レイズサイズへ。~到着~
随分と早く進んでいるようで、起床は遅くても大丈夫だった。
夕方、門が閉まる時間に合わせて入ると言っていたので、ゆっくりでいいらしい。
それにしても、マーフ? の毛皮最高じゃない?
夏だから暑いかと思ってたのに、熱が籠らない。
はっ! アストロやネージュの被毛と同じなのか!?
夏は涼しく、冬は暖かい?
いーなーこれ。
『おはようラナ。初めての野営だったけど大丈夫だった?』
「おあよー、だいじぶ! このもふもふがちもちよたったー」
「マーフ最高にゃー」
「ねーじゅっ!」
「にゃ? あ! にゃぁん」
思わずキョロキョロ。
ネコ擬態忘れる程最高だったのね?
でも冒険者さん達にバレたら大変なんじゃないの?
”まぁアストロがグラシャだとバレてるから、ケットシー位大丈夫だと思うけど、オレ白いしにゃー。獣人も居るし。気をつけるにゃ”
あぁ、獣人には揉みくちゃにされるって言ってたもんね。
「おはよう! このまま進んじゃうとお昼過ぎには着いちゃうから、ゆっくり進むなー。丁度いいから薬草も少し摘んでいいか?」
『いいよ。森の辺に近いし、魔物も強くないからラナも遊べそうだしね』
「えっ? ラナも魔物と戦うのか!?」
「たたたいまてん!」
『ラナを庇いながらじゃなくても大丈夫だって事ねー』
「だよな!? びっくりしたわー。ははっ」
「薬草のそばに食材もあるから、それも採取して行こうな」
食材!? 何があるんだろ!
「お! 楽しみ? じゃあ何があるのかは見てからな」
「あい!」
頭をなでなでする手。
子どもじゃないんだけどなーと思いつつ、子どもだったと思い出す。
◇◇◇
今日はパジャマからいつものかぼちゃパンツスタイル。
うむ、実に動きやすい。
「……ラナ、街に行ったら洋服買おうね」
ロビンさんが言うけれど、森の中はこの格好がベストなんですよ?
しかし、どんな洋服があるのか楽しみではある。
女の子だもんね!
その前に、まずは換金換金。
「ここが薬草畑で、ほら、そっちにあるのが食材畑なー」
食材畑……。
一括りにするなんて大雑把だなぁ。
って、これなんだ?
「これパンの実ね! そのままでも食べられるけど、炙った方が美味しくなるよー。って、ラナ達もパン食べてたよね」
これがパン! へぇぇ!
椰子の実位の大きさで、割ると中身がパンなんだそうだ。
「こっちは中身が紐状になってる麺の実ねー。炒めたりスープに入れて食べるんだよ」
麺!? 麺て言った!?
あったのかーーーい!
アストロに踏んで貰って作ったうどん……。
そうか、あったのか……。
って事は、ここには主食になりそうなモノが多いのかな?
「こっちは塩の実とソイの実、砂糖の実もあるよー」
うんうん、これはお馴染みですね!
なるほど、想像してた通りの生り方だ。
うちのカレー粉も同じだもんね。
「ちょっと採取して行こう。ラナも採れるかなー?」
「あい! とえまちゅ!」
手を伸ばし、やっと届く塩の実ゲット!
パンの実はアストロのウィンドで身体を浮かせてもらいゲット!
「……なるほど。アストロが居れば採取もできるんだねー」
そんな事より、パンの実の中身が気になる。
何なら麺の実も欲しい。
『麺の実って、うどんみたいなのかな?』
「うどん?」
『うん、ラナが作っ「あああああしゅとよー! あえほちぃ!」』
危ねぇ!! それ内緒!!
『何で?』
推定3歳児にはうどん作れないはずだから!
『そうなの? じゃあ内緒ー』
「……内緒話?」
「えへ」
笑って誤魔化されて!
「ふぅん? じゃあいつか教えてねー?」
いつか、が来ればねー。
◇◇◇
薬草も食材も、そこそこ採って今は夕方。
「よし、そろそろ行くぞ。ラナ、これ被ってな。抱っこするぞ」
ぶかぶかのローブを被る。
「あい」
両手を伸ばして抱っこポーズ。
「「「……ずるい」」」
「俺も抱っこしたい!」
「私も抱っこしたい」
「俺も……」
「いやいや! 俺の親戚んちの子だろ!? 俺が抱っこだろうよ!」
やいのやいのと言い合ってるけど……。
えーっと……誰でもいいんですが……。
わたしの為に争わないで!
何て姫プかよ。
「おにいたん」
「ほらぁ! なっ! 俺がいいよな!」
「いこ?」
「ラナ? 街に入ったら私が抱っこしますね?」
「あい」
「えっ!? ずりぃぞロビン!! その次俺な!?」
「あい」
「ではその次で……」
「あい」
『ラナはぼくのだぞ!』
アストロ、ここに加わらなくていいから!
「にゃぁん!」
まさかネージュも?
はは……は……。
げに恐ろしきはあざとい幼女、か……。
◇◇◇
「おっ! 白銀の翼ご帰還か! お疲れ様! ……って、それは?」
「戻ったぜー。それって失礼だな。親戚の子預かったんだ。こっちはペットの犬とネコな」
「は? 森から戻ったのに親戚の子って……」
「ちょっと緊急でな。街道より森の方が近いから」
「まぁ確かにそうだけど……」
「日が暮れるよー! 後ろもつかえてるから早くしてあげてー」
「あ、あぁ、一応これ触らせてくれ」
と、大きな数珠玉を出してきた。
「こんな幼子にか? まぁいい。これに触って」
何だこれ。
「犯罪者を見分ける魔法珠だ」
へー! ファンタジー!
ちょこんと触ると、青く淡く光る。
「OK。で……犬?」
「「「犬」」」
「きゅうん」
「……でけぇのに可愛い声だなー。躾は大丈夫なんだろうな?」
「「「「もちろん!」」」」
「うわ! 声揃えて何なんだよ! いいよ入れ」
「おう、じゃあなー」
はぁ……。
全員が全員、ため息。
「よし、ギルドは明日! 今日は拠点に戻るぞ」
「メシ買ってから帰ろうよ!」
「そうだな。ラナ、この先に屋台があるから、気になったの教えてな? 晩メシにするから」
屋台!! うわ、楽しみ!
「じゃあ、今度は私が抱っこの番ね!」
「あっ! 奪われた!」
ひょいっとジャスパーさんからロビンさんへ。
「ふふっ、さて、何が気になりますか?」
そうだ! 屋台!
うわぁ! いい匂いするー!
くんかくんかと鼻が忙しい!
あ、でも……。
「おたね」
「おや、それ気になるのか……。それじゃあ初めての街記念なのでご馳走しますよ?」
「……あいまと」
「ラナは律儀ですねぇ。ふふっ。さ、気になる物どんどん教えてくださいね」
「ラナ! これ美味いぞー!」
「じゃあしょえ!」
”ラナ! ラナ! あれがいい!”
と、ネージュが屋台に寄っていく。
少しは遠慮しなさいよ、もー。
「ネージュはこれ?」
「にゃぁん!」
「OK! アストロは?」
『ぼくはアレがいい!』
「これな? おっちゃん、これ20本!」
「へい! 毎度っ!」
ああああ! うちの子ったら!
すみませんすみません! でもわたしもソレが気になります!
と、買ってもらうのだった。




