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レイズサイズへ。~森の中2~


 その夜、白銀の翼メンツにしか判らないハンドサインで念話にしろと伝える。


 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈以下念話。


「どした?」


「何かあったのー?」


「気付いた事がある。……ラナはハイエルフの末裔かもしれない」


「「「はぁ!?」」」


「おま、ハイエルフっつったら御伽噺じゃねぇか。そもそも”居た”なんて聞いた事ねぇぞ」


「私達エルフに伝わる話には居たんだ。それを広める事は無いが。……ジャイアント討伐の時、アストロが牙を剥いたが弾かれて止まっただろう? ラナが説教する前だ。何かにぶつかっていたのは、ラナが強力な結界を張ったからじゃないか?」


「……まだ2歳位の子どもには無理だろ」


「だが、何故アストロは弾かれた? それに、昼間の戦闘中にも感じなかったか?」


「あっ、魔力流れてたな! 微かにだけど」


「そう。ともすれば見逃しそうな程の魔力だけど、広範囲に拡がっていたろ?」


「あれはアストロじゃねぇの? 何の魔法か分からないけど」


「魔力の質が違うんだ。あれはアストロの魔力じゃなかった」


「……魔法に長けてるロビンは魔力に敏感だから、ロビンが言うなら……そうなんだろうが。でもアストロは人の子って言ったよな?」


「万が一ハイエルフならば、アストロも隠すだろう。が、ハイエルフの特徴である耳……ラナは長くないんだ。それだけがおかしい」


「「「……」」」


「……なぁ、もしラナがハイエルフだとしたら、耳以外に見た目の特徴ってあるか?」


「……いや、決定的なのは耳だな。全体的に色素が薄いのも、特徴と言えば特徴ではあるが、居ない訳では無いし」


「髪も瞳も目を引くし、肌も真っ白だもんね! こりゃー街では変装させた方がいいのかも」


 ……。


「「「「うん」」」」


「じゃあ、まずは……」



 ┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


「アストロ、ラナ、ちょっと聞いてくれ」


『なぁに?』


 もぐもぐもぐ。ごっくん。

 サンドイッチうまうま。

 で、首をこてん。



「いいか?」


 白銀の翼の面々が揃って頷く。

 一体何が始まるんだ?


「俺達は秘密は守る。血の誓いをたててもいい。その上で聞く。……ラナはハイエルフの末裔なのか?」


 へっ?


『え? 違うよ?』


「「「「えっ!?」」」」


『えっと、何でそう思ったの?』


 ……白銀の翼の人達曰く、ジャイアントの時アストロが弾かれた結界。

 肉魔物(トゥルフ)の時、拡がった魔力。

 隠すように森の中で育てられている。云々。



 


 あー、あははのはー、やっちまったなぁ!

 そーねーそーよねー、今の今までわたしも気付かなかったけど、そっかー。やっちまってたなー。

 うーん……。


 ”ラナもアストロもヌケサクにゃー”


『どうする? このまま街に行かずにこの人達と別れて帰る?』


 えー!


 ”その場合、口封じが必要にゃ”


 ぶっ! そんな怖い事しないよ!?


 ”それなら血の誓いで縛ればいいにゃ”


 その血の誓いって何なの?


『魔法契約で、秘密を守るために己の血に誓いをたてるんだ。破ったら死んじゃうけど』


 いやいやいや……怖いって。

 それに誓ってもいいって言ってくれてるんだから、秘密は守るでしょうよ。

 ……とりあえずハイエルフは否定しておこう。

 本当に違うし。

 その上で……特殊な子って、自分で言うのもアレだけど、そういう事にしておこう。

 アストロ頼んだ!


 



『えーっとー、うん、分かった。でも詳しい事は言えないけど、ラナが特殊なのは正解。でもハイエルフじゃないよ?』


「……違うのか。まだ1〜2歳の子どもが使う魔力にしては、って思ったんだけど……」


 はぁ!? 1〜2歳!?


「たんたい!」


 指を3本立てて主張する!


「「「「えっ!?」」」3歳!?」


 うむうむ。3歳!


「……ラナ、おつむてんてんしてごらん?」


 おつむてんてん? 手を頭にぽんぽんするアレ?

 おつーむてんてんっ!


 「……3歳児は頭のてっぺんに手が届く大きさになってるはずなんだよなぁ……」


 何ですと!?


「確かマリクが3歳だったはず。あ、マリクってのは行き付けの食堂の息子ね?」


「ラナはマリクより見た目は断然幼いですね……」


「可愛い」


 最後! ダラスさんてば、流石子どもは保護対象の獣人さん……。

 ってか、3歳にも満たないの?

 神様は3歳児位って……。

 位?

 うわ、めっちゃ曖昧だった!


「仮に3歳としたら、成長が遅いのも我らエルフの特徴ではあるのですが……」


 いやいや、人族ですって。

 ご覧になって? ほら耳! 長くないし尖ってないよね!?


 と、髪の毛を掴んで耳を見せる。


「……ラナは話を理解してますね。耳を見せてくれてる」


 当然ですとも。どや! ふんすっ!


「ははっ! 得意気なのが可愛いな!」


「兎にも角にも、ラナはその可愛さも含めて目立ってしまうので、フード付きのローブで変装させたいんだ。髪の色も瞳の色も肌の白さも、居ないわけじゃないけど珍しいから」


「どこぞの姫様と言われても納得するだろう」


 姫様? 姫?


「きゃはははは!」

 へそで茶が沸くよ!


「残念姫だなぁ。ははっ」


 最後の言葉は全力で無視した。

 そんなの自分でも分かってらい!




 予定よりだいぶ早く街に着きそうだと言っていた。

 何やらアストロがバフを掛けていたらしい。

 凄いなアストロ。


「夕方、日が落ちる前までに門を潜らないと閉められてしまう。しかし、その時を狙って行くぞ。ラナは門を潜る時はアストロから降りて抱っこな」


『何で?』


「犬は普通人を乗せないの。街に入ってしまえばどうにかなるが、門を潜る時だけはなるべく不審に思われないようにする。ってか、犬って主張通るかなぁ……」


『ふぅん。分かった。ラナもそれでいい?』


「あい」

 こくん


「ラナは本当に賢いですね。結界の時の説教といい、思慮ならば大人顔負けになりそうです」


 そんな御大層な事はありませんけどね。

 出たとこ勝負の軽挙妄動が得意です。




 その話の後。


「ラナ、これを敷いて寝てください。柔らかなので多少は地面の硬さも軽減される筈です」


 と、貸してくれたのは見た事のある毛皮。

 おまめちゃんを食べたもふもふ羊と同じだ!


 ”あっ! マーフの毛皮にゃー! この間後をつけてた時に狩ってたやつにゃ!”


「浄化もしてますし、聖水で拭ってあるので魔物の匂いはしないと思います。アストロもその大きさなら一緒に寝られますよね」


『ぼくは大丈夫だけど、ラナには有難い。良かったねラナ』


「あいまとー」


「にゃぁん」


 さっさとマーフの上に乗ってゴロゴロし始めるネージュ。


「では、おやすみ」


「おやちゅみなたい」


『おやすみー』


 アストロが結界を張ったので見張りはナシ。


 マーフの毛皮は、ふっかふかで柔らかくて、とっても気持ちいい。

 この毛皮の主かは分からないが、おまめちゃんを思うと複雑。

 なむなむ。


 ネージュは一心不乱にふみふみしていた。

 

 


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