑は風で黄色は土だね』
あ、何かそれ知ってる!
ラノベあるある!
黒は闇だったりするんでしょ?
『闇は紫だねー、滅多にないけど。透明なのは全種だよ。光の魔石は全種に入るね』
紫だったー!
シッタカして恥ずかしい!
『ふふふっ それでも幼児が知ってるのは凄いよ。あ、中身は大人なんだっけ』
むっ!
そうです! 大人ですとも!
『はいはい。なら幼児語も直さないとね?』
むーーーーーーん!!
……頭で話すだけで通じちゃうから、口が鍛えられないのか。
「よち! なうべくことばれはなちゅよ!」
『因みに頭で話すのは念話だって言ったよね? 遮断する事も出来る』
そうなの!?
『ぼくの思ってる事は聞こえないでしょ?』
はっ!
そう言えばそうだ……。
『ラナはダダ漏れだけど。ふふふっ』
がーーーーーん!!
『てか、もう念話状態に戻ってるよ?』
「あっ」
たった2日なのに、声に出して話す事忘れそうだ!
てか、遮断?
「しゃだんてどうやうの?」
『うーん……気合い?』
押忍!!
って、これじゃない!
『まぁダダ漏れとは言え全部が全部聞こえてた訳じゃないから、そのうち出来るよ。ぼくは従魔契約してるから、特に分かるのかもしれないしね』
「なうほ」ど。
『混じった! ひゃはははは!』
「ふーん! いちゅかちゃんとできうようになうもんねー!」
『大きくなればちゃんと話せるよ』
「うむ! がんばう!」
◇◇◇
さて、わたしは甘味が欲しい。
幸いにも砂糖の実があるので、簡単な物なら作れるであろう。
そこでジャムだ。
煮詰めるだけ! ほら簡単!
生前にもジャムは作っていた。
仕事に忙殺されて随分前の話だが、覚えているので問題は無い。
問題があるとすれば、火を、いや熱源を使うと言う事。
IH? だから大丈夫だとは思うんだけどねー。
インベントリから砂糖の実を出して観察。
「うん、おちおのみとおなじ。あしゅとよ、こえわって?」
『いいよ。並べてー』
と、砂糖の実を出すが、これ何個入ってんの!?
出しても出してもなくならないんだけど……。
テーブルに並べた砂糖の実。
多少多くても、何かに入れておけば良いだろうと言うことで、つらららら〜っと並べる。
カツンカツンカツンカツン……
『ラナ、何か入れ物ない?』
入れ物?
えーとー、蓋付きの壺があるけど、これでいい?
『うんうん。”ウィンド”』
ぬぉ!?
テーブルの実が全部壺に入った!
その中に、『ウォッシュ』した前足を、ズボッ!
ガショガショガショ!
『カラアウト』
砂糖の実の殻だけが外に!!
え、カラアウト、殻アウト!?
大雑把ー!!
『これで良し! 塩の実もソイの実も、次はこうやろう』
「あいまとー!」
と、砂糖の着いた前足をぺろぺろ。
「……おちおとしょいのは、なめたややめよ」
『……』
とりあえず、ジャムで使う分以上のお砂糖は出来た!
後は、洗ったいちごのヘタ取って、お砂糖まぶして暫し置く。
そうすると、いちごから水分が出て来るので、水なしでジャムを作れるのだ。
もちろん使うのは壺鍋。
鉄鍋でジャムはご法度だからね。
お砂糖は、いちごの重さの半分位。
もっと減らしてもいいけど、この世界の保存事情だと、しっかり甘いのがいいだろう。
待ってる間に、お昼ごパン。
バターとお砂糖でシュガーバターにして〜♪
ふかふかほかほかパンに塗って〜♪
……あー、牛乳が欲しいわねぇ。
まぁ水で我慢だ。
『今度メスのブル系を狩って来るね!』
え?
『ミルク欲しいんだよね?』
まさか、牛乳も魔物産!?
『ミルクはブルのがいいよ』
……飲めるの?
『飲めるよー』
へー!
って、もうお肉は沢山あるんだけど!
食べ切る前に腐っちゃうよ!?
『インベントリは時間経過ないから大丈夫だよ?』
何ですと!?
『だからパンもホカホカのままでしょ?』
「あーーー!」
なるほど! 凄いなインベントリ!
『パン冷めちゃうよ?』
あ、食べます食べます。
ぱっくん!
「おいちぃね!」
何だかんだ言いながら、アストロもパンを2個食べた。
けど、パンも減らない。
どうなってんの?




