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街へ繰り出す作戦。


 翌日、アストロの背中に乗って白の泉に行く。

 冒険者さん達が出掛けていたら、後でまた。

 と、なってる筈だが、しっかりと滞在していた。

 ネージュはネコ擬態。

 わたしはアストロから降りてネージュを抱っこ。

 のびーんとブラブラされるがまま。


「おはようございます。ラナちゃんもおはよう! 自己紹介が遅れたけど、俺はジャスパー。ジャスパー・シャリオン。で、この【白銀の翼】のリーダーをしている。よろしくね!」


 にかっ! と笑うと懐っこい笑顔が中々よろしい。


「で、こっちは、おい自己紹介しろよ」


「ダラス・ラザイオン。よろしく頼む」


 無表情だけど、この人はアストロの事になると饒舌になるのを知ってる。

 流石獣人族だ。


「……やなでしゅ。よろちくおねだいちまちゅ」

 ぺこ


「くぅっ! 可愛いぃぃぃぃ!」


 この人は小人族のミーシュさん。

 さん、と言うよりは、くん、の方が似合う感じ。


 ちらりと美人さん、おっと、お兄さんに美人は変だろうか?

 でも美人なんだから仕方ない。

 エルフのロビンさんを見ると、穏やかに微笑んでいる。

 眼福眼福。


「ラナちゃん、おはようございます。今日も可愛いですね」


 やだ何それ。

 さり気に褒める上級テクなの?

 思わず顔が赤くなる。


「可愛い……」

 ぼそっ


 待って! 集団で褒め殺しですか!?

 無口なハズのダラスさんてば、ぼそっと言うのは反則ですよ!


 思わずアストロの後ろに隠れる。


「「「「可愛いなぁ……」」」」


『でしょう? ラナは可愛いんです』


「にゃぁん」


 もうヤメテ! とっくにわたしのライフは0よ!

 って、遊んでる場合じゃない。


 しかし、話せば幼児語。

 アストロ任せた!


『……えーと、街に行く話なんだけど……』


「あ、はい」


『話し方、普通でいいよ。堅苦しくて……』


「えっ? その、いいのですか?」


『いいも悪いも、ぼくはぼくだし。普通に話してくれた方が嬉しい』


「……わかりま、分かった。じゃあ遠慮なく」


『それで、一緒に街に連れて行って欲しいんだ。ラナはまだ街を知らないから、見学って名目もあるんだけど、目的はお買い物。森の中だと足りない物もあるからね。でも貨幣がないので、ぼくが持ってる魔石を交換して欲しい。できそう?』


「貨幣なんて気にしなくていいよ。俺らそこそこ稼いでるし、ラナちゃんの欲しい物がどんなのか分からないけど、聖水の泉に連れて来てもらったお礼も兼ねて滞在費はこちらが持つので」


『そうなの?』


 ちょっ! アストロダメダメ! ちゃんと交換して貰って!


 ぶんぶんと首を振る。


『ラナがダメだって。なので、魔石交換でお願い』


「……ラナちゃん律儀だなぁ……。と言うより、子どもは大人に任せておけばいいんだよ? ちゃんとお泊まりする所も用意するし、と言っても俺達の拠点だからむさ苦しいかもだけど」


 ぶんぶんぶんぶん!

 ダメダメ! お泊まりする所まで用意してもらって、お礼もせずになんてダメに決まってる!


『ふふっ! ラナは納得しないって。その代わり街の案内をお願い』


「それはもちろん。じゃあ魔石交換は任せてな。ギルドで交換すれば、すぐ貨幣にしてもらえるから」


「あい、おねだいちまちゅ」

 ぺこ


「では、こちらの作戦を伝えるぞ。……まず、森の中で子どもがひとりで生活してるってのは無理がある。俺達はグラシャ様が一緒なのを知ってるから、まぁ……無理矢理納得した。だけど門番にはグラシャ様って事は言えないので、モルフェに居る俺の親戚の子を預かったって事にする。街道を通るより、森を通った方が断然早いし、A+の俺達だからできる言い訳だ。そして、次回俺らがクエストに出る時に一緒に出る。それでいいか?」


『そのグラシャ様ってのもやめてもらっていい? ぼくにはアストロって名前があるんだ!』

 ふんすっ!


「名前……え、名前!?」


『そう! ぼくはアストロ! んで、そこのネージュがネージュ!』


 ……そこはネコがネージュ、だよ……。


『あっ、ネコがネージュ!』


「にゃぁん」


 ”アストロって時々抜けてるにゃ”


 ひょっ!?

「ねーじゅ!?」


 ”しーっ! 念話にゃ!”


 おっと失礼。ネージュが念話使うの初めてだから……。


 ”オレだってできるにゃー”


「あ、はい。アストロ様とネージュ、ね?」


『様 もいらないよ』


「そういう訳には!」


 と、ダラスさん。突然喋るからびっくりするわ。


『えっと、ダラス? お願いね?』


「くっ! アストロ様のお願いであるならば……っ!」


『うん!』


「あの、やなもやなでいいでしゅ……」


「……親戚の子だもんな。うん、ラナもよろしく! ネージュもな!」


「……にゃぁん」


「このネコちゃん、人の言葉が分かるのかな? お返事したよ!」


『あー、ネージュは、その』


 賢い! 賢いからって事にして!


『かちこいから!』


 そこで幼児語うつってどーすんだ!


「うん、賢いんだね! ネージュも可愛いねぇ」


 と、わたしとネージュの頭をなでなでするミーシュくん。

 あなたも可愛いですよ。






 ◇◇◇


 決行は明日の夜明け前。

 彼等の足で、ここからレイズサイズまでは丸2日掛かるらしい。

 当然、徒歩ではなく走ってだそうだ。

 どんだけ持久力あるのよ。


 とりあえず、食料等は途中調達か、もしくは保存食だそうだ。

 保存食! ラノベあるあるの干し肉か!?

 むふふ♪ 楽しみ楽しみ!

 もちろん、食べるのがではなく、見るのがですよ。

 大事な人様の保存食なんて奪いませんとも。

 わたし達は粗食に見えるお弁当だ。

 おにぎりはまだお目見えさせません。

 街でどんな食べ物があるのか見てからね!


 願いの石碑に報告はして行こう。

 また「置いてくな!」と、追跡されたらコトだし。



 目を瞑り、手を合わせる。

 

 神様、ふたりの神様。

 街に行く事になりました。

 またすぐ戻って来るので、待ってて下さいね。

 何かお土産探して来ます。

 キラキラキラキラ〜☆


 目を開けると、石碑の文字に変化が……。

 読みたくない。読みたくないが読まねばならぬ……。


 ”見てたわ〜! 貨幣の事なんてすっかりポンと忘れていたわ! ごめんなさいね〜。でもグラシャの集めた魔石を交換なんて、考えたわね! 楽しんでなー! それがラナの為になるから、天から見守っておるぞ!”


 ……はは。

 ありがとうございます。

 全力で楽しみますっ!

 

 


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