おっかいっものっ♪〜その2〜
『ラナ、さっき食べたヤツは?』
あ、予約してもらったね?
「おっと! 俺がひとっ走り行って来るから買い物続けてていいよー!」
「あいまと! おねだいちまちゅ!」
「ラナはいい子だねぇ。じゃあすぐ戻るね!」
と、ミーシュくんがすっ飛んでった。
うん、言葉のあやじゃなく見事にすっ飛んでった。
流石斥候。
さて! 次はチーズだ!
うんうん、前世で見たのと変わらないのが沢山ある!
この大きいのはパルメザンチーズかな?
こっちのオレンジ色のはチェダー?
ハード、セミハード、ウォッシュ、フレッシュに、白カビ青カビも揃ってる! ブーラボー!
唯一苦手なシェーブルがない?
苦手だから別にいいか!
それより、見た事のないのもあるなー。
「らっしゃい! 白銀の久しぶり!」
「こんちわー! ちょっとクエストに出てたからな」
「そうかい、ご苦労様だな! ……ちっこいのが居る。誰の子だ?」
「みんな言うのな! 俺の遠縁なんだ。少しの間滞在するから、よろしくなー」
「へぇ! とーちゃんかーちゃんも一緒に来たのか?」
「あー……その……」
「えっ!? まさか……」
「まぁ、そーゆーこった」
「……そっか……そりゃ悪い事聞いちまったな……。えっと、嬢ちゃんか? 坊主か?」
「いや、どこ見たら坊主に見えんだよ。どっから見てもめちゃんこ可愛いお嬢ちゃんだろが!」
「あぁ! ピンク着てるもんな! 悪ぃ!」
「えー……判断材料それ?」
「がはははは! ちっこいのん見るの慣れてねぇからな! で、今日はどれにすんだ?」
「そうですね、いつもの4種類と、ラナはどれがいい? ラナ?」
はっ! 見るのに夢中になってた!
え、何がいいって聞いてた?
どれがいいんだろう!? 沢山あり過ぎて選べない!
でも熱を入れたら溶けるチーズとパルメザンチーズとチェダーチーズは絶対欲しい。
モッツァレラも欲しいし、色々混ぜたプロセスチーズも欲しい!
「おぉ? お嬢ちゃんチーズ初心者だろ? ならこの辺りが無難じゃねぇか? ほれ、食ってみろ」
と、渡されたチーズはハードタイプのパルミジャーノ。
あぁ……懐かしい……!
「おいちぃ!」
「だろう? 後は、これかな? ほれ」
次はカマンベール。
「おいちぃ!」
「がはははは! んじゃこっちも食っとけ」
次はモッツァレラ!
「おいちぃぃぃ!!」
「いやぁ、いい反応すんなぁ!」
「いまたべたのじぇんぶくだたい!」
「おっ! いいね!」
「いっぱいくだたい!」
「ん? いっぱい?」
「あえ! あえだほちぃ!」
と、盥サイズのパルメザンチーズを指さす。
それとエメンタルチーズね!
ネコとネズミが追いかけっこするアニメのチーズ!
後はチェダーチーズは欠かせない!
それとラクレットとー、カチョカバロも!
「はぁ!? おいおい……そりゃ無理だろ? ジャスパーちゃんと教えてやれよ」
「あー、今日はいいんだ。ラナが言ったやつ全部な」
「はぁぁぁ!?」
「そえと、こっちのも!」
モッツァレラにクリームチーズにマスカルポーネ!
ふぉぉ! フロマージュブランもあるじゃないか!
ここは天国か!? いや異世界なのに前世と同じのがあるなんて素晴らしい!
お次はブリーだ!
カマンベールと同じようだけど、ブリーの方が本流なんだよねー!
後はゴルゴンゾーラ!
ちょっとしょっぱくて、ちょっと刺激があるんだけど、それがたまらんのだ!
「おいおい……これは子どもには刺激が強いと思うぞ?」
「……ラナ、ホントにこれ買うのか?」
こくこく。
買いますとも。
「だ、そうだ。小さいのは10個もあればいいか?」
え、次いつ街に来られるか分からんじゃないか。
今買わずにいつ買うのだ!
「もっと!」
「「……」」
「よし! 買えるだけ買う!」
「本気かよ……。よし、んじゃ待ってろ! あるだけ全部持ってきちゃる!」
「やったー!」
ひゃっほい!
「あ、おたねあう?」
「あるぞー。大丈夫だから気にすんな」
「うんっ!」
大人の男性4人が2~3ヶ月暮らせる位だもんね?
それならまだ行けるはず!
うふふふふ♪
こそっとロビンさんが
「ラナのマジックバッグに入りきりますか?」
あ、確かに心配だよね?
でも大丈夫! インベントリだからね! とは言えず。
「だいじぶ!」
「……どんだけ大きいマジックバッグなんですか……」
何とかドーム1個分ですよ。
って、あれ? 本来はどの程度なんだろう。
「荷馬車ひとつ分でも大きい方なんですけどね……。私のマジックバッグに入りきらないかもしれません。インベントリもまだ素材が入ってるし……」
は?
「ダラス、マジックバッグ持ってます?」
「あぁ」
「入れて貰えます?」
「了解」
マジか……。
「おう! 待たせたな! ほら持ってけ!」
どん! どん! どん! と置かれた木箱。
山積みですね……。
「金貨5枚にまけてやるぜ!」
「ぶはははは! チーズで金貨5枚っ! すげぇな!」
ダラスさんがマジックバッグにしゅぽしゅぽと収納。
「満杯」
うわ、これは今日はもうおしまいかなぁ。
わたしの巾着ちゃんは内緒なんだもんね。
仕方ない。
また明日だな! うん!
「お待たせー! お買い物できた?」
「あい! たくしゃんたえまちた!」
「そっかそっか! 良かったなー!」
『ミーシュ! アレは? お買い物出来た?』
「もちろん! 帰ったら食べような?」
『分かった!』
「にゃー」
……アレかぁ。
ソーセージ買ったし、お家でまた作ってあげよう。
本当は魚肉ソーセージのが好きなんだけどな。
チープな感じで。
まぁいい。
「オレたちの昼メシどうする?」
「また買って帰るか。アストロもネージュもコーンドッグ楽しみなんだよな?」
『うん! ぼくアレがいい!』
「にゃー!」
「了解了解! んじゃ屋台街まで行くか!」
ずっと抱っこだし、ロビンさん疲れるよね?
そろそろ歩いてもいいんじゃなかろうか。
「あゆいていい?」
「いいですよ? ただ、抱っこの方がアチコチ見渡せませんか?」
むむっ! その問題があったか!
その時、ひょいっと持ち上げられて、ダラスさんの肩に乗せられた。
「わぁぁ! しゅごーい!」
ダラスさんの抱っこは、ただでさえ高いのに、その上だ!
肩車最高!
はっ!! み、魅惑の丸いお耳ががが!!
「ここ持てばいい」
「いいの!?」
「うむ」
ふぉぉ! お耳! ……では失礼して……。
そっとお耳を掴むと、思った通りのふわっふわ!
くぅっ! たまらんっ!!
思わずさわさわと触りまくる。
「……こしょばい」
こしょ? あぁ、擽ったいのか!
「ごめんなたい」
「いい。ちゃんと掴まっとけな」
「あい!」
見渡しも手触りも最高!




