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おまそれやば。〜その2〜


「えっと、じゃあケーキが薬に?」


「そんな訳あるか! それが……ラナがピーポを撫でたんだ。その時魔法が発動したみたいに光ったんだよ。あれは見間違いじゃない」


「「は?」」


「撫でただけ? スペルは?」


「何だっけ、えーと……いたいのいたいのとんでけ、だったはず」


「「「は?」」」


「何そのスペル……聞いた事ないんだけど。それより魔物に人のヒールは効かないはずだろ? 有り得ないよ」


「ラナは強力な結界も張れるし、魔力に関しては多分人のそれよりは多いんだろうけど……。でもヒールに関しては理を覆すな……」


「……思い出しました。今日買い物している時に道具屋に走って行きましたよね? その時身体強化してませんでしたか?」


「「あっ!」俺も見た!」


「普段は覚束無い歩き方なのに、走って行ったよな……。それも一瞬で店に辿り着く位の速さで……」


「……うむ」


「待て待て……、それは俺が合流する前か?」


「うん」


「……あの幼さで身体強化……? 内包する魔力を制御できないと大人でも難しいのに?」


「ラナは特殊だってアストロも言ってましたから」


「にしたって……なぁ。結界に身体強化。それに万が一魔物にヒールができるなら、ヤバいぞ」


「あぁ、(よこしま)な思想を持つ奴に知られたらマズイ」


「ラナは賢いから、今からキチンと教えれば大丈夫じゃない?」


「それでも絶対とは言えないな。でも教えておかないとダメな事は確かだ」


「「「うん」」」





 ◇◇◇


 おめめぱちぱち。


『ラナ、起きた? おはよう』


「おあよー」


 ちらりと見るとネージュがヘソ天で寝ている!

 これは……猫吸いのチャンスでは!?


 むふふふふ……。

 ではちょっと失礼して……。


 ぱふっ! くんかくんかすーはーすーはー……。

 お日様の匂い〜!


「に゛ゃっ!! なんにゃー!!」


 ネージュおはよー!


『ひゃはははは! ネージュおはよう!』


「やめっ! にゃはははは! やめるにゃーはははは!」


 お腹に顔をぐりぐりと押し付ける。

 はわぁ……ふわふわぁ……♡


「ラナっ! 身体強化してっ! 押さえ付けっ! るにゃぁぁぁぁ!」


 あ、バレた。

 でも爪を立てないネージュいい子。


「はぁちもちよたった。ねーじゅごめんね? あいまとー」


「擽ったくて死ぬかと思ったにゃ……」


「またねこしゅいおねだいちましゅ」


「猫吸いって……はぁ。嫌にゃ」


 がーーーーん!


「何ショックな顔してるにゃ! 起き抜けにアレやられたら誰だってこーなるにゃー!」


 分かった。

 なら起きてる時にする。


「にゃんでそーなるにゃ!」


『ラナ! 今度はぼくにやってみて!』


 ふふふっ! じゃー次はアストロね?


『うん! 今からでもいいよ!』


 よーし! わんこ吸いだー!


 アストロの首元に抱きついてくんかくんか。

 ここの毛並みの柔らかさよ!

 もふもふでアストロもお日様の匂いがする!

 気持ちぃぃぃぃ♡


『ひゃはは! ネージュもおいでー』


「よーし! 行くにゃー!」



 と、ベッドでごろんごろんどったんばったん。




 


 コンコン


「ラナ起きたかー? なんじゃこりゃ!」


「「『あ』」」


 シーツはぐしゃぐしゃ。

 マットレスもズレてるし……。

 そうだ、ここはよそ様のお家だった。


『「「ごめんなさい!」しゃい!」』


 「ぶはは! ラナのお行儀いい事しか知らなかったから新鮮だな! いいよ、気にすんな! もっとやれ!」


 いやいや! 流石にそれはやりませんてば!


「お? やらないの? それなら俺も参加しちゃうぞー! オラオラ!」


「きゃー!」


『ひゃはははは! ジャスパー擽ったいってばー!』


「次はネージュだ!」


「やめるにゃー! にゃはははは!」


 4人でキャーキャー遊んでたら、ロビンさんが来て


「何やってるんですか!」


『「「「はっ」」」』


『「「「ごめんなさい!」しゃい!」」』


「ジャスパーまで! あなたはラナを迎えに来たのに何やってるんですか! 大体あなたは大人でしょう!」


「……は、面目ありません……」


 くどくどくどくど……。

 ロビンさんは怒らせないようにしよう……。

 美人が怒ると美し怖い。





 ◇◇◇


「さ、約束してたケーキでおやつタイムですよ」


 ぽかーん……。

 目の前に出されたミルクと目の前に出されたケーキ。

 7号サイズ。

 それも各々の前に7号サイズ。


「リンリンのケーキ食べるの久しぶりだよねー!」


「うむ」


「俺は新作にしたけど、そっちのも美味そう!」


『これぼくの!? 食べていいの!?』


「おー、アストロのだから好きに食えよ。ネージュもな」


「にゃぁん! いただきますしていいにゃ!?」


「あ、そうだな! じゃーいただきます!」


『「「いただきまーす!」」』



 え、何これ。

 もしかしてこれがデフォ?

 切り分けたりしないの?


 目の前に(うずたか)(そび)えるクリームマウンテン。

 さながらエベレストかチョモランマか。

 いや、名前は別だが山としては同じだったはず。

 そんな事より、目の前のクリームマウンテンをどう攻略するか……。


「ラナ?」


「こえ、ちったいちないの?」


「うん?」


 アストロ! 通訳!

 切ったりしないのか聞いて!


『むぐむぐ……。切ったりしないの? ってラナが聞いてる』


「え? あぁ。ケーキは切らずに食べますよ?」


 マジかっ!


『出た! マジ! マジだ! ひゃはは!』


「まじ? ってアストロ、マジって知ってるの?」


『ラナに教えてもらったー』


「「「「えっ!?」」」マジ!?」


 おぅ……。

 この世界にもマジって言葉はあるのか……。

 まぁ翻訳されてるみたいだしなぁ。

 つーか、アストロバラしたな!


「……なるべく使わないようにしてたのに……既に知ってたのか」


 4人の大人がわたしを見てる。

 ……。

 えへへ♡とにっこり。


「い、いたーちまちゅ!」


「お、おぅ。食え食え!」



 スプーンとフォークとナイフを揃えてくれているが、とりあえずスプーンで横からクリームを掘る。

 掘っても掘ってもクリーム。

 うん、クリームは生クリームでかなり甘い。

 もっとお砂糖控えてもいいと思うんだけどなー。


 タルト生地をサクサクと攻略するも、上からクリームが落ちてくるから、やっぱりクリーム。

 ダマンドを敷き詰めたタルトのようだ。

 あ、カスタード発見!

 そしてクリームの雪崩。

 なので、やっぱりクリーム。

 

 なるほど、どんどん湧き出るクリームポンプ。

 名は伊達じゃないな!


 

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