おまそれやば。〜その1〜
ガツガツと貪り食う。
うん、お下品な言い方だが、まさに貪り食うが正解な食べ方。
時々、ぷんっ! と鼻から飛び出るクリームに笑いそうになる。
いや、笑っちゃうんだけど、ピーポに気付かれないように笑うからぷるぷるしちゃう。
ホールケーキは恐らく7号サイズ。
直径21cmはある。
切り分けると8~10人分はあるだろうソレを見る見るうちに平らげる。
ピーポは大きい鳥とは言え精々オウムサイズなのに、どこに入るんだ?
ネージュにしてもそうだけど、この世界の動物、もとい魔物は4次元胃袋が標準装備なのか……?
兎に角凄いの一言に尽きる。
「ピッピピッピポッポポッポピッピッピッ♪」
「……相変わらずすげぇな……。キレイにするぞ。”我が内包の清らかなる浄化の光よ。クリーン”」
キラン☆
あ、やっぱり呪文唱えてる?
あれ? イメージじゃないの!?
思わずジャスパーさんを凝視してたら、目が合った。
「どした?」
「じゅもん?」
「ん? スペルだな。魔法使う時に言わないと発動しないだろ?」
うそーん!
あるぇー?
わたし完全にイメージでやってましたけど!?
何なら ”お鍋軽くなれ!” とかでも発動してましたけど!?
……うん。何も聞かなかった。うん。
「ぴーぽちえいになったね!」
「ピピピ! アタシはいつでもキレイ! ピ!」
さいですか。
ピーポに触ってみたいなー。
お触り許してくれないかなー。
お伺いしてみよう。
「ぴーぽ、なでなでちてもいい?」
「…………ヤダ」
「ちょみっと!」
「…………ケーキの分位なら許すッピ」
うぉ! お許し出たっ!!
そっと、そーっと頭に手を置く。
おぉ、つべつべ!
そのまま背中の方に……。
あぁ、確かに羽の辺りは固められてる。
きっと痛かったね。
「いたいのいたいのとんでてー……」
キラン☆
「あれ? ラナ、今……」
なでなでなでなで……。
なーでなーで……。
「ピ?」
「ん?」
バサバサバサバサ!!
「ピーーー!! ピポポポ!!」
「わっ!?」
「うわっ! ピーポ! 羽動かすな!!」
急にバサバサと羽ばたいて飛んでしまった!
もしかして触ったから!?
「どどどどうちよう!! ぴーぽぉ!!」
「復活ぅぅぅぅ!! ピポピポピポポポ!!」
「「は?」」
「復活復活復活復活ぅぅぅぅ!!」
バサバサと羽ばたきながら復活を連呼。
復活って、治ったって事?
「ぴーぽいたくない? なおった?」
「ピーポ復活! 治った! ピロロロロロ!」
「そんな馬鹿な! 羽が折れてたんだぞ!? 治るまで後ひと月は掛かるって言われただろ!?」
「でも治った!! ドアを開けよ! ドアドア!」
「ダメだ! 大人しくしないと薬団子食わせるぞ!」
「ピ!……ピィ」
薬団子?
「くしゅいだんごってなぁに?」
「えーと、ポーションって解るか? 人のケガや病気を治す薬」
「うん」
「それの魔物バージョンだ。要は魔物の薬だな。魔物に人のポーションは使えないし、ヒールも使えないから、早く治したければ薬団子を食わないとダメなんだけど……。ピーポ曰く、この世のモノとは思えない味と匂いなんだって。だから時間が掛かっても固定して治すようにしたんだけど……」
え。
衝撃的事実。
人のヒールもポーションも使えないのか……。
アストロやネージュがケガした時用に買っておく、って、待てよ?
あれ? ネージュの背中にくっ付いてた”不幸の種”取った時、痛いの飛んでけのおまじない、したよね?
そしたら治ってた、よね?
あるぇー?
「とりあえずピーポ、これからテイマーギルドで診てもらってからなら飛んでいい。今は大人しくしとけ!」
「ピーポーピ!」
テイマーギルド!
また聞いた事あるヤツ出てきた!
◇◇◇
みんなが寛ぐリビングに来て事情を話すと
「「「は?」」ケーキ食べたら復活した!?」
「いや、その話は帰って来たら話すから、とりあえずピーポ診せて来るよ」
「分かったー。行ってらっしゃーい!」
わたしもついて行こうとしたけど止められた。
「ラナは庭をお散歩しましょうね。後でケーキでおやつタイムですよ」
「……あーい」
お庭も気になるけど、テイマーギルドも気になるのにー!
ロビンさんに抱っこされてお庭に出ると、夏の花が沢山咲き誇っていた。
お日様に向かって伸びてるコレは、正に向日葵。
ロビンさんより大きい。
「この花の種は食べられるんです。栄養価も高いから収穫してクエストの時に持って行くんです」
「ひまーり?」
「うん? この花はソレイユフロルって言いますね」
向日葵じゃなかった。
ゆっくりのんびり歩きながら庭のお花を説明してくれる。
わたしの瞼は既に閉じそうだ。
背中をぽんぽん。
歩いてゆらゆら。
これで落ちない幼児h……すぴー。
◇◇◇
『あっ、ラナ寝ちゃった? ぼくがベッドに連れて行くよ?』
「ふふっ、寝たばかりですから、ベッドまでは連れて行きますよ。起きたら可哀想ですから」
『そう? ならお願い。ぼくはラナと一緒に居るね』
「オレもラナと寝ようかにゃー」
「ゆっくりしてて下さいね」
◇◇◇
【ロビンの独り言】
2階の客間のベッドにラナを寝かせて、部屋を見渡す。
うん、この部屋はラナ専用にしてもいいんじゃないだろうか。
街にラナ達が来た時の拠点にしてもいいかもしれない。
みんなに相談しよう。
ラナ達の部屋にするなら、アストロとネージュ用に大きなクッションを用意して、可愛く模様替えしなくちゃだな。
夏とはいえ、シンプル過ぎる。
ラナは女の子だからドレッサーも必要だし、洋服も揃えておいてあげないと。
アストロやネージュのお手入れ用品も必要ですね。
ブラシも大きいのと小さいのが必要ですし……。
ふふふっ! 腕がなりますね!
あぁ、ペットの証もいつまでもリボンではダメなので、素敵なモノを用意しないと。
アストロは漆黒。ネージュは真っ白。
何色がいいですかねぇ……。
服を取りに行く時に、”ダンジュール”で聞いてみますか。
何もひとつでなくとも何色か取り揃えて、気分で交換するのもアリですね。
楽しみです。
┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈
『ロビン? どしたの?』
「あぁ、いえ、考え事をしていました。では私は下に降りますが、ドアは開けておきますか?」
『閉めちゃっていいよー。ラナが起きるまで出ないし』
「はい。ではまた後で」
「にゃー」
◇◇◇
暫くして、ジャスパーとピーポが帰って来た。
「お帰り! どうだった?」
「ただいまー。いやそれが……」
「お帰り。こっちでお茶しながら聞きましょう」
「おぅ、頼むわ」
「ピーポッポ!」
バサバサと飛びながらピーポはリビングの止まり木に着地。
「……ホントに治ってんだ。どうなってんの!?」
ロビンにお茶を用意してもらって話し出す。
「診てもらったら、治ってるって言われたんだが、その治り方が完璧過ぎるらしい」
「「え?」」
「ピーポの羽は、治ったとしても、少し歪んでしまうはずだったんだが、歪みもなく完璧な正常に戻ってるって」
「「はぁ!?」」
すみません! 続きます!




