明日の予定とお風呂。
クリームの山を制する事は無理だった。
大体ひとりで7号サイズを食べるのが無謀なのだよ!
と思ったものの、全員完食。
おかしい。
この世界の常識がこれ?
ひとりでホールケーキ食べるのが普通なの?
「ごちとーたまでちた」
「ラナには多かったかなー」
いや無理ですって。
大人になったからって、わたしには攻略できる気がしません。
『ラナ、お残し? 後で食べる?』
キラキラお目目のアストロくん。
あなたまだ食べられるんですか?
「あしゅとよたべう?」
『いいの!? 食べる!』
「どーじょ」
『ありがとう! いただきまーす!』
殆ど残ってるホールケーキを一瞬で食べきった。
『クリームばっかりだから飲み物みたいだった!』
アストロにとってクリームポンプは飲み物っと。
ココロの片隅にメモっとこう。
「ラナの洋服、クリームだらけになっちまったな」
と、ジャスパーさんが笑う。
え? と下を向くとベッタベタ。
『ふふふっ! ホントだねー”ウォッシュ”』
「あしゅとよあいまと!」
『ケーキ貰ったし、何だっけ? おあいこ!』
あ、そうですそれです。
うんうん。
「そいやーアストロはスペル唱えないんだな……」
『え? 魔法はイメージだよ? ラナもできるもんね!』
バラさんでええっちゅーに!
ほらぁ! みんな凝視してるじゃーん!
……えへ♡
「そっか」
と、頭わしわしっと撫でるジャスパーさん。
この世界の常識、ちょっと学ばないとボロが出そう。
と言うかボロボロ出てるわ。
スペルなんて唱えないし。
しかし、学ばないと、と言ってもどこで?
あ、みんなに聞けばいいのか。
でも何を聞けばいいんだろう。
うーむむむ……。
「難しい顔してるね。どうした?」
「なにがふちゅうでなにがふちゅうじゃないのた、じぇんじぇんわたやないの」
「「「「あー……」」」」
「まほうもあしゅとよがてんてーだち、ひちゅようだたやちゅたえうようになったち」
「それでもスペルなしで魔法発動するのは中々居ないはず……」
「んー……。あ、同じ位の子どもと会ってみたらどうだ? そうしたら違いが分かると思うんだ」
え、わたし中身大人だからなぁ。
絶対違うと思う。
それとも観察して真似てみたらいいのかなー?
うーむむむ……。
「それなら明日クマに行こうよ。マリクが居ると思うし」
「くま?」
「クマのシッポってメシ屋なんだー。よく行くメシ屋なんだけど、3歳の子どもが居るよー」
マリクマリクマリク……。
あぁ! おつむてんてんの時言ってた子ね!
それにメシ屋か、いいね!
お店でも食べてみたいと思ってたんだー!
「じゃあ服を取りに行きつつクマで食べますか」
「あそこならアストロもネージュも入れるしな! んじゃ昼飯はクマで!」
「「了解!」」
『食べ物屋さん?』
「おう、メシ屋ってのは屋台と違って、その店でメシを食うんだよ。従魔も入れる店だからアストロもネージュも入れるぞ」
『へぇ! 楽しみ!』
「オレもメシ屋の中には入った事ないからにゃー」
マリクくん云々より、外食が楽しみだね!
◇◇◇
「ラナ、お風呂入った事はある?」
「おふよ? あゆよ! おふよだいちゅち!」
「それなら良かった。お風呂入ろうか。ウォッシュもいいけど、シャボンであわあわも楽しいからね」
「あわあわ!? てってんあゆの!?」
「ありますよ? シャボン使った事ない?」
この世界では
「ない!」
「じゃあとっておきのいい香りのシャボンを用意しましたから、それ使いますね」
「やったー!!」
石鹸石鹸!
あわあわ!
しかもいい香りのだって!
なんだよもー、あるんじゃーん!
買って帰らないとだな!
ひゃっほい!
ロビンさんに手を引かれて脱衣場を抜けてドアを開ければ、そこには大きなお風呂が!
「ふわぁぁ! おっちーおふよ!」
これよこれ! 盥じゃないお風呂!
大人でも2~3人入れそうな大きさステキ!
シャワーはレインシャワーで固定されてるやつ。
「はい、手上げてー。えっ!? 龍の鱗……? マジか……これも外すよー」
白いタイルと青いタイルの壁。
カランはないんだねー。
仄かに香るのは石鹸かな?
お花のような香り。
いいねいいね!
「足上げてー」
シャンプーとかもあるのかな?
あぁでも頭のてっぺんに手が届かないんだった……。
「入りますよー」
ん?
うわ!? いつの間にか裸になってる!!
「ひゃう!? よよよよよよびんたん!?」
ちょちょちょ!!
何そのバキバキ腹筋はっ!!
てゆーか! 目のやり場にこまこまこま困るるるるる!
「はい? まずは流して洗いますからじっとしててねー」
「じじじぶんででちう!」
「ふふふっ、滑ると危ないですから、ここに座ってて下さいね」
と、胡座をかいたロビンさんのお膝に座らされたぁぁぁー!
「うーん、こっちの方がいいかな?」
と、コロッと寝かされて頭にお湯を掛けて
「うん、これなら顔に掛からないしラナも楽でしょ?」
楽っちゅーか! お美しいご尊顔を見上げるので恥ずかしいっす!!
「あわあわしますよー」
と、シャンプーしてくれる手の力加減が最高に気持ちいい……。
いや、でも恥ずかしい。
いや、でも気持ちいい。
脱力……。
「ほわぁ……」
「気持ちいい?」
「ちもちいー……」
うん、やっぱりシャンプー最高。
わしゃわしゃ洗って流して、トリートメントっぽい何かを揉み込んでからまた流す。
「ラナの髪は細いので絡まない様にしておきましょうね」
「あーい……。いいにおい……」
「ガーデニアの香りですよ」
「このにおい、すち」
「ラナ用に用意しましたから、気に入ってくれて良かった。ふふっ」
わたし用にわざわざ!? ありがたやー!
「あいまとー!」
「はい、シャンプー終わり! 身体もあわあわしますよー」
と、海綿みたいなスポンジであわあわ!
隅から隅まで洗われてしまった……。
乙女なのに!
って……幼児だったわ。
その後ロビンさんはウォッシュして、抱っこされて湯船に入る。
何か恥ずかしいとかどーでも良くなってきた。
だって気持ちいいんだもーん!
「ここに座ると丁度いいかな?」
湯船の階段に腰掛けてちゃぽちゃぽ。
「おふよ、ちもちいーねー」
「湯船のない家の方が多いんですけど、ダラスがどうしても湯船が欲しいって言うので探したんですよ。でも湯船付きの家にして正解でした。お湯に浸かるの気持ちいいですもんね」
「うんうん! おふよだいちゅち!」
バタン!
「俺も入れてー!」
ひぇ!?
「綺麗にしてからですよ!」
「分かってらい! ”我が内包の清らかなる浄化の光よ。クリーン”ひゃっふー!」
どぼん!
「ぶひゃ!」
「静かに入ってくださいよ! ラナ大丈夫?」
「だいじぶ!」
そして暫しお風呂で遊んだのだった。
……ミーシュくん、小さくても大人なんだね。
(意味深)




